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魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~

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Ep30レスプランデセルの円卓~Decisive battlefield~

†††Sideレヴィ†††

「はぁぁぁぁッ!!」

――紫光連砲(ハーツイーズ・ストライフ)――

マルフィール隊2人の移動先を読んで、四肢から連続砲撃を放つ。だけど2人の疾さはかなり厄介で、当たりそうなのに当たらないということが何度も繰り返される。次に接近戦を挑もうとして瞬走弐式で接近するんだけど。

「私たちマルフィール隊の翼を折ることは不可能」

「だから大人しく退いてくれると助かるんだが・・・」

――風雅なる赫沫の散々華――

イスキエルドは翼の先端をわたしに向けて、先端から無数の赤い羽根を撃ち出してくる。

(防御だと押し切られる。ここは避けておかないと・・・!)

威力がたとえ小さくてもあんなハンパじゃない数の攻撃、立ち止まって防御に回ったらそれで終わりだ。

――瞬走弐式――

最初の数の暴力とも言える第1波を大きく避けてやり過ごす。数の減った第2波は紙一重で、最低限の動きで回避する。

――翔け抜ける速攻の陽虚鳥――

デレチョが物凄い速さで突進してきた。あ、っと思った瞬間には目の前。

――トライシールド――

無意識的にシールドを前面に展開する。ドゴンッ!!と轟音を耳にしたと思った時にはすでにわたしは大きくは弾き飛ばされていて、錐揉みしながら落下していた。

「ぅく・・・っの!」

急いで体勢を立て直して、現状を確認するために周囲を見回す。それで判ったのは、2人が赤い弾丸となって空を飛んでいるということ。そして2人の軌道がカクッと垂直に曲がって、わたしを目指してまた突進してきた。

(1人はやり過ごして、1人は迎撃・・・今っ!)

横への回避じゃなくて、1人目の頭上を跳び越えるような回避。とんでもない衝撃波が襲ってくるけど、その衝撃波を利用して速度を上げて、頭上から突撃してくるもう1人へと突っ込む。まずはシールド。衝突。またすごい轟音。

――弧咬崩陣――

でも今度は弾かれずに耐えきって、障壁破壊効果を高めた術式が織り込まれた、右足の蹴りを弧を描くようにして打ち込む。デレチョは回避じゃなくて防御姿勢をとった。何故ならわたしの左手が、デレチョの兜の羽根飾りをガッチリ掴んでいるから、逃げ切れない。
激突。ガシャァァン!!と両腕の籠手と甲冑の胴体の大半が砕け散る音が響く。掴んでいた羽根飾りが千切れて、デレチョは吹っ飛んでいった。

「エスティ!!」

イスキエルドが、デレチョの本名のファーストネームを叫ぶ。それに応えるようにデレチョは体勢を整えて、「大丈夫だ」とハッキリ返した。

(甲冑だけしかダメージを与えられなかったか・・・)

無事というならそうなんだろう。デレチョの甲冑が復元されていく。本当に面倒で厄介だ、魔族・幻想一属。ならもう1度、と思っていた矢先に、例の白銀の次元跳躍砲撃が放たれるのを見た。発射地点と思われる場所に視線を移すと、いつの間にかそこにそびえ立っている銀色の塔が数基。シャルロッテの言っていた結界によって隠されていたみたいだ。

「どういうことだ・・・!?」

向こうもそれには驚いているようで、完全に動きを止めている。どうやら予定外のことみたい。でも、これはチャンスでもある。瞬走弐式をスタンバイ。発動、というところで、マルフィール隊の2人は頷き合って、それからすぐにわたしに背を向けて、塔の方に向かっていった。

「・・・あれ?」

ポツンと取り残されたわたしは、構えをとったままその場に立ち尽くした。

†††Sideレヴィ⇒ヴィータ†††

「『轟天爆砕!』」

――ギガント・シュラーク――

ギガントフォルムの“アイゼン”をカルド・デレチョに向かって振り下ろす。技後硬直で動けないデレチョは、無理矢理でも腕を動かして、闇色の炎が渦巻いた大剣を思いっきり振り上げた。

(デレチョ、そいつは無駄なことだぜ)

