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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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戦姫絶唱してないシンフォギア~装者達のサマーバケーション~
コラボ特別編:響き翔く天の道
  天の道を往く女

 
前書き
コラボ第二弾!
今回はそれぞれ、普段はほぼ確実に見られない響が見られますよ!
それではスタートッ!デッデデデッ 

 
「並行世界?」
「そうだ。ギャラルホルンは、この世界と平行世界を繋げる事が出来る、謎多き完全聖遺物だ。原因はそれ以外に考えられないだろう」
 
 突如現れたネイティブから俺達を助けてくれた、もう一人の響を連れて、現在二課の仮設本部になっている潜水艦までやって来た俺達は、司令室で各々の自己紹介と、情報交換を行っていた。
なんでも、本部の保管庫にて厳重管理されている完全聖遺物『ギャラルホルン』には、並行世界を観測し、こちらの世界と繋げる力があるらしい。
 そして、もう一人の響がいた世界ではネイティブが実在し、同時にマスクドライダーシステムも存在するようだ。
 ちなみに、カブトの資格者は響であり、あちらの世界の姉さんがガタック。フィーネの手元にあったドレイクゼクターとサソードゼクターは回収済みだが、まだ資格者が発見されていないとか。
 
 この世界にやって来た経緯だが、どうやら同じく保管庫にて厳重管理されていたゼクターを、ネイティブが盗み出そうとした際、防衛システムに迎撃されたネイティブが偶然にもギャラルホルンを起動させてしまい、並行世界へジャンプしてしまったらしい。
 迷惑この上ない話だが、ハイパーゼクターがこれを感知して、有資格者をその世界へと導いてくれるのだそうだ。ハイパーゼクター、マジ優秀だなぁ。
 
「現在、街中の監視カメラに備えられたサーモグラフィーを作動させ、捜索しています」
「未だ発見はされていませんが、翔くんと……仮面ライダーの響ちゃんから聞いた通りなら、それも時間の問題かと」
 藤尭さんと友里さんを始め、職員の皆さんが忙しく手を動かしてカメラを確認している。ワームやネイティブは、遺伝子や記憶ごと人間に擬態できるが、体温までは誤魔化せない。
 索敵範囲を狭めていく形で、現在その行方を追っている。
 念の為、黒服職員さんが何人か、恭一郎達の警護に向かったそうだ。
 これで俺達の身内に接近する事は防げるだろう。
 
「発見次第、すぐに連絡する。それまでお前達は、いつでも出られるよう待機しておけ」
「ありがとうございます、司令」
 そう言って、俺達装者は司令室から移動する。向かう先は、いつもの自販機前だ。理由は勿論、語るまでもない。
 
「それにしても、ホントにあたしらが知ってる響とは全然違うな……」
 雪音はもう一人の響を頭の先から爪先まで、じっくりと見ながら言った。
「クリスちゃん、一番驚いてるのはわたしなんだからね~?」
「まさか……響がカブトにハマるとこうなるって事か!?」
「ええっ!?そうなの!?」
「いや、それは無いだろう」
 俺の言葉を真顔で否定するもう一人の響。確かに全然違う。この響はまるで『仮面ライダーカブト』の物語の中で、カブトに変身する主人公、天道総司の生き写しのようだ。何故こうも真逆の方向に育ったのか……。
 そういえば、天道さんの事を()()()って呼んでたような?
 それに「10年以上はあの人の居ない世界で生きて来た」とも……。
 どうやら、俺達に話したこと以上に込み入った事情がありそうだ。
 
「世界線が違うとはいえ、性格がこうも変わるものなんだね」
「私も驚いてる。理論上不可能だと言われた男の装者がいる世界……しかも、まさか翼に弟がいるとは。あちらの世界の翼が聞いたら、二度聞きするだろうな」
 純の言う通りだ。ここまで差が出る程の経験をしたのだろう。
 しかし、俺が存在しない世界……というのは、聞いてて少し寂しい。
 でも、あちらでは奏さんが生きていたり、小日向が装者になっていたりするらしいから、姉さんも寂しくはないだろう。そう思うと安心できる。
 
