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緋弾のアリア 〜Side Shuya〜

作者:希望光
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第1章(原作1巻) 緋色の改革者(リフォーマー・スカーレット)
  第12弾 避けられない衝突

 
前書き
第12話です。 

 
 始業式、それはキンジとアリアが出会った日。
 全ての元凶が起こった日。

「どういう意味だ?」

 質問の意図が分からず、目の前にいる理子に質問した。

「そのまんまだよ。始業式の日なんで無傷のままで登校できたの? それも時間通りに」

 俺は始業式の日を思い返した———





 朝起きてから、普段通り朝食を摂り、普段通り支度をし、普段より早く家を出た。
 始業式の日は若干気分が上がってしまうタイプなのだ。
 それ故に、この日はバスでは無く自転車を使った。

 自転車を出すときにサドルの部分をつかむ癖があるのだが、その時にC4爆弾が付いていることに気がついた。
 しかしこの時の俺は誰かのイタズラ程度にしか考えておらず寧ろ、「なんか資材が手に入ったな〜。ラッキー」とさえ思っていた。
 C4爆弾をサドルから外すと3分かからずに解体した。

 その後、解体したC4爆弾のパーツを鞄にしまった俺は自転車を漕いで学校へと向かった。
 漕ぎ始めて暫くすると、後ろからUZIを積んだセグウェイがやってきて右側を並走し始めた。
 そのセグウェイにはスピーカーも積まれておりボーカロイドのような機械音声で話し始めた。

「減速すると 爆発 するでやがります」

 最初はなんのこっちゃと思い流していたが、途中でC4爆弾のことを思い出した。
 これは無視して行こうと思ったのだが、あまりにもセグウェイが鬱陶しかったもんでついつい行動に移してしまった。

「んなもん、とっくに解体したわ!」

 そう叫んだ俺は、自転車を少し左に動かした後勢いをつけて右へ———セグウェイへと蹴りをかます。
 自転車の勢いが乗った蹴りでセグウェイはドカッ! という音とともに横転した。その際に、銃座のUZIは外れてしまった。

 セグウェイを横転させた後、誰がなんの目的でこんな事をしているのかを考えていると新たに15台程のセグウェイが来た。
 こちらはスピーカーは付いていないが、相変わらず無人でUZIを搭載している。

 俺は自転車のギアを6に入れると全力で漕ぎ始めた。
 それに合わせるかのようにセグウェイも加速した。
 俺は学校のある学園島を出て青海を目指した。
 チャリで全力疾走しながら無数のセグウェイに追われるというありえない状況だったね、これ。

 台場のゆりかもめの線路沿いを全力で走行していく。
 台場駅を通り過ぎてそのまま青海へと向かっていく。
 そして青海の倉庫街へと進んでいく。
 狭い道を蛇行しながら進んでいく。
 この時ドリフト気味に曲がったりしていたので、曲がりきれなかったセグウェイが何台か壁にぶつかっていった。
 それ故、先程まで15台近くいたセグウェイは5台にまで減っていた。

 残ったセグウェイ達は、しぶとく俺を追ってきた。
 だがそれも、ここで終わりだ。
 俺は海へと自転車を飛ばす。
 そして地面がなくなる瞬間にハンドルを思いっきり持ち上げ、ちょうどバイクのウィリーの様な状態で海へと飛んだ。

 飛び上がると同時に俺は、ベルトのワイヤーを右手側にあった近くの倉庫のドアノブに絡みつかせ、引いた。
 引いた勢いで、俺は再び地面の方へと戻った。
 海へと飛んだ俺を追いかけてきたセグウェイの内2台は減速が間に合わず水没して行った。

 残った3台のセグウェイは、着地しようとした俺に銃口を向けた。
 俺はUZIの銃口をジッと見つめ、そこに全ての意識を集中させた。
 そして、俺が着地すると同時にUZIからそれぞれ1発ずつ弾が発射された。
 普通ならこのタイミングで撃ってくる弾は避けられない。
 それをわかった上でこのタイミングで撃ったのだろう。

 だが、そいつは無駄だったようだな。
 何故かって? 
 それはだな、今の俺には弾の動きが《《全て見えている》》からだ。
 狙いは———頭、首、心臓。殺す気でやってるな。
 そんなことを思いながらも俺は弾の射線から離れるために、銃弾を見ながら反時計回りに90度、軸回転をした。

