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ダイダラボッチ

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第二章

 その神を見つつだ、彼はさらに言った。
「これからな」
「あの神とですね」
「会ってな」
「そうしてですね」
「話をするか」
「それでは」
 伊邪那美も頷いてだ、そうしてだった。
 二柱の神々は日本を歩き回っている巨人神の前に出た、その上で彼に問うた。
「そなたは何者だ」
「一体何処の誰ですか?」
「ああ、あんた達がだな」
 巨人神は二人の声に気付いて彼等に顔を向けて応えた。
「伊邪那岐命と伊邪那美命だな」
「そうだ、我々がな」
「伊邪那岐命と伊邪那美命よ」
 二人もその通りだと答える。
「今この国を作っている」
「その役を任されている神々だ」
「夫婦、兄妹でな。それは聞いてるよ」
 巨人神は名乗る二人に気さくな声で答えた。
「頑張ってるよな、ちなみにわしはふらりと出て来てか」
「そうしてか」
「思いのまま遊んでるだけだけれどな」
「それであちこちに山や池を作っているのか」
「そうだよ、もうそれこそ思いつつままにな」
 巨人神は伊邪那岐に笑って答えた。
「そうしているだけさ」
「そうなのか」
「それでわしの名前だが」
「そうだ、それは何だ」
 伊邪那岐は巨人神にあらためて尋ねた、見れば見る程巨大な身体でありそれは雲を遥かに越えるまでだ。
「一体」
「ダイダラボッチという」
 老人はこう名乗った。
「わしはな」
「ダイダラボッチか」
「そうだ、覚えておいてくれよ」
「わかった、それで貴殿はか」
「うむ、ただ気の向くままにな」 
 まさにそのままにというのだ。
「動いてな」
「そうして山や池を作っていっているか」
「日本にな」
「人を助けてもいますね」
 伊邪那美はダイダラボッチのこの行いについて指摘した。
「そうですね」
「それはあれだ」
「あれとは」
「人は助けないと駄目だろう」
 これは絶対にというのだ。
「神だからな」
「それでなのですか」
「困っている人は助けて人の迷惑にならない様に山や池もな」
 そうしたものもというのだ。
「作っているんだよ」
「そうなのね」
「ああ、そしてな」
 ダイダラボッチはさらに話した、
「将来日本に住む人間達がその景色を観て使って楽しめたり便利になる様なな」
「そうしたものをですか」
「作ってるんだよ」
「そうでしたか」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。 
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