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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!

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第百二十六話 決戦に向けて準備です。

日が経つにつれ、だんだんと状況がわかってきた。
 イゼルローン別働部隊に対する敵の補給路強襲は、6個艦隊という非常識な大規模で行われていたのだ。これはエル・ファシル星域会戦における9個艦隊以外の艦隊が、すべて補給部隊撃滅という任務に赴いたことを示している。
 イゼルローン方面侵攻軍を率いるルッツは、フィオーナらの進言もあって補給部隊には1個艦隊の護衛を付けたものの、まさか6個艦隊もの規模で攻め寄せてくるとは想像もしていなかった。

「これは、どういうことなのだ・・・・・」

 ルッツ旗艦スキールニルにおいて、艦上会議が行われた。

「申し訳ありません。まさか敵がこれほどの勢いで補給部隊を狙ってくるとは想像していませんでした」

 フィオーナが頭を下げた。エル・ファシル星域会戦から徐々に立ち直りつつあるが、依然として顔色はすぐれない。

「私たちのところから、イゼルローン方面に向かうには距離がありすぎるわ。かといって、このまま座していても消耗するだけだし・・・・。何よりも移動要塞を破壊されたことは痛かったわね」

 ティアナがと息を吐いた。イゼルローン要塞とは別に遠征軍は補給と補充用に移動要塞を数基ともなっていたが、今回の奇襲でその半数を破壊されたのだ。ティアナとエーバルトが駆けつけ、敵に痛打を与えたが、敵はいずこかに姿を消してしまった。
 残った移動要塞だけでは、補給と補充に限界がある。

「ローエングラム本隊に合流するか」

 バイエルン候エーバルトが言った。皆が彼の方に顔を向けた。

「もともと侵攻作戦においては、いずれは合流する予定だったのだ。それが若干早まっただけの事ではないか。ローエングラム本隊は現在ランテマリオ星域を突破してウルヴァシーを制圧し、そこに恒久的な基地を建設しているという。我々もそこに合流するのが良いのではないか」

 今回の侵攻作戦では、星系の平定はしないこととしていた。戦力分散と時間と人命の消耗を抑えるためである。あくまで狙いは敵の宇宙艦隊の撃破にあった。エル・ファシル星域会戦で帝国軍は3万余隻を失ったが、敵に対しても打撃を与えている。そして、その敵は現状目の前にはいない。補給部隊を殲滅した敵もどこかに姿を消してしまった。捜索をするにしても広範囲にわたるだろうし、手掛かりもつかめない状況だ。
 ならば、イゼルローン方面軍はラインハルト本隊に合流したほうが良い。

「・・・・・・・・」
「フィオ、どうしたの?」

 考え込んでいるフィオーナにティアナが尋ねる。

「いえ、何となく、妙な動きをしていると思って」
「敵が?」
「主力決戦ではなぜか、手を抜いているような気がしたの。ううん、戦術的に、ではなく戦略的にという意味で。そしてなぜか補給部隊の殲滅には過剰なほどの戦力を投入しているわ。これは、私たちを誘導しようとしているのではないかなと思って・・・・・」
「誘導?一か所に集めたら、それこそ私たちの立場が強化されるだけよ」

 エレインが眉を顰める。

「そうなのですけれど・・・・・」

 それっきり黙り込んでしまったフィオーナを一同はしばらく見つめていたが、彼女はそれきり何も言わなかった。確証があっての事ではないのだ。

「ともかく、このままでは補給と補充がおいつかないことは明らかだ。ウルヴァシーに赴き、ローエングラム公の本隊と合流するという案は俺も賛成だな」

 ワーレンが言った。ルッツはしばらく考え込んでいたが、やがてうなずいた。

「どうもそうするしかないようだ。卿らの言うように、ウルヴァシーに赴き、ローエングラム公の本隊と合流する。それをローエングラム公に連絡してくれ」

 イゼルローン別働部隊は、補給と補充が自軍ではまかないきれず、結果、ラインハルト本隊に合流することとなる。

* * * * *
 ラインハルトはレイン・フェリルから紙片を受け取り、中身を一瞥すると、すぐにうなずいた。許可する、という事だ。
 退出しようとしたレイン・フェリルにラインハルトは声をかけた。