 そして、俺の側を銃弾が通り過ぎると同時に、右手で持ったベレッタを回転の勢いを使って流すように撃った。
 この際に使用した弾は3発のみ。
 その3発の銃弾は、確実にセグウェイの銃座を破壊していった。
 いまので、セグウェイは完全に沈黙した。
 俺は、セグウェイをくまなく調べた後全て解体し、鞄とは別で持ってきていたリュックに詰めた。

 部品を詰めきった俺は再び自転車にまたがった。そして、左腕に巻いた腕時計へと目を落とす。時刻は7時58分。
 ちょうど第3男子寮前にバスが来たあたりだ。
 俺は、今度は学園島を目指して自転車を漕ぎ始めた。

 その後、始業式の10分前には学校に着き普通に始業式に参加した。
 その日、教務科から出された始業式中の時刻に起きた事件についての周知メールに、俺が気がついたのは夜になってからだった———





「———アレをやったのはお前だったのか」

 今更ながら、周知メールに書いてあった内容と全く同じことが自分の身に起きていたことに気がついた。

「そうだよ。ぜーんぶ理子が仕組んだことだよ。で、どうして無傷だったの?」
「ああ、まずC4についてだが、乗る前に解体した。で、セグウェイは蛇行運転とフェイクと銃撃で全部お釈迦にした」

 と、言うような感じで軽く説明してやると、驚きと僅かだが感動のようなものが混じった顔をした。

「で、解体した爆弾とかはどうしたの?」
「爆弾とセグウェイの残骸は全部、放課後に平賀ちゃんと一緒になって夜までやってた発明に回した」

 それを聞いた理子は、少し唖然としていた……気がした。
 それにしても、一体何が目的で俺を狙ったんだ? 
 そこのところが全く分からない。

「何故俺を狙った?」
「そんなの簡単だよ。アリアとくっついてもらうためだよ」

 普段通りの口調でそう言った理子は、中身が入れ替わったかの様にシリアスな口調になって続けた。

「でも、本命は———シュウヤ、お前じゃ無い」

 ああ、そう。結局のところそうじゃないか。

「要するに予備だったんだろ、俺?」
「大正解!! 最初の予定では、シュウヤとアリアをくっつける予定だったんだけど、やっぱりキンジの方があってたんだよね〜」

 そこまで聞いて、俺の中で何がプツリと切れた気がした。

「……いい加減にしろよ、お前。さっきから黙って聞いていれば人のこと物みたいに扱いやがって。おまけに、お前の私的な理由で巻き込まれる者の身のことなんて全く考えて無いみたいな言い方しやがって」

 俺はそういう奴が1番気に食わない。こういう奴を前にすると冷静ではいられなくなってしまうタイプなのだ。

「あたしと(やろ)うっていうの?」
「上等だぜ。()ってやるよ」

 そう言い放った俺は、ベレッタを仕舞ってベルトの左右に付けたシースナイフを鞘から抜き、左手のナイフを逆手持ちにしてダガーのように構えた。

「あれ〜、そんなオモチャなんかで良いのかな〜?」

 確かに、刀などの武器を使い慣れた者や、それを見てきた人間からすればナイフなどはオモチャ同然であろう。
 俺自身もその内の1人であるから、言っていることはよくわかる。
 だが、今この場においては小回りの効くナイフ(こっち)の方が圧倒的に優秀である。
 何より今の俺は持っているとはいえ、刀を抜くつもりは無い。

「こいつで十分だ」

 俺は、内心を悟られないようにするためそう返した。
 そして、理子へと襲い掛かった。
 飛び込んでいく俺に理子は銃口を向けようとした。
 理子が銃口を向けきる前に体勢を低くした俺は彼女の懐へと忍び込んだ。
 そして俺の刃が彼女を捉えようとした刹那———彼女のツインテールで握られていたナイフが双方から襲い掛かってきた。

 俺はとっさの判断でその刃を抑えた。
 そして蹴りをかまそうとした瞬間、嘲るような顔をした理子は俺に右手で持ったワルサーP99の銃口を向けてきた。
 そして、2回のマズルフラッシュと同時に金属バットで殴られたような痛みが2回走った。

