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おぢばにおかえり

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第五十五話 おぢばのバレンタインその二十二

「だからなのね」
「寮の場所もです」
「他にこれっていうところがなくて」
「そうじゃないですか?」
「それであんな遠い場所になったのね」
「そうだと思いましたけれど」
「可能性あるっていうか」
 むしろでした。
「ほぼ決まりみたいだし」
「嫌ですよね」
「確かにこの寮もう古いですけれど近いですからね」
 教会本部にも高校にもです。
「ですから位置的に便利だったのに」
「それが、ですから」
「正直ね」
 私は卒業して寮も卒寮しますがそれでも思いました。
「そこが困るわよね」
「はい、どうなるか」
「私達もそこが心配です」
「そうね、ただ二人が卒業するまでは」
 それまではです。
「寮もそのままみたいね」
「じゃあ私達もですね」
「特に心配することないですか」
「そうみたいよ、寮が移るのはね」
 教会本部から見て天理駅の北側にです。
「まだまだ先ね」
「あと何年か先ですね」
「それ位ですね」
「だから二人が卒業するまではね」
 このことは確実みたいでした、やっぱり新しい寮に移るにもそれなりの時間が必要です。建物を建てる必要があるので。
「ないわね」
「じゃあ私達はここで、ですね」
「ずっと過ごすんですね」
「すぐに寮から高校まで行き来出来ますね」
「神殿にも行けますね」
「そうよ。そう思うとこの寮もね」
 卒業間近の今も思うことでした。 
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