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八条学園騒動記

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第五百四十一話 研究室に戻ってその四

「あの国を滅ぼすつもりはない」
「ただ嫌いなだけか」
「それだけなんだ」
「エウロパ全土を占領しても利益がないからのう」
 連合にとってというのだ。
「連合から見てエウロパは貧しく技術も未熟な」
「そんな地域でしかないからか」
「占領してもメリットがないんだ」
「そしてじゃ」
 博士はさらに話した。
「一千億も不満分子を抱えるのじゃ」
「連合が嫌いな人間が一千億」
「それは嫌だね」
「その一千億が何をするか」
「そう考えると嫌だね」
「四十人に一人が何をするかわからん」
 そうした状況になるというのだ。
「これがいいという国はないであろう」
「とはいっても殺すとかな」
「そういうのもないしね」
「連合はそういうことしないからな」
「虐殺とかはね」
「連合は犯罪者は惨殺するが虐殺はない」
 その千年の間中央政府や各国政府そして地方自治体もそうしたことを行ったことは一度もない、暴暴動でもそこまではなかった。
「だからエウロパの者もじゃ」
「殺さないか」
「占領して連合に組み入れても」
「そうしたことは発想の時点でない」
 そもそもというのだ。
「だからじゃ」
「連合は一千億も厄介者を入れる」
「そんな厄介な状況になるから」
「だからか」
「エウロパを滅ぼすつもりはないんだ」
「左様、他にも理由はあるが」
 それでもというのだ。
「しかも滅ぼすのに犠牲が多くなるとなれば」
「余計にな」
「戦わないね」
「そしてそれも抑止力か」
「それにもなるんだ」
「そうじゃ」
 だからだというのだ。
「軍隊の兵器は様々な理由から抑止力になる」
「自分達が負けても相手に損害を与える」
「そのこと自体が問題だから」
「それでか」
「軍隊の兵器は抑止力だね」
「それが平和にもつながるしのう」
 この効果もあるというのだ。
「そしてじゃ」
「そして?」
「そしてというと」
「わしは違う、わしは使う為にじゃ」
 まさにその為にというのだ。
「開発、製造しておる」
「そういうことなんだな」
「博士の場合は」
「そうじゃ、軍隊は国防の為にあるが」
 連合ではこの考えが一般的である。
「わしは国防とはじゃ」
「関係ないよな」
「むしろ災害扱いだからね」
 連合での扱いではそうなっている。
「だからね」
「国防の敵だよな」
「しかも特別災害認定されてるから」
「もうそれはね」
「無縁じゃ」
 国防、それとはというのだ。
「わしはな」
「そして製造、開発する兵器もな」
「完全に破壊の為だね」
「それと殺戮だな」
「その二つだけだね」
「兵器、武器も確かに自衛の為の目的もあるが」
 博士は二匹にさらにた。 
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