「ぐふっ?!」

 俺は反射的にナイフを弾いて後退した。
 至近距離で銃撃してきたのか。
 まあ、武偵同士の戦いでは当たり前のことなのだが。
 俺はナイフを仕舞ってベルトの背面側に付いた2つのホルスターから2挺のDE(デザートイーグル)を抜こうとした。

 それを見計らったかの様に理子が襲いかかってきた。
 俺は即座にDEを抜き、応戦する態勢に入った。
 銃口を彼女に向けた途端、手元にあった2挺のDEが消えた。正確には、彼女によって弾き落とされたのである。

「……?!」

 瞬間的に理解の追いつかなかった俺は僅かに硬直していた。
 理解の追いついた瞬間には———もう、遅かった。
 自分の眼前には、平行に並んだ2本のナイフが迫って来ていた。
 この時の俺は、純粋な死への恐怖しか無かった。

(駄目だ、終わった———)

 そう思った俺の中で再び、あの血流の感じが生まれた。
 全身を物凄い勢いで血が巡り、上半身へと血流が集まっていくこの感じは———間違いない、バーストモードを発動するときのものだ。

 そして、意識が再び現実へと戻ると俺は、上体を逸らしてとある映画の銃弾を避ける時の様な体勢になり、ナイフを避けた。
 そして、避ける体勢に移る時に抜いて置いたベレッタから、弾丸を彼女の左右の肩へと放った。勿論、相手の方を見ずに。
 被弾した彼女は、少し後退しながら態勢を立て直した俺に言った。

「くふっ、その感じなったんだね」
「……知っているのか」
「勿論知ってるよ。B(バーサク)S(シンドローム)T(タクティクス)でしょ。確か《《狂戦士》》みたいになるんだよね?」

 俺の体質のことを知っていたのか……。

「そうだ。で、まだ続けるのか———《《4世》》さん」

 その言葉を聞いた彼女はキレた。

「———お前もか。お前もあたしを侮辱するのか!! アイツらと同じように!!」
「知らねーよ、そんなこと。今さっき、人のこと物扱いしたんだから因果応報とでも考えろ」

 俺は煽るようにそう言った。

「お前は絶対殺す!!」
「上等だ、やってみろよ! 受けてやるからよ!」

 ヤバイ、完全にバーストモード(こっち)の俺に呑まれてきている。
 そんな事を考えていると、彼女が飛び掛ってきた。
 俺は、ブレザーの内側から2本の逆刃刀を抜き応戦する。
 俺の右の刃と彼女の右のナイフがぶつかりあって火花を散らした。
 俺は刀ならではのリーチを生かして、ガラ空きとなった彼女の右の脇腹へと刀を振った。

「貰った……!?」

 その瞬間、またしてもあの忌々しい記憶が蘇り邪魔をした。
 そのせいで、左手の力は抜け、握っていた刀を離してしまった。

「やっぱり、甘いね」

 そう言われたことで俺の意識は戻ってきた。
 しかし、目の前の彼女は既に左側のナイフを振り下ろしていた。
 俺は急いで刀を掴み直そうとした。

「……ッ?!」

 しかし、その刀を掴むことができず刀は床へと落ちた。
 なんだ、この左手に感じる違和感は? 自由に動かすことができない。
 俺は、無理矢理左手を地面について左へとローリング行い、ナイフを避けた。

「あれれ〜、さっきまでの威勢はどうしたのかな〜?」

 理子は、嘲るような顔で言った。

「ッ……」

 駄目だ、形勢が逆転している……! 
 一体どうなってるだこれ? 
 俺の身に何が起きているんだ? 
 分からない……。
 それに、この状況も打開しなければならない。

 こんな窮地でどうすれば良いんだよ……。
 策はある。だが、一か八かの賭けになる。
 やるしか無いみたいだな、可能性に賭けて。
 俺は震える左手を懐に入れて、弾倉(マガジン)を取り出した。
 それを見た理子はこう言った。

