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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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<バハラタ周辺>

アルル達は直走る!
愛しい女(タニア)を助ける為、町を飛び出したグプタを救う為!
アルル達は走り続ける!
眼前に立ちはだかるモンスターのみを切り捨て、残りは無視し!
アルル達は体力の限り走る!
最も体力のないウルフが遅れだした為、リュカが小脇に抱えて!

暫く走り続けると、無惨にもモンスターに殺され、食い散らかされた馬を発見した。
「この馬の死骸は、まだ新しいな!きっとグプタってヤツの馬かも!?…此処で馬を無くしたって事は、結構近くに居るぞ!」
リュカは立ち止まり、馬の死骸からグプタとの距離を予測する。
「はぁはぁ…じゃ、じゃぁ止まってないで…はぁはぁ…早く…はぁはぁ…行きましょう…はぁはぁ…」
アルルは息も切れ切れに、前進を促す。
今、リュカ以外の思いは1つになっていた…
《何故リュカさんは息が切れてないんだ!?全然疲れた様子もない!?》

そして一行は洞窟の入口へとやって来た!
「はぁはぁ…グプタはんと…はぁはぁ…合わへん…はぁはぁ…かったな…はぁはぁ…」
「きっと洞窟の中に居るんだよ。ほら、其処に真新しい血痕が落ちてるだろ」
リュカは洞窟入口を指さし、エコナの疑問に答える。
「はぁはぁ…すーはぁー………で、ではグプタさんも怪我をしているのですね!?」
ハツキは大きく深呼吸して、乱れた呼吸を整え、状況が切迫している事を確認する…リュカ程ではないが、結構凄い体力だ!
「うん。急いだ方が良いね」


<バハラタ東の洞窟>

アルル達は洞窟内へ入り、血痕の後を追う。
洞窟内は幾重にも分岐しており、かなり複雑そうな造りになっている。
ある程度進むと、リュカが血痕とは違う道を指し、進むべき方向を提示する。

「きっとこっちだよ」
「何言ってんですか!血痕は向こうへと続いてますよ!グプタさんは向こうに居るんですよ!」
「うん。彼はそっちかもしれないけど、彼女はこっちだよ」
「彼女って、タニアさんの事ですか?何でそんな事が分かるんですか!?」
リュカの主張に思わず訪ねるアルル。

「うん。美女の匂いがする!」
「匂い~………じゃ、怪我しているグプタさんはどうするんです!」
リュカは至って真面目なのだが、他人から見ると巫山戯ているとしか思えない発言に、怒り心頭のアルル…リュカの事を理解するのは難しい様だ。

「じゃぁさ、僕は美女を助けるから、みんなは野郎を助けてあげて」
「べ、別行動って事ですか………」
アルル達に、不安が広がる…
「だって僕、男より女の子を助けたいしぃ~」
「でも怪我している人を、先に救出しないと…」
「でもさ、彼氏の方を先に救出した為に、盗賊共に僕等の事がバレて彼女が殺されるかもしれないじゃん!」

「………じゃ、じゃぁ無事助け出したら、直ぐに私達と合流して下さい!いいですね!?」
「ほ~い」
緊張感無く答えたリュカは、一人で美女が囚われている(リュカ曰く)奥へと進んで行く。
アルル達はリュカが居ない不安に怯えながら、血痕を辿り奥へと進む。



リュカと別れたアルル達は、血痕を辿り暫く進むと、盗賊団の一味らしき数人の男達を発見する。
盗賊等はまだアルル達に気付いてなく、談笑しながら酒を飲み交わす。
アルル達は、そっと物陰に身を潜め、状況の把握に努めている。
《あそこにグプタさんは居ないみたいだけど………》
「しかし、あのガキがナイフを隠し持ってるなんて驚いたぜ!」
「ぎゃはははは!おめー、ダっせーな!不用意に近付いて切られてやんの!」
《この血って、あいつの?失敗したわ!こっちじゃなかったのね!?》
アルルはウルフ達に目で合図し、リュカと別れた所まで戻る事に…



その頃リュカは、見張りと思われる4人の盗賊達と対峙し、にこやかに挑発している。
「やぁ、不細工過ぎて区別の付かない盗賊団の皆さん!美女はこの奥かな?」
「何だテメーは!?どっから入ってきやがった!?」
「あはははは…どっからって…入口からに決まってるじゃん!ばっかじゃねぇーの!?」
みんな不細工で区別の付かない同じ顔に青筋を立てて激怒する!

「テメー、ぶっ殺されてーのか!!」
「何でお前等みたいな輩は、同じ台詞しか言えないんだ!?………まぁいい…人質は無事なんだろうな?エッチな事してないだろうな!?」
「あぁ?テメーはあのジジイに雇われた傭兵か!あのジジイも懲りねーなぁ…誘拐ってのはビジネスなんだよ!攫った商品に手を出したら、金が入らなくなる!…そう言ってカンダタ親分に釘を刺されちまったよ!!」

「……カンダタ……」
リュカの瞳に静かな闇が灯る…
当然ながら盗賊達はそれに気付く事はない。
「でもよ、さっきあの女の彼氏が、たった一人で乗り込んで来やがってよぉ…ボコボコにされてたぜ!……なぁ!」
「あぁ!アイツは商品じゃねーからな!隠してたナイフで切られたジェイブが、ブチ切れてボコボコにしてたっけ!…もう死んでんじゃねぇーの?ぎゃはははは!」
リュカの顔から笑みが消える…

「この奥に居るのか……?」
「あぁ!この奥で、虫の息だよ!」
「よぉ…もうそろそろ、身代金の支払期限が切れるだろ!?そうしたらあの女は商品じゃねぇ…あの小僧がくたばるまで、目の前で犯し殺してやろうぜ!…おい、にぃちゃん!テメーにも死ぬまでの短い間、最高のショーを見物させてやんぜ!ぎゃはははは!」
調子に乗った盗賊達は、情報をベラベラ提供し、そしてリュカの怒りを煽っている。
「そんなショーは遠慮する…俺の趣味はそんなに悪くないんでな…」
リュカが低く呟き、盗賊共に手を翳す!
「バギクロス!」



アルル達がリュカに合流したのはその時だった!
「バギクロス!」
リュカのバギクロスが4人の盗賊共を、細切れにする!
狭い空間に置いてあった椅子や机も細切れにし、土色の岩壁を真っ赤に染め上げる!

「リュ、リュカさん!!」
思わず叫ぶアルル。
「ん?」
「…………」
振り向いたリュカの瞳の闇に驚き、言葉が出ない…
「早かったね…どうやら、こっちが正解みたいだよ。2人とも居るってさ!」
直ぐに何時ものリュカに戻ったが、この状況を見てしまいたじろんでしまうアルル達。
リュカは気にすることなく、血と肉で汚れた部屋を奥へと進み行く…

「リュカさんやっぱり怒ると怖ぇー…」
「バ、バギクロスまで使えたんですね…私なんか、そよ風みたいなバギしか使えないのに…」
怯えながらだが、アルル達はリュカの後を追う…
そしてアルルは思う…
リュカの為に、今後はリュカを単独で行動させてはいけないと…



 
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