「翔がいない世界の私、か。そちらの世界での私達は、私達と何処まで違うのだ?」
「いや、殆ど変わらない。翼も、クリスも、弦十郎さん達もな。ただ、私の性格を除けば……翔、純。お前達二人がいないのと、櫻井了子がフィーネと共にこの世を去った事くらいだ。RN式回天特機装束、というお前達のギアも、少なくとも実戦には投入されていないな。リディアンの姉妹校、というのも聞いた事がない」
 
 姉さんからの質問への答えに、純が少しだけ俯く。おそらく、先程までの俺もそんな顔をしていたのだろう。
 特に純の場合、自分がいない世界のクリスを憂いているのは、想像に容易い。
 そんな純の心情を察したのか、もう一人の響は純の方を向いた。
 
「心配するな。戻ったらそれらしい人物に心当たりがないか、クリスに聞いておいてやる。弦十郎さん達に頼めば、すぐに調べてくれるだろう」
「ッ!お願いできる?」
「ああ。辿った道が違うだけで、存在しないという事はない筈だからな」
もう一人の響の言葉に、純は安心したように溜め息を零した。
 
「あたしの知らないジュンくん、か……。想像もつかねぇな」
「今の僕とは違っても、きっとクリスちゃんを想う気持ちは変わらない筈だよ。だって世界を超えても、違う人生を歩んでいても、僕が僕であることに変わりはないからね」
「ジュンくん……」
 
 雪音の言葉に、サラッとイケメンな答えを返す純。さすがは生粋の王子様。ナチュラル過ぎて突っ込む隙もないし、雪音は見事にツンの取れたデレッデレな表情を見せている。
 響、姉さん、俺が揃ってニヤける中、もう一人の響だけが暖かい視線を送るのみに留まっている辺り、あちらの天道っぷりも中々のものだ。
 ……そうだ!その名前だ!
 俺はもう一人の響に向かって提案した。
 
「なあ、その……君の呼び方だけどさ。こっちの響と区別するの大変だし、『天道響』って呼んでいいか?」
「……何故その名前に?」
「カブト響、だと語呂が悪い。でも『立花』って呼ぶのも姉さんと被る。じゃあ“天の道を往く響”、略して天道の方が呼びやすいし分かりやすいだろ?……ダメか?」
 
 これまで散々見せつけられた再現度に、わざわざ“あの人”なんて呼んでいる辺り、彼女の天道さんへの敬意は本物だ。
 彼女が『天道総司』の生き方を真似ている理由は分からないけど、本気で彼女は天道総司のようになりたいんだろう。
 だからこそ、この呼び方を良しとしない可能性は0じゃない。
 この提案却下されたら、やはりカブト響呼びに──
 
「……いいだろう」
 少し間があって、彼女はそう答えた。
「それは、未だあの人に程遠い私には恐れ多い名前だ。だが、こちらの私と区別する為なら悪くはない」
 そう言ってクスッと笑う彼女に、響が手を差し伸べた。
「じゃあ、よろしくねっ!天の道を往くわたしっ!」
「ああ」
 その手を握る天道響。同じ人間が握手しているという不思議な光景に、俺もなんだか笑ってしまった。
 
「ああ、そうだ。翔、一つ頼みがあるんだが……」
 ふと思い出したように、天道響は俺の方を見る。
 何だろう、と疑問符を浮かべる俺に彼女が言った言葉は、想像の斜め上を行くものだった。
「再生機器と、それから昨日借りたというDVD……あるか?」
「え?家だけど……」
「そうか……」
 一目見てわかるくらい、ガックリと肩を落とす天道響。……もしかして、この世界の『仮面ライダーカブト』が観たいのか?
 
「い、一応動画サイトで1話と2話が無料だけど……」
「本当かッ!?」
 先程までのクールな態度は何処へやら。
 分かりやすくテンションが跳ね上がった天道響の顔は、やっぱり響は響なんだと実感できる程に嬉しそうだ。
 ……あまりにもテンションが上がると、距離が近くなる癖を含めて。
 
「ちょっと天道なわたし!また距離が近いよ!!」
「あ……すまない……」
 自分でも無意識だったらしく、響に割り込まれ、バツの悪そうな顔で数歩引く天道響。ここまでのめり込んでしまう辺り、相当天道に惚れ込んでいるんだろうな……。
 ああ、だからあれほどの天道っぷりなのに、「まだ程遠い」なんて言ってるのか。
 でも……事情は分からないとはいえ、常に自分ではない誰かをなぞる必要はないと思う。
 彼女も、生きていた世界とは違う場所に来た今くらいは、息抜きとして自分らしい時間を過ごしてもいいのではないだろうか?
 だったら、その方法の最適解はこれしかあるまい。
 