「悪足掻きかな〜?」

 俺は、その弾倉を投げつけた。
 瞬間、弾倉は眩い光を放った。

「……?! これは?」
閃光弾装(フラッシュ・マガジン)、お手製の武装さ」

 彼女の言葉に対して、《《あの時》》と同じ台詞で返す。
 そして、光が収まる前にブレザーを脱いだ俺は、刀を破棄してブレザーを彼女に覆い被せる為に飛びかかった。
 近距離であれば、体格で圧倒できる。その結論に至った俺はこの作戦を決行した。

 しかし、飛びかかった瞬間、僅かに機体が揺れた為に誤差が生まれてしまった。
 おまけに、ブレザーを離してしまった。
 その、ブレザーの死角から彼女———『武偵殺し』は現れた。
 そして俺は、ナイフで切りつけられた。
 左肩から鎖骨の辺りまで、そんなに深くは無いのだろうが傷ができていた。
 俺は飛んだ勢いのまま床に倒れて幾らか滑った。

 左肩からは血が飛び散っている。
 俺の意識は徐々に薄れて行った。
 薄れ行く意識の中で理子の声が聞こえてきた。

「残念だったな〜。シュー君ならもっとやってくれると期待してたんだけど〜。まぁ、しょうがないよね」

 そう言った彼女は俺の首元にナイフを突きつけていた。

「じゃあ、バイバイだね」

 ああ、俺はここで終わってしまうのか。
 結局、あいつ———マキの所に行くということも遂げられず、ただただ『武偵殺し』による犠牲者になってしまうのか。

 そして、ナイフが俺の首を裂こうとした瞬間、理子がナイフを止めた。
 突然理子は、背中を向けどこかへ行こうとした。
 途切れそうな意識の中、俺は尋ねた。

「何処へ……行くんだ……?」

 顔だけこちらに向けた理子は答えた。

「あの2人の元だ。お前はあくまで余興に過ぎない。あの2人こそがあたしの目的の本命なんだからな」

 そう言った理子は、バーの出口へと歩いていく。

「……待……て……」

 そう言ったところで、俺の意識は途切れてしまった———





 次に気がついた時、俺は客室のベットの上にいた。
 上裸で、傷口には包帯が巻かれていた。
 俺の荷物の中にあった医療キットのやつだな、これ。
 それになぜか、僅かだが傷が塞がっている気がする。

「気がついたのね」

 セアラさんが声をかけてきた。

「セアラさんが自分をここまで?」
「ええ、驚いたわ。血塗れで倒れていたから」

 そう言われた俺は俯いた。
 敗北。その事実が俺の胸を抉った。

「もう、平気なの?」
「……はい、手当していただいたお陰で」

 ゆっくりと顔を上げながらそう言った。

「ところで、自分は何分ぐらい気を失っていましたか?」
「私が見つけたのが15分前だから———15分ね」

 15分か。その15分で、何が起こったのかは分からない。
 だが、まだやるべきことは残っている。
 そう思った俺は、Yシャツに袖を通した。

「あ、左腕を吊ってあげるから待ってて」

 そう言ったセアラさんは、三角巾で俺の左腕を吊ってくれた。

「ありがとうございます」

 そう言った俺は、ブレザーを左腕だけ通さずに羽織った。
 そして、部屋を出ようとした。

「何処へ行くつもりなの? その怪我ではもう戦闘は無理よ」

 セアラさんにそう言われた。

「乗客などの安全確認です。あの、セアラさんにも手伝ってもらいたいのですが、いいでしょうか?」
「わかったわ。私はどうすれば良い?」
「取り敢えず、客室の方々の元へお願いします。自分は操縦士達の容態を確認してきます」

 そう言った俺は客室を後にした。
 そして、操縦士たちの元へと辿り着く。
 その瞬間、機体が大きく揺れた。
 俺は、急いで容態確認へと入った。
 1人目の確認が終わり、2人目に入ろうとした瞬間にアリアが現れた。

「アリア……お前もう大丈夫なのか?」
「シュウヤ! あんたなんでこんなところにいるの!」
「えっと、まあ、ロンドンに行くんでこれ乗ったこうなった。で、アリアの方はもういいの?」
「ええ。それよりあんた、その怪我どうしたのよ?」