あたしと“アイゼン”の一撃は、全てを粉砕する。ガツンとあたしの両手に伝わってくる衝撃。手応えありってやつだ。そのままの勢いで最後まで“アイゼン”を振り切る。高速で地面へ墜落していくデレチョを見る。

「やったか・・・!?」

『ギガント級の直撃ですから・・・』

“アイゼン”をハンマーフォルムに戻して肩に担ぐ。あたしの視線の先、地上にはデレチョが居る。あたしがやっておきながらだけど酷い有様だ。大剣は粉々に砕けてるし、甲冑の方も原形を留めてねぇ。それでもなお立ち上がろうとしている。そこまで強いんだ、あたしらへの復讐心は。胸が痛む。今までの敵と違って、全然気持ちよくねぇ。

「なんだっ!?」『なんですかっ!?』

そんなとき、頭上を白銀の極太砲撃が通過していって、波打った空に吸い込まれて消えちまった。砲撃の発射地点へと振り向くと、バカ高ぇ塔が幾つも建っていた。ありゃシャルロッテやセインテストの記憶の中で見た。

「確か、女帝の洗礼だっけか・・・?」

局の艦を沈めた砲撃だってのはすぐに判った。あんなモンそう在っていいようなもんじゃねぇからな。

「まだ・・・だ・・・! 何っ!? 後退支援!? 知ったこと・・・くそっ!!」

下から悪態をつくデレチョの声が聞こえた。視線を戻すと、また闇色の炎ゼルファーダと融合したデレチョが、あたしに背を向けて塔の方にすっ飛んでいった。

「何だ? 何かあったんか・・・?」

相手を失ったあたしは、ただ嫌な予感してデレチョを追い掛けるために飛んだ。

†††Sideヴィータ⇒なのは†††

アレッタ三佐への奇襲は失敗に終わった。上空からの砲撃は、赤い砲撃に相殺された。竜巻は相変わらず止むことなく、私の攻撃を弾いていく。半端な砲撃は通用しない。だったら。“ブラスタービット”をコントロールして、アレッタ三佐の竜巻を4方からロックオンする。私は“レイジングハート”に「カートリッジロード」と指示。

≪All right. Load cartridge≫

シャルちゃんのカートリッジを1発ロード。

「スターライトブレイカー・マルチレイド、スタンバイ」

“レイジングハート”と“ブラスタービット”4基に魔力が集束していく。アレッタ三佐も魔力の凄まじい増大に気付いたのか、竜巻の密度を減らして視界を確保している。でもそれがアレッタ三佐の敗北に繋がる。防御を薄くして、この一撃を防ぎきることは絶対に出来ない。

「(狙うは戦闘不能。やり過ぎて消滅させてはダメ・・・難しいけど)やるしかない!」

かなりの綱渡りだけど、アレッタ三佐の自慢の防御力は嫌というほど知っている。だからこれを受けても・・・きっと大丈夫。

「見てください、アレッタ三佐。これが高町なのはの今の力です・・・!」

≪Starlight Breaker Multi-Raid≫

「ブレイカァァァァーーーー!!」

収縮した魔力が、今度は一気に爆ぜて特大の砲撃となった。一直線にアレッタ三佐の竜巻に向かって行って着弾、大爆発を起こす。
直前までアレッタ三佐の離脱は確認できなかった。ただ見えなかったのか、あのまま受けたのか。答えはすぐに出た。煙幕が晴れてクリアになると、アレッタ三佐がずっと奥の方に居た。甲冑の大半が砕けた様で。

「スターライトブレイカー。防ぐ自信はあったんだが、そう簡単にはいかないな」

半分以上砕けた兜を放り捨てて、そう苦笑しながら言った。

「アレッタ三佐。投降してくれませんか?」

「投降? 俺たちが人間じゃないのは知っているだろう、高町。だから俺たち幹部に投降という選択肢は無い。そもそも、目的からして、管理局に下るなど・・・ありえん!!」

これ以上の戦いも無駄だからと思っての投降勧告だったけど、アレッタ三佐は受け入れてくれなかった。そうだ。今さら応じるわけもないのは解かっていた。でも、私はアレッタ三佐とこれ以上戦いたくはなかった。

(来る!)

