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緋弾のアリア 〜Side Shuya〜

作者:希望光
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第1章(原作1巻) 緋色の改革者(リフォーマー・スカーレット)
  第08弾 戦徒試験

 
前書き
第8話です 

 
 翌朝5時半、リビングで携帯が鳴った。こんな時間に誰だろうか。
 さっきまで寝ていたのに着信音で起こされてしまった。

「……もしもし?」

 寝起きということと、無理矢理起こされたことで今は若干機嫌が悪い。

『樋熊。起きとったか』

 電話の相手は蘭豹先生。
 なんだこの教師。朝から元気だなー。

「何かあったんですか?」
『昨日、お前と戦徒(アミカ)を組みたい奴らから届けが出されてな。それで連絡しただけや』
「連絡ありがとうございます。ところで、何人ぐらいから来ていますか?」
『ざっと数えて4人だな』

 微妙だな、おい。
 ていうか、ざっと数えるほどの人数でもないだろ。

「わかりました。7時ごろ教務科(マスターズ)に向かいます。あと、7時20分までに看板裏に来るように、4人に伝えてもらえませんか?」
『分かった。待っとるで』

 戦徒ね……。俺にも、依頼があるのか……。
 そんなことを思いながら、俺は準備に取り掛かかった———





 ———午前7時20分。現在看板裏と呼ばれる空き地にいる。
 看板裏とは、レインボーブリッジに向けて立っている看板と、武偵高の施設の間にある長方形の空き地である。ここは、基本的に人が来ないので指定場所に選んだ。

 今ここにいるのは、俺と1年が4人だけである。その1年達は皆俺と戦徒を組みたい奴ららしい。一年はそれぞれ、強襲科(アサルト)探偵科(インケスタ)諜報科(レザド)鑑識科(レピア)といった感じである。
 ここに来る前に、教務科に寄って1年の情報を貰って来た。目を通したのは、学科の部分だけだが。

「全員いるな? よし、始めようか」
「先輩、質問いいですか?」

 1人がそう行った。確か彼女は、探偵科の生徒だったかな。

「ん、どうした?」
「今回は、何で採用試験をするんですか?」

 いい質問だ。基本的に戦徒試験は、強襲科(アサルト)が推奨するエンブレムと呼ばれる物で決めることが多い。しかし、今回は違う。

「ああ、今回はお前ら全員で総当たり戦をやってもらう」
「総当たり戦?」
「そうだ。それで、お前達の戦い方を見て考える」
「はぁ……」

 まぁ、困惑するよな。いきなり、1年同士でやり合えと言われたのだから。

「1試合、1分半だ。それで回す。いいな」
「「「「はい」」」」

 こうして、1年対1年の総当たり戦が始まった———





「やめッ! そこまでだ」

 全ての試合が終わった。現在時刻午前7時33分。
 取り敢えず、全員の戦い方を見てみた結果ここから2人を選抜することにした。

「お疲れ。ここから2人選抜する」
「2人?」
「そうだ。最終的には1人に絞るがな。で、その2人っていうのは、君と君だ」
「あの、他の2人はどうなるんですか?」
「他の2人は、俺の戦徒に出来ない」

「なんでですか!」
「そうですよ!」
「お前らには、俺から教えられることが何もないんだ。だから俺はお前らを戦徒にはできない」
「どういうことなんですか?」
「俺が、お前達を教えるのに向かないってことだ。だから、俺以外にもっと良い先輩がいるはずだ。その人達と組んだ方が圧倒的に良い。そういうことだ」

 俺は、前にアリアが言っていた通りSSRとCVR以外の学科に通っている。だが、やはり俺も人間である以上できることとできないことがある。
 教えてもらった際の吸収は自分的に早い方だとは思っている。
 周りからもそう言われている。

 だが、人に教えるとなるとしっかり教えられないのである。現状俺が教えられるのは、強襲科で習うことと、探偵科で習うことや、狙撃科(スナイプ)で習うことを少々といった感じである。

「と言うわけだ。悪いが今呼ばれなかった2人はこれでおしまいだ。今から、別の奴に戦徒の届けだしてこい」
「……わかりました」
「……ありがとうございました」
「ごめんな……」

 そんな会話をした後、2人は去っていった。

「……さてと、今から1人に絞ろうと思う。それぞれ名前と学科、志望理由をそれぞれ言ってもらう。後、取り敢えずだがランクも言ってくれ。いいな?」
「「はい」」
「じゃあ、まず俺から見て左のほうからよろしく」
「はい。強襲科所属の1年、篠田勇輝です。ランクはBです。志望理由は、先輩の戦闘センスに興味を持ち自分も先輩みたいな武偵になりたいと思ったからです」

