| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

曇天に哭く修羅

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第一部
  練氣術

 
前書き
原作を読んで疑問だったんですが、普通の魔術師が使う魔晄は白銀なのに、なぜ黒鋼流の練氣術や特定の魔術師の魔晄が黄金なんだろう。

特に紫闇の必殺技は黒鋼に来る前から金色だったのに威力が無かったし。 

 
黒鋼での修業。

その始まりは普通。

ストレッチに筋トレ、ランニングと至って健全なスポーツな内容を朝から昼まで行った。

立華紫闇(たちばなしあん)》は拍子抜けする。


「よく鍛えてあるね紫闇は。その割りに戦闘技術は素人でお粗末だけど」

「紫闇は8年くらいトレーニングを続けて体力付けてるし体も作ってるからな」


黒鋼焔(くろがねほむら)》の感心に《永遠(とわ)レイア》が頷く。


「なら次はアレにしよう」


そう言って焔は午後の修業に移る。

黒鋼の屋敷に在る道場で紫闇を待ち受けていたのは高さ2メートル程のピラミッド。


「見本を見せるよ」


焔がピラミッドに向かって小さく跳ぶ。

このままでは体育の[跳び箱]で失敗する人みたいに激突してしまう。

そう思われた時、彼女の背中から黄金の粒子が噴き出して体が浮き上がっていく。

そのまま軽くピラミッドを飛び越した。


「これは黒鋼流に伝わる【練氣術】で、今の技は『三羽鳥(さんばどり)ノ一・音隼(おとはや)』と言うんだ」


この技を覚えるのにリモコンで高さを調節できるピラミッドが便利らしい。

紫闇は声を震わせながら焔に尋ねる。


「これは【異能】……なのか? でも外装のタイプからして有り得ないよな。そもそも外装を出してないし、【超能力】だったり……?」


紫闇は先日に焔の外装が異能を宿さない【規格外】ではあるものの、異能や超能力を使えると聞いているのだが、もう一度確認をしてみた。


「違うよ。【魔晄外装(まこうがいそう)】を出してないから【魔術師】の異能じゃないのは判るだろう? それに超能力みたいなのも使ってない」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


紫闇の考えは否定される。


「練氣術は【魔晄操作】の技術を極めた先に在る黒鋼流の技法であって、音隼は練氣術で使えるようになる黒鋼流の技でしかないよ」


焔の言葉に紫闇は驚きを隠せない。


「紫闇の気持ちは解る。魔晄操作は魔術師が魔晄外装を出せるようになる前に覚えるものだからね。魔術師のみんなが使っている身体強化や魔晄防壁みたいにして使うだけしかイメージがないんだろう?」


レイアの言う通りだ。

その身体強化や魔晄防壁も突き抜けて優れたものにしてくれるわけではない。

世界でも上位の魔術師は別だろうが。

紫闇にとって魔晄操作は魔術師ならば誰にでも使える特に大したことがない技術。

もちろん目新しさは無い。


「大半の魔術師間ではレイア兄さんが言った認識で正しいと思うよ。ちょっとした身体強化や防御にしか使うものじゃあない」


しかし魔晄操作を黒鋼流でいう練氣術の域まで使えるようになると、生半可な異能よりも遥かに強力で厄介なものになるという。

飛行能力・桁外れの攻撃力・鉄壁の防御・超人的な速度に人外的な身体能力。

異能のように解りにくい特殊なものではないが、基本を磨き抜き追求した力を得る。


「魔術師の魔晄はドラゴンボールの[気]とハンターハンターの[念能力]における基本の四大行と似たようなものかな?」


紫闇は二人の話に疑問を覚えた。

そんなに上達した魔晄操作が強力なのに、なぜ魔術師は使わないのか。

最もな意見だ。

扱いが難しい、使いどころが限定される異能を持った魔術師の場合なら尚のこと。

何せ練氣術は下手な異能を必要としないほどの圧倒的で解りやすく、シンプルかつ単純な、

防御が堅い

動きが速い

攻撃が重い

つまりは強い

を体現してくれるのだから。


「使わない答えは簡単。普遍的な魔術師は【魔術学園】でやってるみたいな訓練を繰り返して【天覧武踊】の実戦で経験を積みながら自分の異能に習熟したり、使い方に幅を持たせた方が遥かに早く、効率的に強くなれるから」


レイアは小細工や特殊能力より魔晄操作のような基本の土台と基礎能力の高さを重視している魔術師なので魔晄技術が無駄だと思わない。

魔晄以外にも力を使える身としては。

紫闇は焔達の話を聞いて悟る。

練氣術は異能を使えない規格外の魔術師が戦う為に覚える技術なのだと。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「なるほど。確かに異能の使い方を習熟させた方が早く強くなれるよな。だからみんなは練氣術と同じ発想に至らないのか」

「魔術師は異能を宿した魔晄外装が全てで異能を頼りに戦うのが当たり前。だから外装の形状や型に合った使い方を身に付けていない奴や魔晄に対して質量しか見ていない奴も居る」


紫闇の言葉にレイアは嘆く。


「対して紫闇やあたしみたいに異能無しの規格外が持つ外装は頑丈なだけのガラクタ。普通の人間がその辺に置いてある物で殴るようなもの。打撃の威力がちょっと上がるくらいにしか役に立たない」


だから規格外は普通の魔術師や超能力者と同じ戦い方で勝つことは有り得ないのだ。

相手の魔晄防壁が弱くて薄かったり魔晄が切れたりした場合は別なのだが。


「黒鋼一族は代々魔術師なんだけど、何故か規格外の人間しか生まれなくてね。だから普通の人間にも出来る武術と【魔晄(まこう)】に着目して一般的な魔術師とは違う戦闘技法を編み出したというわけなのさ」


焔は黒鋼の先達(せんだつ)が千年以上に渡って研鑽し、磨き、練り、積み上げた果てに漸く完成した一族の黒鋼流体術に自信を見せた。
 
 

 
後書き
_〆(。。) 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