そう思って身構えた時、頭上を流れる白銀の閃光。私はそれを見て、エルジアとオーレリアで見た次元跳躍砲撃だとすぐに判った。どこから撃たれたのかと周囲を見ると、すぐに視界に入るとんでもなく高い塔が数基。高さは変わっていても、それはシャルちゃんとルシル君の記憶の中で見たモノだと思いだす。

「どういうことだ? 何故円卓の結界を解除して洗礼の一撃を・・・!?」

(アレッタ三佐も事態が呑み込めていない・・・?)

困惑しているアレッタ三佐の声に、これが予定外の事態だというのが判る。そしてアレッタ三佐は少し黙って「勝負は一時預ける。が、追ってくるのであれば再戦だ」そう言い放って、再び甲冑を身に纏って塔の方に飛んでいった。
追ってくるのであれば再戦。どういうことかは判らないけど、このまま黙って見過ごすわけにもいかない。だから私は、アレッタ三佐を追い掛けるために空を翔ける。

†††Sideなのは⇒エリオ†††

――紫電一閃――

大きく跳躍して、“ストラーダ”の電撃の一閃でグラナードに直接斬りかかる。煙でお互い視界が潰されているけど、こっちはフォヴニスの光る眼という目印があるからよく判る。視界にハッキリとグラナードを捉える。ほぼ背後からの奇襲。

「そんな魔力を迸らせたお前に気付かないとでも思ったのか?」

あと少しで攻撃が届くというところで、背を向けながらグラナードは僕に向かってそう呆れた声を出した。フォヴニスの尾が僕を叩き落とそうと物凄い速さでしなる。

「ストラーダ!!」

≪Vorstoβ≫

今さら逃げることも出来ない。だったら突撃(フォーア・シュトゥース)だ。“ストラーダ”を突きの構えにして、グラナードへ一直線に突撃を仕掛ける。足元スレスレに尾が通過する。突風はすごいけど、今の僕には何の障害にもならない。
尾が戻ってくる前に、グラナードの元に辿り着いた。目の前には驚嘆の表情を浮かべて振り返っているグラナード。“ストラーダ”の矛先が突き刺さろうとしたその時・・・

――資格無き者への審判――

視界が翠色に染まる。次の瞬間には、僕は空を舞っていた。何をされたのかが解からない。全身の感覚が働いていない。視界の端に“ストラーダ”が舞っているのが見えた。いつの間にか手放していたみたいだ。

「エ・・く・・・」

そのまま地面に落下しようとしていた僕を助けたのは、フリードに乗ったキャロ。何かを叫んでいる? 口元を見て、「エリオ君」と僕の名前を叫んでいるのが判った。キャロが治癒魔法を使ってくれているのか徐々に感覚が戻ってきて、痛みが襲いかかってきた。閉じかけていた目をしっかりと開ける。すると頭上を流れる白銀の光を見た。

「・・・アレは・・・?」

いや、そんなことより僕はどうしてこんな状態になった?と思考を働かせる。楽になってきたことで上半身を起こして、グラナードとフォヴニスを探す。だけどどこにも居なかった。キャロに視線を向けると、キャロは首を横に振った。

「あの銀色の砲撃の後、すぐにあの塔の方に向かってったよ」

キャロの視線の先を僕は見る。そこには銀色の塔が数基と砲台がいくつか。シャルさん達の記憶の中で見たモノと似ている。

「キャロ、僕はどうして・・・?」

「・・・エリオ君がフォヴニスの背中に乗った途端、フォヴニスの背中から光が噴き出したの。エリオ君はそれをまともに受けて吹き飛ばれて・・・」

思い出した。足元からフォヴニスの翠色の光が噴き出してきて、僕はそれを防御も回避も出来ずにまともに食らったんだ。なのにこの程度のダメージで済んだ。手加減されたのかもしれない。