 吊っている俺の左腕に視線を向けながら、アリアは問い掛けてくるのだった。

「理子にやられた」
「あんたもあいつとやったのね」
「負けたけど。で、理子は?」
「逃げたわ。今キンジが追ってる」
「そう。あ、あとこれ」
「?」

 俺はアリアに、機長のポケットにあったICキーを渡す。

「操縦室に行くんだろ? それが無いと入れないからここに来たんだろ」
「よくわかったわね。流石、あたしが見込んだだけのことはあるわね」
「そいつはどうも。とにかく、この2人は俺が見とくから早く行け」
「分かったわ」

 そう言ってアリアは操縦室へと向かっていった。
 そして、俺が2人目の容態確認を終えた途端、轟音と共に、今までで一番激しい振動がANA600便を襲った。

「なんだ?!」

 突風や落雷では無い、物理的に殴られたような衝撃だ。
 ANA600便は急降下を続けていた。
 俺は何があったのか確認しようと思い立ち上がった。
 そして、一旦出ようと思いドアノブに手を伸ばして開けると、目の前にキンジが立っていた。

「シュウヤ……!! なんでこんなところに! それにその腕は?」
「まあ、色々と訳あってだな。腕は、理子にやられた。ところで、理子の奴はどうなった?」
「逃げたよ、機外に。それと入れ替わるかのようにミサイルまで飛ばされた」
「ミサイル?! じゃあ、さっきの衝撃は———」
「ミサイルがぶつかった衝撃だ。おまけにエンジン2基を失った」

 アイツら、マジで何考えてるんだよ! このままじゃヤバイぜ。

「このままいけば、俺ら御陀仏だな」
「そうなるな。でも、そうはいきたくないな」
「同感だ。で、何しに来た?」
「取り敢えず、連絡手段を探しに」
「あー、それなら操縦士の持っていたこれを使ったらどうだ?」

 俺は衛星電話をキンジに渡す。

「これなら連絡が取れる。ナイスだ。ところで操縦士たちはどんな感じなんだ?」
「両人とも昏睡状態だね。恐らくだけど麻酔弾あたりを打ち込まれたんだと思う」
「そうか……」

 このタイミングで俺は、今1番の疑問をぶつける。

「ところで、お前今なってるだろ。ヒステリアモードに。どうしてなった?」
「気づいていたか。まあ、色々あったんだ。察してくれ」

 うん、狭い機内で何したのかって言われると、選択肢が絞りやすいから察しやすいわ。

「そういうお前もまた、なってんじゃ無いのか?」
「まあね。と言っても、終わり際の方だがな。それより、行かなくていいのか、操縦室? アイツが怒るぞ?」
「そうだな、早く行かないとアリア嬢がお怒りかもな」
「というわけで早く行け」
「そうするよ。本当はシュウヤに操縦を頼みたかったんだが」
「悪いな……こんなになっちまって」

 俺は、視線を逸らしながら謝罪の言葉を述べるのだった。

「お前が謝ることじゃ無いさ」
「ありがとな。とにかく、頑張れよ」
「ああ」

 そう言ったキンジは、走って操縦室へと向かって行った。
 俺は、近くにいたアテンダントさんに2人をお願いして、客室へと戻った。
 客室に戻った俺は、ソファーに座って携帯を開いた。
 そして、電波の状況を確認した。

 しばらく画面とにらめっこしていると、アンテナが立った。
 俺は、電話を掛けたが相手は通話中だった。
 仕方がないのでしばらく置いてから掛け直した。
 そして、相手が出た。

『もしもし?』
「もしもし武藤?」
『シュウヤ! お前今どこにいるんだ?』
「んー、敢えて言うなら東京上空かな?」
『お前、まさか……!』
「そのまさか。ANA600便の機内だ」
『お前も乗ってたのか! でも、通信科(コネクト)の周知した情報だとお前の名前は無かったぞ?』
「そうだろうね、だって俺の名義で乗ってないんだから」

 名義は多分セアラさんだろうから、俺がいるなんて1ミリもわかんなかっただろうな。

『どういうことだよ?』
「今話すと長くなるからまた後で話すわ。取り敢えず、やってもらいたいことがあるんだけど」
『なんだ? こっちは今忙しいんだ』
「お前まさか、滑走路の用意してるのか?」
『ああ、羽田の滑走路は自衛隊が封鎖してるからな。で、キンジの奴が「空き地島」に着陸するとか言い出したからな』