「例の準備はできているか?」
「はい。既に準備は完了しています。いつの段階で投入しても問題ありません。」
「よし。・・・・そろそろ時期が来たようだ」

 レイン・フェリルは一瞬身を震わせた。このことはラインハルトとレイン・フェリルだけが知っていることであり、ずっと前から準備を進めてきたものである。イルーナもアレーナも知らない。
それほどの秘密を投入する段階が来たという事は、決戦がまじかに迫っていることなのだとレイン・フェリルは理解した。

* * * * *
帝国暦488年8月17日――。
 イゼルローン方面軍とラインハルト本隊が合流したのはこの日であったが、早くもここ、惑星ウルヴァシーのサロンでは、諸提督が集まり、アルコールでのどを潤しながら、今後の方針を議論していた。
 ラインハルトは不在だったが、キルヒアイス、イルーナ以下諸提督がほぼ集まるのは遠征始まって以来のことである。最初は久闊を叙しあっていた提督たちも、喫緊の話題に触れて顔色を曇らせはじめた。
 イゼルローン方面軍が合流し、なおかつイゼルローン方面軍の移動要塞が破壊されたとはいえ、ローエングラム本隊もまた、充分すぎる補給能力を持っていた。移動要塞それ自体を巨大な補給基地としているので、原作のような補給難には陥っていないが、それでも敵地深く侵入し、将兵たちの動揺は水面下で波紋のように広がっていた。
 さらに、イゼルローン方面軍の補給が強襲され、ローエングラム本隊にしても、ケンプ、そしてビッテンフェルトがヤン艦隊に敗北したことが、その波紋を加速させることになっていた。

「敗北した身でありながら、ここで意見を言うのも差し出がましいが・・・・」

 ケンプが口火を切った。

「一つ分かったことがある。反乱軍――いや、自由惑星同盟と呼ぼう――ヤン艦隊は自由惑星同盟領土それ自体をゲリラ基地として自由に動き、根拠地を定めていないことだ。そして、その戦法は様々なものを柔軟に取り入れながら、その目的とするところは一つ。すなわち我々の疲弊を誘い、士気をさげ、退却せしむるか、士気の低下のピークを見計らい、全軍をもって一撃で粉砕すること、そのどちらかを企図しているということだろう」

 諸提督はうなずいた。イルーナたち転生者も同意見だった。

「残念ながら、正面からの同数をもってしては、ヤン・ウェンリーに抗することはできないというわけか」

と、ミッターマイヤー。

「そうは言わぬ。だが、ヤン・ウェンリーは侮りがたい。奇策をもって挑んでも、逆にそれを手玉に取られるだろう。かといって、正面からひた押しに押せば、それは無策と何ら変わりはない。彼にいいように手玉にとられるだけだろう」

 ケンプが憂い顔のまま言った。

「そうとは限らないわよ。正面からの同数で駄目なのならば、4倍の兵力で彼の艦隊を押し包んで、包囲殲滅してしまえばいいだけのことじゃない」

 と、ルグニカ・ウェーゼル。ラインハルトの分艦隊を指揮するこの栗色の髪の女性はビッテンフェルトやティアナにも劣らぬ猛将ぶりをこれまで発揮してきている。

「バカか貴様は。確かにそうなれば我々にとって理想だろうが、問題はその状況をどうやって作り出すかなのだ。ヤンがそのような手に乗るはずなどないことははっきりしているではないか」

 ビッテンフェルトにそう言われ、ルグニカは渋い顔で押し黙ってしまった。だが、反駁しなかったのは、彼女もまたビッテンフェルトの意見を正しいと認めていたからに他ならない。

