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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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戦姫絶唱してないシンフォギア~装者達のサマーバケーション~
コラボ特別編:響き翔く天の道
  乙女の嫉妬と迫る魔の手

 
前書き
天撃コラボ第3話!
完結まであと1話……いや、あと2話かな?
ヤキモチから飛び出してしまった響。果たして、翔はどうするのか!? 

 
天道響についての説明を聞き終え、未来はようやく状況を呑み込んでいた。
翔が天道響と二人、仮面ライダーカブトの話題で盛り上がり、それを見た響が嫉妬してしまったのだ。

「あんな響、初めて見た……」
「小日向でも初めてなのか」
「うん。だって、今まで響が誰かに嫉妬する事なんて、なかったんだもの」

未来の言葉に納得する一同。
確かに響の性格上、他人を激しく羨む事などしないだろう。

「そういえば、あの二人が喧嘩するところって見たこと無かった気がするなぁ……」

純も、これまでの二人を振り返り、そう呟く。

これが翔と響にとって初めての喧嘩なのだろう。

「なあ、あの二人何処まで行ったと思う?」
「本部の外じゃないかな?喧嘩した相手と同じ場所にいようなんて、怒ってる時は思えないもの」

クリスからの疑問に未来は答える。
それを聞いて、純は顎に手を当てた。

「ねえ、あんまりこんな事、言いたくないんだけど……」
「どうしたジュンくん?」
「ネイティブが既に二人の姿をコピーしている可能性って、有り得るんじゃないかな……って」

純の言葉に、その場の全員が凍り付く。

最初にネイティブに接触したのは翔と響。敵の狙いがシンフォギア装者なら、二人の姿は二課の関係者を騙すのにはうってつけだ。

「すぐ司令に報告してくる!小日向、お前は……」
「皆に連絡しなきゃ!」
「僕も恭一郎達に伝えておかないと!」
「あたしはどうすりゃいい!?」
「雪音は本部の出入口へ!万が一という事もある、見張っていろ!」

即時にそれぞれの役割を決め、翼は司令室へと駆けていく。
天道響は立ち上がると、レクリエーションルームを出る。

「おいッ!何処へ行く気だ!?」

クリスに呼び止められ、天道響は振り返る。

「翔と、それからもう一人の私を探して来る」
「ならあたしも……!」
「僕達が出れば、ネイティブの擬態先を増やし混乱を招く……。そうだね?」

クリスを遮る純の言葉。クリスはその言葉にハッと目を見開いた。

「二人の喧嘩は、私が原因を作ったようなものだ。だから、私に行かせてほしい」

天道響を真っ直ぐ見つめて、純は答える。

「翔の親友として、君に任せる。僕の親友と、彼の大事な人を……頼む」

純の真っ直ぐな目に、天道響は頷いて返す。
そして、本部の出入口へと真っ直ぐに走って行くのだった。

「……何だかんだでそっくりだな。響も、天道も」
「そうだね。……クリスちゃん、僕達も」
「ああ。ここはあたし達が守るぞ!」

そう言って、二人も出入口の方へと向かう。
大切な人達が集まる、皆の居場所を守る為に。



「響ッ!響、何処だッ!」

仮設本部から少し離れたビル街。翔は見失ってしまった響を探し、走り回っていた。

(同じ“立花響”とはいえ、響の前で他の女の子とあの距離で話すのはまずかったか……)

翔は後悔を溜息として吐き出す。

相手が同じ響だから、つい気を抜いてしまった。
天道響とああして話せた事そのものに後悔は無いが、距離感にはもう少し気を遣うべきだった……。

早く見つけて謝らなくては……。
激しい焦燥が彼の心を掻き立てる。

「心配なのか?彼女の事が」
「え?……って、天道!?」

声のした方を見ると、天道響がこちらへ向かって歩いて来る。

「こっちには居なかったぞ」
「探してくれてたのか……?」
「責任の一端は私にもある。それくらいの責任は果たすさ」
「すまない……。いや、ありがとう」

翔は天道響に頭を下げる。
そして二人は、まだ見ていない方面へと足を運んだ。

「翔、ところでお前……よく気がついたな」
「え?」

天道響からの呟きに、翔が足を止める。

「私がただの、“並行世界の立花響”ではない存在である事だ」
「ああ……。もしかして、言ったらまずかったか?」

気まずそうな顔をする翔に、天道響は首を横に振る。

「いや、取り立てて吹聴するような事でもないからな。誰にも話した事はないし、話した所で何があるわけでもない。その程度の事情さ」
「そうか……。それにしても、まさか前世の記憶があるなんてね。しかも、生まれ変わる前は並行世界の住人だったなんて」
「最初は戸惑ったさ。まさか、転生した世界にはあの人も、あの人の物語も存在しないなんて……。少し、いや、結構ショックだったかな……」

天道響は、普段、元の世界の仲間達には見せない表情でそう語った。

「だから目指したのか……天の道を」
「そうだ。あの人が居ないなら、私があの人のようになればいい。そう考えた私は、あの人を目標に生きる事を決めた」
「世界を隔てても、天道さんと繋がっていたい……という事か?」
「お前、中々のロマンチストだな。……でも、そうなのかもしれないな……」

仲夏の太陽に手を伸ばし、天道響は呟く。

(彼女は本当に、天道総司という男を心の底から敬愛しているんだな……)

翔はそんな天道響の姿に、一種の“愛”を感じずにはいられなかった。

「そして、その手にカブトゼクターを掴んだ……か。凄いな、天道は。天の道を貫き続けて、本当にその手に未来を掴んだなんて」
「あの人にはまだまだ程遠いよ。でも、褒め言葉として受け取っておこう。……翔、そう言うお前はどうなんだ?」

