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ドリトル先生の林檎園

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第一幕その十

「あちらはお蕎麦の本場の一つだから」
「絶対に食べましょう」
「勿論林檎もだけれど」
「お蕎麦も食べてね」
「楽しまないと」
「そのことも当然だよ、あとね」
 先生は皆にこんなことも言いました。
「長野で林檎が植えられる様になったのは最近なんだよね」
「あれっ、そうなの」
「長野っていえば林檎だけれど」
「青森と並んでね」
「それでも最近のことなんだ」
「日本に林檎が入ったのは明治からだからね」
 この時代からのことだからというのです。
「江戸時代はね」
「長野県には林檎なかったんだ」
「それで皆食べていなかったんだ」
「長野県といえば林檎でも」
「じゃあ木曽義仲さんも林檎食べていないんだ」
「それで真田幸村さんも」
「そうだよ、皆ね」
 本当にというのです。
「林檎は食べていないよ、あとお蕎麦も麺になって定着したのは江戸時代のことだから」
「ううん、それじゃあだね」
「幸村さんも義仲さんもお蕎麦食べてないんだ」
「こちらも」
「そうなんだね」
「そうだよ、そちらもね」 
 本当にというのです。
「食べていないよ」
「お蕎麦も林檎もない長野県」
「ちょっと想像出来ないね」
「僕もだよ、例えるなら」
 ここでこうも言った先生でした。
「紅茶のないイギリスかな」
「うん、何でもない感じだね」
「紅茶がないとね」
「あれだけ食べもので世界的に言われてるのに」
「それまでないとなると」
「もう何って感じで」
「何もなくなるね」
 皆も口々に言います。
「イギリスは紅茶の国なのに」
「他にあるのは何っていう位に」
「他の食べものは散々言われてるから」
「お酒はウイスキーがあるけれど」
「飲みものはね」
 普通のそれはというのです。
「まさに紅茶あってこそなのに」
「その紅茶がないとね」
「イギリスってね」
「凄く弱いね」
「本当にそうだね」
 例えを出した先生ご自身も言います。 
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