 あいつらしい発想だな。
 多分俺も同じことしただろうけど。

「もう既にやってるんだったらいいや」
『お前、このことがわかっていたのか?』
「うん、なんとなくね。悪いけど頼むよ」
『ああ』

 武藤がそう言って電話は切れた。
 その直後、セアラさんが部屋に戻ってきた。

「どうでしたか?」
「怪我人はいなかったわ」

 その言葉を聞いて安堵していた。
 セアラさんが向かいのソファーに座った。
 その時、機内放送が入った。キンジの声で。

『皆様、当機はこれより緊急着陸を行います』

 セアラさんはソファーを強く握っていた。
 ソファーを握った。
 そのアナウンスの後、機体はどんどん高度を下げていく。
 そして、レインボーブリッジが見える辺りまで来た。
 俺は窓から外を見る。
 案の定、空き地島は見えなかった。

 すると、空き地島にポツリポツリと、光が灯り滑走路になっていた。
 武藤たちがやってくれたんだ。キッチリと対角線になるように。
 滑走路は準備できてんだ、後は頼んだぜキンジ。
 そのまま、空き地島に着陸した600便はブレーキをかける。
 そして、何か途轍も無い衝撃が機体に走った。
 他の部屋からは、悲鳴が聞こえて来たが、俺の意識は再びここで途切れた———





 気がつくと武偵病院にいた。
 あの後、救助された俺は武偵病院に搬送されたらしい。
 殆ど記憶がないのだが、救助の際に俺は受け答えはできていた、ということを璃野から聞いた。
 ついでに、俺の症状について聞いたところ、傷は跡が残らないもので全治2週間ほど。
 腕の痺れに関しては、過労とのことで。

 要は、しっかりとした睡眠がちゃんと取れていないからこうなったらしい。
 今思い返すと、敗因となったことが睡眠不足だなんて言えない。
 そんなことを思いながらも、取り敢えず一晩グッスリと眠った。
 そして、現在俺の元にはセアラさんが来ている。なんでかって? 簡単だよ。

「今から、ロンドンに向かいますよ」

 だってさー。
 ちょっと待って、武器の整備とか荷物の支度とかしてないよ。
 そう思っていた俺の前でセアラさんは、俺の荷物を取り出した。

「荷造りなら済ませましたよ」

 ニッコリと笑ってそう言った。
 わー、早いなー。ちゃんと銃弾の数とかもリストアップされてるよ。
 ていうか、学校に申請通してないんですけど。

「あ、学校には既に連絡済みです」

 嘘でしょ? 早すぎるだろ? 

「じゃあ、行きましょう」

 そう言ったセアラさんになされるがままに、俺は病院から羽田へと連れて行かれる。
 因みに、退院するとき璃野にどこに行くか聞かれたのでロンドンへ出張と言っておいた。
 そしたら「お土産買ってきてくださいね」と言われた。まぁ、いいけど。

 で、なんやかんやあったが羽田に着いたのが15分前。
 だが、既に俺は機内にいる。
 今回はファーストクラスだってさー。なんでそんな簡単にこういう席取れちゃうの、マキさん?? 
 ていうか、セアラさんも行動に移すの早く無い? 
 いや、早いのは悪いことじゃ無いけどさ……。

 それで、もう離陸と。
 いくらなんでも一連の流れが早すぎる。
 あー、でもなんか眠くなってきて考え事したくなくなってきた……。
 どうも俺は、乗り物に乗ると眠くなってしまうタイプらしい。
 そのまま、俺は夢と現実の狭間へと落ちていった。
 その際、セアラさんが「おやすみ」と言った気がした———





 寝ている俺は、ある音で目が覚めた。しかし、目を開いたりはしない。
 何故かと言われたら、簡単だ。
 銃器の音がするからである。

「動くな!! 大人しくしてろよ!! 動いたら撃つからな!!」

 そして極め付けに、そんな声が聞こえたからである。
 またかよ。また、これかよ。
 あー、もう! 一体全体———《xbig》な ん な ん だ よ ッ ! 《/xbig》 
 

 
後書き
今回はここまで 
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