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レーヴァティン

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第百三十一話 追撃戦その四

「尽きてきたそうです」
「そうか、ならな」
「その分ですね」
「邪魔なものを排除しなくて済んでだ」
 英雄は前にいる、もう既に視界から消えている敵を見据えつつ言った。
「追撃が速く出来る」
「それではですね」
「そうだ、だからだ」
 それでというのだ。
「今はな」
「このままですね」
「追撃を速める、そしてな」
「そのうえで」
「追い付けば」
「その時は」
「徹底的に叩く、俺達の軍勢は歩兵が主力だ」
 槍や鉄砲、弓矢を武器とするだ。英雄は旗揚げの時からこうしたものを使う足軽と大砲を主に使ってきた。騎馬隊もあるがそれは主力ではなかったのだ。
 それでだ、今もこう言うのだ。
「足は遅いが」
「しかしですね」
「やはり数が多い」 
 主力だけにだ。
「これが攻められれば」
「敵をですね」
「大きく戦うことが出来る」
「だからこそ」
「マキビシや地雷が減ったことはよかった」
 まさにと言うのだった。
「だからな」
「ここはですね」
「追撃を速める」
 こう言って兵達を急がせた、そうして。
 マキビシや地雷がなくなるとだった、彼はここで自分達の左右を見回した。それも前の方までそうした。
 見れば左右に森がある、それで彼は言った。
「伏兵がいるか」
「そうですね」
 謙二もその森を見て言った。
「それを置くにはです」
「おあつらえ向きの場所だ」
「しかもですね」
「敵はマキビシや地雷もなくなった」
「そうした時には」
「伏兵だ」
 それを使うというのだ。
「そうしてだ」
「我々の足止めをしますね」
「その伏兵は捨て駒になるが」
 それでもというのだ。
「こちらに思わぬ一撃を浴びせてな」
「そのうえで、ですね」
「足止めが出来る、だからな」
「ここはですね」
「奇襲を仕掛けられるとわかっているなら」
「もう後は楽ですね」
「奇襲は敵の意表を衝いてこそだ」 
 英雄は戦でのこの真理も指摘した。
「見破られた時点で奇襲ではない」
「ではあの森に」
「鉄砲や炮烙でだ」
 そうしたものでというのだ。
「攻撃を仕掛ける」
「そうしますね」
「しかも前に進みながらだ」
「敵に気付いていないと思わせ」
「そしてだ」
「敵が仕掛けようとしたところで」
「逆にだ」
 仕掛けられる側、つまり自分達がというのだ。
「やってやる」
「そうしますね」
「そうしてだ」
 英雄はさらに言った。
 
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