「取り敢えず、レクリエーションルームにでも行く?壁掛けテレビあるし、スマホ繋いで大画面で見た方がいいだろ?」
「そうと決まれば善は急げだ!ネイティブが動き出す前に観終えるぞ!」
「うおおっ!?ちょっ!天道!?」
「ああっ!?もうっ!だから近いんだってば!!」
 落ち着いたかと思えば、再びテンションが上がってしまった天道響に手を引かれ、俺は引き摺られるようにレクリエーションルームへと連行されていく。
 早足で迷わずにずいずいと、迷わずに進んでいくその後ろから響が小走りで追いかけてくる。
 こうしてみると姉妹に見えなくもないなぁ……などと呑気な事を思っていたこの時の俺は、うっかり見落としてしまっていた。
 
 もう一人の自分とはいえ、自分ではない少女に手を引かれる俺を見る彼女の気持ちを……。
 
 ∮
 
 それから数分後。
 装者達はレクリエーションルームに集い、仮面ライダーカブトの第1話から第2話を鑑賞していた。
 ネイティブ対策、そして天道響の使うライダーシステムへの理解を兼ねてのものだったが、気づけばすっかりのめり込んでいた。
 
 羽化してしまったワームのクロックアップに押され、数体のサリスワームに囲まれてしまった仮面ライダーカブト……天道総司。
 彼を助けようと生身で飛び出すもう一人の主人公、加賀美新(かがみあらた)だったが……天道はあっさりと立ち上がり、カブトクナイガンを発砲。
 何事も無かったかのようにサリスワームを攻撃し始めた。
 
『自分を犠牲にしてでも、誰かを助ける……。戦士には向かないタイプだな』
『うるさい!いいか、マスクドライダーシステムには、クロックアップに対抗する手段があるはずなんだ。それを探せ!』
 
 飄々と、余裕を全く崩さずに引き金を引く天道に、加賀美はこの状況を覆す方法を示唆するが……天道からの答えは、予想を裏切る一言であった。
 
『知ってるよ』
『何ぃ!?』
『悪いがベルトとは長い付き合いでね。マスクドフォーム(このすがた)で何処までやれるか試していたんだ』
『じゃあまさか……』
 
 一歩一歩、ゆっくりと歩を進める天道。
 やがて立ち止まると、天道はベルトに装着されたカブトムシ型メカ、カブトゼクターのゼクターホーンをガチッと立てる。
 青い電流と共にスライドし、展開される各部装甲。
 迫るサリスワーム。天道は印象的なあのセリフと共に、ゼクターホーンを反対側に倒した。
 
『キャストオフ』
 
【CAST OFF】
 
 次の瞬間、四方に飛び散るアーマーパーツ。
 重厚な鎧の下から現れたのは、光沢感のあるワインレッドとシルバーが特徴的な、カブトムシの姿を模した太陽の神。
 折り畳まれていた一本角が屹立し、カブトゼクターがその名を告げる。
 
【CHANGE BEATLE】
 
 吹き飛んだアーマーが命中し、サリスワームが緑色の炎と共に爆散する。
 爆風に紛れたアラクネアワームが飛び掛る瞬間、カブトはベルト脇のボタンを叩く。
 
『クロックアップ』
 
【CLOCK UP】
 
 そこから始まる高速戦闘。アラクネアワームの攻撃を全て弾き、躱して、カウンターを決める。天道総司の息も吐かせぬ戦いぶりに、天道響は目を輝かせていた。
 
「とんでもねぇ俺様系だな……この天道ってのは」
「しかし、常に余裕に充ちた表情。裏付けされた文武ともに秀でた実力。只者ではない。天の道を往き総てを司る、という名は伊達ではないという事だな」
 クリスと翼は、天道響が尊敬してやまない男がどのような存在だったかを知り、驚いていた。
 だが、その大きな態度が実力と釣り合っており、尚且つ年長者を敬う点を翼は高く評価していた。
 