「それよりも、簡単な方法がある。ヤン・ウェンリーや自由惑星同盟の主力艦隊など、我々の一部をもって足止めし、残る全軍をもってハイネセンを突けば、それで終わるではないか」

 これに対しては、諸提督は何も言わず、かえって重苦しい空気を出してしまった。

「そううまくいけばいいのですが。」

 ミュラーが言葉を濁した。彼の隣には妻が座っている。束の間だったが30分ばかりミュラーは二人きりでフィオーナと話をした。色々あったのだろう。ミュラーと再会したことでだいぶ顔色が元の状態に戻ってきたようだった。

「どういうことだ?」
「自由惑星同盟がまだ余力を残している以上、たとえハイネセンを制圧したとしても、各地でゲリラ戦を展開されたらひとたまりもないわ。いちいちモグラたたきみたいにして片っ端から踏みつぶすつもり?いったいどれだけ労力が必要か、キリがないでしょ?それこそ『バカじゃないの?』ということになるわよ。」

 ティアナが言った。それにうなずきをしめしながら、フィオーナが、

「それに、自由惑星同盟の主力を放置しておけば、いつまた蠢動されるかわかりませんし、そもそも論として、自由惑星同盟の市民が、まだ無傷の大艦隊がいる以上、解放されるかもしれないという期待を抱かせ続けることにもなります。ゲリラ戦を展開したのはヤン・ウェンリーだけではないのです」

 ビッテンフェルトは苦虫を噛み潰したような顔をしながら、それでも、

「だが、ひとたび勝利すれば、大河の奔流のごとく、自由惑星同盟の領内にある惑星は我らに従うのではないか?番犬を失った羊の群れなど、無抵抗の集団に過ぎないと思うが」
「確かにひと時の勝利はあるでしょう。ですが、私が心配するのは、勝利に拘泥して肝心な大局を見失ってしまうことです。」

 フィオーナがこういったので、ビッテンフェルトは一声唸ると押し黙ってしまった。

「フロイレイン・ティアナ、そしてフロイレイン・フィオーナの意見に俺は賛同だ。となると結論は一つしかない。ヤン・ウェンリー及び自由惑星同盟の主力艦隊を誘い出し、地の利を与えない広大な戦場を設定し、そこで一気に決戦を仕掛けるしかないということだ。」

 ロイエンタールが総括する。

「勝てるのでしょうか?」

 カルナップの言葉に、ロイエンタールが、

「『勝てるのか。』ではなく『勝たねばならない。』だ。卿らも知悉しているように、ヤン・ウェンリーを下せば、事実上我々の勝ちになる。そして俺はこれまでのヤン・ウェンリーの
パターンを分析し、ある結論に至った。」

 ロイエンタールがグラスを取り上げ、一息に飲み干し、テーブルに置いた。

「ヤン・ウェンリーと戦うのであれば、ヤン・ウェンリーのみを相手するにあらず、ということだ。」
「どういうことですか?」

と、バーバラ。

「ヤン・ウェンリーはなるほど、自らの統率する艦隊を手足のごとく使うが、それはあくまで麾下の一個艦隊に過ぎない。いや、ヤンを崇拝する者たちの集まりをひきいるからこそ、その芸当がなしえるのだと思う。だが、同格の諸提督を糾合して大軍を指揮するだけの柔軟性と力量については、俺はヤン個人にはそれはないと敢えて言う。現に、先のイゼルローン要塞攻防戦での戦い、そしてエル・ファシル星域会戦での戦いがそうだ。ヤン・ウェンリー個人には手痛い痛撃を被ったが、全体の戦局では我々が勝っているではないか。」
「なるほど、麾下の戦力を率いてならともかく、同格の大将同士が混成する大艦隊においては、むしろ彼らの存在はヤンの足手まといになるというわけですか。」

