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怨恨

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第一章

               怨恨
 この時は軽い気持ちだった、クラスの多くの者が天霧由美が太っていることをからかった。
「やいデブ」
「おい豚女」
「お前ちょっとは痩せろよ」
「汗臭いんだよ」
「ちょっとはダイエット考えろ」
「歩くと地面が揺れるだろ」
「地震起こるだろ」
 男子達は由美に笑いながら言った、そうして。
 女子達もだった、由美を嘲笑し馬鹿にしながら言っていた。
「あんた今百キロあるでしょ」
「甘いものばかり食べてるからそうなるのよ」
「ダイエットしたら?」
「そんなのだと若いうちに病気になって死ぬわよ」
「養豚場行きなさい、養豚場」
「それか女の子でも相撲部屋言ったら?」
「力士さんになったらいいのよ」
 こんなことを言っていた、いつもそう言われ由美は俯いてばかりで何も言えなかった。だがある日からだった。
 由美は街のプールもサウナも風呂もあるトレーニングジムに通う様になりそこで毎日必死に汗をかいた。
 そうして食生活も改善しカロリーが高いものは避けそのうえで野菜や高蛋白質なものを食べる様にしていった。
 するとそれまで脂肪率は四十を超えていたと思われる身体がみるみるうちに痩せていき数ヶ月もすればだった。
 すっきりとした身体になり顔立ちも変わっていた、それまでは肉に埋もれていた様であり頬がたるんでいたが。
 面長のすっきりした感じになり目鼻立ちもしっかりと出る様になっていた。髪の毛も脂ぎった感じではなく清潔な感じになった。
 腹の贅肉はなくなり尻や腕、太腿のそれもなくなり肥満どころか筋肉質の身体になった。その由美を見てだった。
 クラスメイト達は驚いた、そうして口々に言った。
「おい、嘘だろ」
「あの天霧がああなるなんてな」
「あそこまで痩せるか」
「まるでテニス選手だぞ」
「別人だろ」
 男子達は我が目を疑った、それは女子も同じで。
 彼女達もその由美を見て言った。
「あそこまで変わるなんてね」
「もう豚どころか馬じゃない」
「力士じゃないわよ」
「もうボクサーじゃない」
「顔立ちもスタイルもすっきりして」
 そこでも別人だと言うのだった、それで誰もがこれまでの態度を変えてそれで彼女に声をかけようとしたが。
 由美は彼等には一切返事をしなかった。
「やっぱりな」
「俺達が言ったこと覚えてるんだな」
「デブだの豚だのな」
「臭いだの言ったしな」
「今もジムに通ってるんだよな」
 このことはその通りだった、由美はずっとジムに通い毎日トレーニングをして泳いでいた。サウナにも入りトレーニングの後でそちらでも汗をかく様にもしていた。ジムが休みの日は自分で走ったり筋トレをして汗をかいた。無論食事も変えたままだった。
 その彼女を見てだ、女子達も話した。 
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