 やがて鑑賞を終えた時、天道響は満足気に席を立った。
「ありがとう、翔。久し振りにあの人の活躍を観ることが出来た。それだけでも、この世界に来た意味はあったよ」
「いやいや、そんな。これくらいで満足なわけが……」
「確かにまだまだ物足りないし、いっその事全話と劇場版まで全部見ておきたいけど、私がこの世界に居られる時間は限られている。これ以上は未練が残ってしまいそうだ。でも、満足した。私はこれからも励むよ……いつか、あの人に追いつけるように」
 そう言って笑う天道響を見て、翔は何かを悟る。
「『おばあちゃんが言っていた。人のまねをするのも悪くない……“本当の自分”を見つけるためには』……とは言ってたけど、君が天道を真似ているのはそう事じゃないんだよな?」
「ッ!」
 その顔に驚愕の二文字を浮かべる天道響。
 翔はそれを見て、確信したように続けた。
「ネイティブとマスクドライダーシステムが存在する並行世界。天道さんを尊敬してやまない君の在り方と“10年以上”、“あの人の居ない世界”、そして何より、“物語”という言葉……。天道、もしかして君は……」
 
 
 
「ううううう……ああもうッ!」
 その時、先程から後ろの方で膨れっ面になりながら不満を露わにしていた響が、とうとう爆発してしまった。
「さっきからそっちのわたしとばっかり楽しそうに……。もうっ!翔くんなんか知らないッ!」
 そう言い捨てると響は、レクリエーションルームを飛び出して行ってしまった。
「響ッ!」
 それを追って飛び出す翔。残された翼は呆れており、クリス、純は苦笑いしていた。天道響はというと、二人が飛び出していった自動扉の方を、何処か不思議そうに見つめていた。
「翔のやつ……。立花の目の前で他の女子とイチャつくなど……。いや待て、そう言えばこちらも立花だったな。……この場合、どうなるのだ?」
「いやあたしに聞かれても困るんだけどな。そんな事、答えられるやつなんているのか?」
「当人達次第……なんじゃないかな?」
 
 三人は揃って、天道響を見つめる。天道響はただ一言だけ、静かに呟いた。
「あの人が言っていた。絆とは決して断ち切る事の出来ない深いつながり。例え離れていても心と心が繋がっている……」
「えっと……つまり、どういう事だ?」
「喧嘩してもまた仲直り出来る、って事じゃないかな?」
「確かに、翔と立花のつながりは深い。この程度で引き裂かれるほどの関係では無いはずだ」
 
 天童語録からの引用に首を傾げるクリスと解説する純、一人で納得したように頷く翼。
 そこへ、未来が慌てて駆け込んで来た。
「皆大変!響と翔くんが……って、ええっ!?ひっ、響!?」
「ん……こちらの世界の未来か」
「あ~……また説明すんのか……。ジュンくん、頼むわ」
「わかった。小日向さん、実はこの立花さんはね──」
 
 こうして未来は、天道響の事について純から説明を受けるのだった。
 その時の未来は驚いたり、驚いたり、またも驚いたり、それから天道響にときめいたりと忙しなかったという。 
 

 
後書き
ようやく暁での初投稿ですね。ハーメルンに比べて使いにくいですが、これから改善していく事を信じましょう。
既存の回、とっくに読んだしって飛ばした古参読者の皆さんには、是非とも無印編最終回は読み返して頂きたい。ハーメルン時代には無かった一文を見つけられる事でしょう。アンケートの方も、よろしくお願いします!
それから、恭一郎くん回の後書きの方にも注目してもらいたいところですね。ハーメルン時代にはあった一文が消えている事に気付くでしょう。
ただ再投稿したのでは無い!どうせなら、と少々弄ってみましたよ!

次回、響き交わる伴装者は──デッデデデッ

未来「そう言えば、あの二人が喧嘩するところって見たこと無かった気がするなぁ……」
天道響「心配なのか?彼女の事が」
翔「俺は響を守る為に、この力を手に入れたんだ……」
響「なんでわたし、あんな事言っちゃったんだろ……」
藤尭「響ちゃんの隣にいるのは……翔くん!?」
友里「いえ、ネイティブですッ!」
翔「響から離れろッ!!」

次回『乙女の嫉妬と迫る魔の手』
天の道を往き、総てを司る!

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