 ルッツが感心したように言う。

「そういうことだ。(もっともこれは俺たちにも言えることだがな。)」

 この時、フィオーナとティアナは初めてイルーナの壮大な構想の一端に触れて愕然となった。なるほど、原作ではヤン・ウェンリーのみが主力を残している格好になり、かえってそのために帝国軍は手痛い打撃を被っている。
 ところが今回イルーナは自由惑星同盟にあえて余力を残させる方針を取ってきた。補給部隊に対する強襲はさすがに彼女の想定外だったであろうが、それとても積極攻勢を行って艦隊を追い回していれば、いつまでたっても決着がつかない。
 しかし、自らの身そのものを餌として敵中に侵攻すれば、いずれは敵とぶつかることになる。
敵に仕掛けもせず、惑星を制圧せず、ただ進撃し続ける。
 それがロイエンタールの言うところの結論のためにしいた布石だとしたら――。

「フィオ。さすがはイルーナ教官だわ。なんというか、そこまでお見通しだったとは、ある意味怖いくらいよね」

 ティアナがそっとささやいた。フィオーナも同じ思いだったのだが、あえてうなずく程度にとどめておいた。
 と、そこへ数人の従卒がサロンに現れ、ラインハルト元帥が全提督をお呼びですと告げた。一同はグラスを置くと、サロンを出て会議室に向かった。

* * * * *

「自由惑星同盟と称する反徒共を追って、1万数千光年、卿らの働きで自由惑星を制しつつある。感謝に堪えない」

 敗戦続きだというのに、ラインハルトは穏やかな声だった。敗戦を潔しとしない諸提督にあっては、意外なことと、感謝と恥ずかしさに顔を伏せるものが多かった。

「気にするな、私とて手痛い敗戦を味わったことはある。だが、そろそろ苦い敗戦を味わうのにも飽きてきた頃合いだ。卿らと共に惑星ハイネセンとやらで、美酒を味わいたいものだ。勝利という名のな」

 傍らに立つイルーナは、ラインハルトの眼が変わったのに、気が付いた。

「そこで、私は改めて全軍に下達する。必勝かつ必死の信念を徹底させ、総力をもって自由惑星同盟と決戦し、これを完膚なきまでに殲滅する!!」

 ラインハルトの凛とした声が朗々と全提督の頭上に響き渡った。

「むろん、気概だけではどうしようもできないことは承知の上だ。そこで私から作戦方針を提案し、卿らの意見を聞きたい」

 ラインハルトは副官のリュッケとアリシアに目で合図を示す。二人はディスプレイを操作して、ある恒星系を示した。

「ヴァーミリオン星域・・・・。」

 つぶやいたフィオーナの言葉にラインハルトはうなずいた。

「そうだ。この恒星系は一部小惑星帯を除いては、障害物も何もなく、広く艦隊を展開するのに適している。ここに大軍を集結させ、同盟軍と雌雄を決するのだ。・・・・ミッターマイヤー!」
「はっ!!」
「卿はフロイレイン・ティアナとともに艦隊を率いて惑星ハイネセンに急行!全戦力をもってこれを制圧せよ!」
「は?」

 ヴァーミリオン星域で雌雄を決すると言ったばかりなのに、ハイネセンを制圧せよというラインハルトの言葉をミッターマイヤーは測り兼ねていた。

「わかるな、これは擬態だ。他の者にもそれぞれ艦隊を率いて私の元から離れてもらう」
「すると閣下は直属艦隊のみで同盟軍の攻勢に対処なさるおつもりですか?」

 ミュラーが唖然とした顔つきで質問した。

「それは危険です。戦闘を重ねたとはいえ、同盟軍の総力は未だ十万隻以上の戦力を擁し、我が全軍と相対できるだけの力は充分すぎるほどに残っています」
「いや、そうではない。同盟軍よりもやや過少の兵力を残すことで敢えて彼らの攻勢を誘発するのだ。ロイエンタール、フロイレイン・フィオーナ、ミュラー、ルッツ、メックリンガー、フロイレイン・バーバラは私のもとに残ってもらう。卿らと私とで同盟軍の攻勢を支える間に、各所要地攻略に分散させた艦隊が要地を奪取、そしてミッターマイヤーとフロイレイン・ティアナがハイネセンを制圧するのだ」
「すると、艦隊を反転させて包囲殲滅することはしないってことなのね?」