「・・・グラナードは塔に向かったんだよね」

「え? う、うん・・・。行くの、エリオ君?」

「うん。グラナードは僕が止めるって決めたから」

だからここでのんびり寝ているわけにはいかない。キャロは少し黙った後、“ストラーダ”を手渡してきてくれた。

「フリード。わたし達を塔へ運んで」

僕はしっかりと“ストラーダ”を受け取って、キャロとフリードと一緒に塔へと向かった。

†††Sideエリオ⇒シグナム†††

『シグナム、アレが何なのか知ってるのか?』

「ああ。フライハイトとセインテストの時代の代物だ。確か名は、女帝の洗礼エンペラトゥリス・バウティスモ」

当時、アギトは2人の記憶を見ていなかった。だから知らんのだろう。当時はセインテストとその部隊に、容易くとはいかずとも陥落されていたが、現代にとってあれ程危険なモノはそうはないだろう。
ドンッ!と爆発音が響く。火龍一閃による爆炎が、闇色の炎によって吹き飛ばされた音だ。空を染め上げる漆黒の闇の中、2つの人影が徐々にその輪郭を現していく。アギトが『信じらんねぇ』と戦慄しているが、これもまた想定内。簡単に斃せるとは思っていない。

「来るか・・・?」

“レヴァンティン”を構え、相手の出方を見る。しかし2人は私たちに仕掛けようとはせず、闇色の炎の弾丸となり、塔へと飛んでいった。取り残された私たちは少し考え、すぐさま2人の後を追った。

†††Sideシグナム⇒シャルロッテ†††

空戦形態ヘルモーズのルシルが一直線にどこかへ向かっている。もちろんそれを妨害する私とフェイト。フェイトはプラズマランサーを18発。私は雷牙閃衝刃(ブリッツ・ランツェ)を連続で放つ。ルシルは当然のごとく気が付いて、流れるような動きで全弾紙一重で回避していく。

『気を付けてフェイト。結構やるようになってる』

『うん。一切の無駄が無い動き。今まで以上だね』

空戦形態となっているんだから当然なんだけど、レヴィとヴィヴィオと戦った時以上の戦力を取り戻している。ルシルがこっちに視線を向け、でもすぐさま元の軌道で飛んで行こうとする。シカトされるのもムカつく。

――炎牙崩爆刃(フェアブレンネン)――

――光牙十紋刃(タオフェ・クロイツ)――

――雷牙神葬刃(ブリッツ・エアモルドゥング)――

遠距離用の魔術を連発して、ルシルの行く手を完全に遮る。もう1度こっちに視線を向けてくる。フードの中から覗くその双眸には明らかにイラつきが見える。それでも私たちと戦おうとしない。それはつまり私たち“特務六課”と戦闘することが目的じゃないということだ。なら何が目的なのか。その答えは、ルシルが目指す場所にあった。

「向こうには確かはやてが居るよ、シャル」

はやてが居るということは、そこにはリインフォースも居るということだ。リインフォースとユニゾンすることが目的か、それとも別の目的があるのか。どちらにしても、ルシルの好きにはさせない。フェイトと頷き合っていざ、というところでクロノと“五課”のジープスター三佐から通信。

『幹部たちが地上部隊に襲撃を仕掛けてきた! 六課はどうなっている!?』

『一撃で部隊が分断されました! 至急応援をお願いします!』

周囲を確認すると、確かに幹部たちが地上部隊に攻撃を、というよりは牽制攻撃を放っていた。幹部たちと戦っていたはずのなのは達はどうしたんだろう、と通信を繋げようとしたとき。
『すいません! 今そっちに向かっています!』

なのはの通信が入ってきた。するとシグナム達からも今向かっているとの通信が入る。無事ならそれでいいんだけど。どうしてこんな事態になったのか。気にはなるけど、今はルシルをどうにかするのが優先となる。背の翼を羽ばたかせて突撃する。その間にも通信が入り続ける。

『こちらヴォルフラム! 前方の建造物群からオーバーSの魔力を感知!』

螺旋を描きながら互いに背後を取ろうと飛び、一瞬のすれ違いざまに“キルシュブリューテ”でルシルの右サイドの剣翼アンピエルを粉砕する。それと同時に“ヴォルフラム”からの通信を聞き、ルシルからふと視線を “エンペラトゥリス・バウティスモ”に移す。

(まさか・・・!)