そう言って、天道響は翔の方を振り返る。

「男性のシンフォギア装者なんて、私の世界どころか、少なくとも私が行ったことのある世界でも聞いたことがない。しかも、自分の手で聖遺物をその身に取り込むなんて、常識的に考えれば無謀以外の何物でもないぞ。……何がお前を突き動かしたんだ?」

天道響からそう問われ、翔は一拍置いてから答えた。

「俺は響を守る為に、この力を手に入れたんだ……」
「立花を?」
「ああ……。話せば、少しだけ長くなるけど」
「手短に頼む」
「分かってるさ。……そうだな。あれは──」

翔は、ライブ会場の惨劇から始まった自身と響の関係を語り始めた。

弱かったあの頃。後悔を胸に、人助けに邁進し続けた日々。

響との再会と赦し。そして、伴装者となり彼女を支え、その想いに気づくまでを。

聞き終えた天道響は、ただ一言呟いた。

「あの人が言っていた。『たとえ世界を敵にまわしても守るべきものがある』と……。お前にとっての立花は、そういう存在なんだな」
「ああ、そうだ。響を泣かせるやつは、俺が許さない。響には笑顔が一番なんだ……。ちゃんと謝らないと……」
「そうだな……。今、二課の方で立花の通信機のGPSを辿っている。そろそろ通信が来るだろう」

天道響が言い終わるか終わらないか、そんなタイミングで通信機が鳴る。

「はい!翔です!」
『翔くん!今送った座標に全速力で向かって!』

通信機から聞こえて来たのは、友里の声だった。
焦りの窺える声は、翔と天道響の足を突き動かした。

「まさか、響とネイティブが!?」
『ええ、その通りよ!急いで!敵は翔くんの姿に化けているわッ!』



数分前、街中の運動公園。

「なんでわたし、あんな事言っちゃったんだろ……」

響は翔に言ってしまった言葉を後悔していた。

公園の隅にあるベンチに座り、溜息を吐く。

「……こんな気持ち、初めてだ……」

これまで抱いた事の無い感情。
響は初めて、他人に嫉妬していた。

同じ顔で同じ背丈、声まで同じ。
当然だ。あれは並行世界の自分なのだから。

頭の中ではそうだと分かっていても、翔が他の女の子と近い距離で、仲良く語り合っている……。

自分が翔にとっての『一番』でいたい。
だからこそ、もしかしたらそれは思い上がりだったのかもしれない……などと思ってしまうのだ。

翔の恋人が自分である必要性があるのだろうか……?

そんな、ありもしない事を考えるだけで、胸が締め付けられるような気持ちになった。

しかし、こんな時に本部を飛び出して、心配をかけてしまっているだろう。

今頃、翔が自分の事を心配して、街中を駆け回っているかもしれない。

「……やっぱり、謝らなきゃ……だよね……」

後ろ向きな考えを振り払い、もう戻ろうかと考え立ち上がる響。

その時だった。

「響……」

名前を呼ばれて振り向くと、そこには……。

「ッ!翔くん……」

息一つ切らさずにこちらへ向かって来る、翔の姿があった。



その頃、二課も響のいる場所を見つけ回線を繋ごうとしていた。
ちょうど同じタイミングで、ネイティブ捜索をしていた藤尭が、公園のカメラに接続したところだった。

「響ちゃんの隣にいるのは……翔くん?」

友里が呟いた次の瞬間、藤尭は焦りを顔に滲ませて叫んだ。

「いえ、ネイティブですッ!」
「なんだとぉ!?」

モニターに表示された翔にサーモグラフィーをかける。
その体温は、人間に比べて異常なまでに低い。ネイティブの擬態である事は明白だった。

「すぐに響ちゃんに連絡を……」
「ダメだッ!ネイティブに気付かれる可能性の方が高いッ!」
「しかし……!」

どうにかして響に危機を伝えなくては。司令室に緊張が走る。

「翔の端末の反応は?」
「翔くんのですか?……ッ!ありました、現場からそう遠くない距離です!」
「通信繋げッ!急行させるんだッ!」

そして、友里からの通信は迅速に、翔の元へと届いたのだった。



「探したぞ、響。まったく……手間をかけさせる」

翔は呆れたような顔で、響の方へと歩み寄る。

「そのっ……翔くん……。さっきは……」
「ん?何の事だ?」
「だっ、だから……さっきは、その……あんな事言っちゃって……」

響と翔の距離が更に縮まる。

「ああ……別に、気にしてないぞ。俺も悪かった」

もう、手を伸ばせば届く距離まで来ている。
響は自然と後退った。

「行くぞ。皆が待ってる」

差し伸べられた手。それは一見、いつもと変わらないように見えて……しかし、響は何処か違和感を感じていた。

「ほら、これ以上姉さん達に心配かけられないだろ?」
「う、うん……」

違和感の正体が掴めないまま、翔の手を取ろうとしたその時だった。

「響から離れろッ!!」

翔の後ろから聞こえた声に振り向く。

そこには、息を切らせて翔の方を睨み付ける、もう一人の翔の姿があった。 
 

 
後書き
次回はネイティブとのリベンジバトル!
でもその前に、今週中で書かないといけない回が……。
そう、クリスマス回である。
Twitterの方でアイディア募集かけてるから、フォローしてる方は見てみたいシーンを呟いてね!

次回!デッデデデッ

響「翔くんが2人!?」
藤尭「監視カメラが破壊されました!」
友里「プェロフェソプスネイティブ、周囲にガスを撒き散らしています!」
翔「偽物はお前だッ!」
翔「響……君なら分かるだろ?」
響「わたしの……わたしの翔くんはッ!」

『本物はどっち?』
天の道を往き、総てを司る! 
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