 ティアナが質問する。

「先までの戦いから想定される同盟軍の総数は13万。対するに我々の艦隊も12万余。数の上ではほぼ互角だ。むしろ我々が劣勢であることを向こうに知らしめることで、ヤン・ウェンリーの攻勢を誘発するという目的がある」
「それは危険すぎるわ。同盟軍の総数はあくまでこちらが想定したものだもの。敵が思わぬところから伏兵を出す可能性だってあるわ。せめて私だけでも遊軍として残ったほうがいいと思うのだけれど・・・」

 ラインハルトは少し考えてからうなずいた。

「フロイレイン・ティアナの意見はもっともだ。私としたことが少し偏ってしまったな。たが、フロイレイン・ティアナにはミッターマイヤーとともにハイネセンに向かってもらう。」
「どうして?」
「疾風ヴォルフの快速に対抗できるのは、フロイレイン・ティアナだけだからだ。そしてこのハイネセン攻略に関しては、速度が一番のカギ、だからだろう」

 ロイエンタールが間髪入れずいったので、ラインハルトが笑みを浮かべた。

「その通りだ。遊軍は別の者にやってもらうことにする。敵の疲労のピークが頂点に達した瞬間に遊軍が外縁部から到着、全面攻勢をもって自由惑星同盟艦隊を完膚なきまでに葬り去るのだ!」

 ラインハルトは麾下の諸提督の顔を見渡した。

「ケンプ」
「ハッ!」

 ケンプが背を伸ばす。

「卿の空戦部隊は、まだ健在か?」
「ハッ!いつ何時でも!!」
「よし、卿に遊軍を任命する。卿のワルキューレの指揮ぶり、拝見するとしよう。空戦部隊の指揮官として、その機動力をもって自由惑星同盟にとどめを刺せ」
「ハハッ!!」

 先の敗戦で消沈していただけにケンプは重要な任務を与えられて高揚していたし、かつ、ラインハルトのために、全力を尽くそうと決意していたのである。

「ビッテンフェルト、エーバルト、卿らもケンプと協同して遊軍を構築せよ。必勝の攻勢をもって同盟軍をヴァーミリオンに葬り去るのだ」
『ハッ!!』

 やはり攻勢を得意とする3人をもってきたか、とイルーナは思った。しかもこの3人は先の戦いで敗戦を余儀なくされた者である。その雪辱の機会に、彼らが一番得意とする最終局面での全面攻勢の舞台をもってくるとは、さすがはラインハルトだわ、とイルーナは感嘆の思いで見つめていた。
 その他、ワーレンはリオヴェルデ星域に、ケーテ、エミーリア、シャルロッテの「トリコロール3提督」はシャルケ星域に、誰々は何星域に、と各艦隊の派遣先も決まった。

 この間、宇宙艦隊司令長官が異動している。イゼルローン方面軍総司令官はルッツであることに変わりがないが、正式にジークフリード・キルヒアイスが宇宙艦隊司令長官として就任。キルヒアイス艦隊はフィオーナの後任として、宇宙艦隊司令長官として就任し、別働部隊としてグリルパルツァー、クナップシュタインらを擁し、10万余隻を率いてラインハルトの本隊の下から出立している。大規模な兵力を率いての分離は自由惑星同盟の銀河基準面北方から首都ハイネセンを狙う動きを敵に見せつけるとともに、ミッターマイヤー、ティアナの進路の安全を確保せしむる狙いもあった。

「全軍ここで1日の休息をとってもらう。ウルヴァシーの守備は、フロイレイン・ロワール、あなたに任せる。堅実かつ的確な卿の実務をもって、ウルヴァシーを同盟軍から守備せよ」
「はい」

 ロワールは静かにうなずいた。



 
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