中央以外の塔の先端に白銀の光が生まれていた。どうやら1番高いのが次元跳躍砲で、他はここの防衛用の砲塔らしい。1番外側の回転式の砲台にも同じように白銀の光が灯る。そして計18発の白銀の砲撃が、支援部隊と後退を始めていた“レジスタンス”の間に撃ち込まれた。

「砲撃で防衛線を築くわけか。幹部たちは支援部隊とレジスタンスを引き離す役目なわけね」

砲撃で“レジスタンス”の撤退完了までの時間稼ぎをするつもりらしい。こうなったらこちらも後退するしかない。今無理に攻め込むと、砲撃の餌食になるに違いない。

「あなただけは逃がさない!」

――風牙真空刃(レーレ)――

ルシルは逃げるように私から大きく距離を取ったけど、真空刃で追撃。片方の剣翼が潰れているのにルシルはフラつくことなく、紙一重で避けながらさらに距離を開けていく。だけど、そこはフェイトが待ち受ける攻撃範囲内。ルシル。私が考えも無しに追撃していたと思わないことね。もう遅いけど♪

「プラズマ・・・スマッシャーーーーーッ!」

フェイトは左手を翳して、プラズマスマッシャーを放った。

†††Sideシャルロッテ⇒フェイト†††

私が待ち構えていた位置にルシルを誘導してくれたシャルに感謝の視線を向けて、そして用意していた砲撃をルシルに向けて撃った。ルシルは左手に大鎌じゃなく長槍を作り出して、スマッシャーの先端に投擲、スマッシャーが長槍に掻き消されていく。長槍の勢いはなくならず、そのまま私に襲いかかる。

≪Sonic Move≫

長槍を回避。すぐにルシルの姿を確認しようとしたけど、見失ってるのに気付いた。しまった。と思った矢先に、ルシルが真下から飛び上がってきて目の前に現れた。

「ルシ――っ!」

掌底が私の胸、正確には心臓の位置に打ち込まれようとしている。ほぼ無意識にザンバーフォームの“バルディッシュ”の刀身を盾にして1撃目は防御。

「っく!」

すぐさま放たれた2撃目のハイキック。をしゃがむことで回避。後ろ髪が蹴りで起きた突風に遊ばれる感覚を得る。身体を撥ね上げるようにしてルシルの背後(翼が本当に邪魔だけど)に回り込む。

――ジェットザンバー――

“バルディッシュ”を一閃。ルシルはバック宙することで私の攻撃を回避。そこに迫るシャルの魔力刃。

刻め(コード)・・・汝の天災(ウリエル)・・・!」

「「魔術!?」」

ルシルの指先から蒼雷の斬撃が放たれて、シャルの真紅の魔力刃を相殺した。ルシルはさらに私たちから距離を取ると右手を頭上に翳して、ヨツンヘイムの魔法陣を展開した。

――次元跳躍散弾砲撃(ペカド・カスティガル)――

魔法陣から放たれる蒼いスフィアが12基。そこに“ヴォルフラム”から通信が入る。記録されていた散弾砲の魔力を探知した、と。今空に放たれたのが散弾砲なら、明らかにまずい状況だ。

「シャル!」

「私が対処する! フェイトはルシルをお願い!」

威力はおそらく今まで見せてきた以上のものに違いない。だからここは確実に対処できそうなシャルに任せないといけない。ルシルはそれっきり戦おうとはせずに、はやてとリインフォースの居る場所へ行こうとしていた。後れを取った。先行したすぐさまルシルを追い掛ける。ルシルを追って飛行する中、地上の現状が視界に入る。

「混戦してる・・・!」

8基の塔と10基の砲台から放たれる砲撃によって、“レジスタンス”に近付けない支援部隊。幹部たちと再び戦いを始めたなのは達。ほぼ混戦状態と言ってもいい。
“クラウディア”、“ヴォルフラム”、“アガメムノン”。3隻の艦載魔導砲が、“エンペラトゥリス・バウティスモ”と、その周囲の施設に向けられて放たれるけど、見えない障壁で完全に防がれている。すぐにでも救援に行きたいけど、私はルシルを追うことを優先した。それが、私の役目だから。 
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