 と答えた男子生徒。

「なるほど。篠田……だっけ?」
「勇輝でいいです」
「わかった。じゃあ勇輝、お前が興味を持った俺の戦闘センスっていうのは、どういう戦い方のことだい?」

 すると、勇輝は暫く考えた後にこう言った。

「そうですね、例えば3日前の神崎先輩と戦った時に見せた動きとかですかね」

 こいつ、あの時の戦いを見ていたのか。まぁ、強襲科所属って言うくらいだから仕方がないと言えば仕方がない。

「なるほど。だが、俺の戦弟(アミコ)になったところであれができるようになるとは限らないぞ」
「だったら、盗むまでです」

 なかなか、面白い奴だな。
 でも、もう1人いるのでそっちも聞かないと選べないな。

「わかった。ありがとう。それじゃあ、次宜しく」
「はい。探偵科所属の1年、笠原璃野です。ランクはBです。後、探偵科の他に救護科(アンビュラス)も兼科していてそっちのランクはAです」

 探偵科と救護科の兼科か。しかも、兼科してる学科の方がランクが高いと来ましたか。

「志望理由は?」
「えっと、自分は戦闘関係がそんなに得意では無くて———」

 それはさっきまでの模擬戦で分かっていた。他の志望者に比べて戦闘面は劣っていると言えた。

「自分を守れる程度の戦闘技術を覚えたかったというのが一番の理由です」

 なるほど。そう言う理由で俺に志望して来たのか。
 俺のところに来た1年生は皆戦闘能力が高かったが、彼女だけは違った。
 故に俺は、何故彼女が俺に志望したのかが気になった。
 だから、彼女の答えを聞くために候補に残した。
 それともう一つ気になったことを質問してみた。

「なんで、兼科の救護科のランクがAなんだ?」
「あ、それはですね、もともと私は救護科をメインでやっていたのですけど、途中で別の学科にも挑戦してみようかと思って探偵科をメインにしたらこうなりました」
「なるほど。分かった、ありがとう」

 さて、どうするかな。どっちを戦徒にするか……。

「悪い」
「「?」」
「少し時間をくれ……」
「「はい」」

 さてと、少し考えますか———





 ———よし。

「時間がかかって申し訳ない。今から戦徒になる方を発表する」
「……」
「……」

 あたり一帯を静寂が包む。

「合格したのは———笠原、お前だ」
「……」
「……!?」

 俺が戦妹(アミカ)に選んだ笠原は、固まっている。

「……先輩、何で彼女なんですか?」

 勇輝が質問して来た。無理も無い。
 普通に考えて強襲科に所属している俺は強襲科の生徒を選ぶべき。それは極々普通の考えだと思う。
 だが、俺が選んだのは探偵科所属の笠原。

 一応俺は、彼女と同じく探偵科所属だから問題は無いが———勇輝の質問は多分そう言うことではなく何を理由に彼女を戦妹にしたかの答えを求めているのだと思う。

「彼女を戦妹にした理由は———さっき彼女が志望理由で何て言ったか覚えてるか?」
「確か、自分を守れる程度の戦闘技術が欲しいとか言ってましたね。それが、関係あるんですか?」
「ああ。彼女は、自分に何が足りなくて何が必要なのかわかっている。探偵科は尾行などの犯罪者などと関わったりする任務(クエスト)があったりして、もしもの時は戦闘を行う必要があるからな」

 俺はそのまま続ける。

「その際に最低限自分の身を守ることができないといけない。彼女はそれを分かった上で俺の元に来た。これが一番の理由かな」
「そうですか……。それでは、先輩に質問します。僕は何故選ばれなかったのですか?」
「お前の場合は———少し、自分に必要なものが見えていなかったってことかな。確かに強襲科に所属する生徒は敵を制圧したりする任務を受けたりするから強く無いといけないっていう気持ちはわかる」

 そう言われた勇輝の顔色は、変わることが無かった。
 俺はそれを横目に続ける。

「だが、お前は純粋に強さを求めすぎた。それに強さを求める理由が不透明だったっていうのもある。こんな感じかな」
「……」
「まぁ、なんかあったら聞きに来い。その時は答えられるものであれば答えるからさ」
「……はい!」
「取り敢えず、俺の連絡先だけ渡しとくよ」

 俺はそう言って、その場でサラッと書いたメモを手渡した。

「ありがとうございます」
「じゃあこれ。後で空メール送っといてくれ」
「はい」
「おーい、笠原しっかりしろ」

 勇輝に連絡先を渡した俺は、今の今までフリーズしている笠原を呼んでみる。

「……はっ! 此処は?」
「看板裏だ」
「私今まで何してたんですか?」
「おいおい、しっかりしてくれよ。さっき俺の戦妹になっただろ」
「そうでした。すいません」
「取り敢えず、今日の午後の専門科目の時間空けておけよ。強襲科の施設でお前の状態を見るからな」
「はい!」
「じゃ、そろそろ教室に向かわないとな。今、7時58分だし」
「「はい」」

 こうして、朝早くから行われた戦徒試験は終了した。
 余談だが、朝早くに叩き起こされた俺は4時間目の終わり頃から昼休みの中頃まで爆睡していた———





 ———5時間目、専門科目の時間である。
 今俺がいるのは強襲科の訓練施設の前である。
 今は、笠原が来るのを待っている。遅いな、あいつ。
 などと思っていると、こちらに向かって来る人影がある。

「すいませーん!」

 無論、笠原である。

「お前何してたんだ?」
「……自由履修の……ハァハァ……届け出を……ハァ……していました」
「大丈夫か?」
「はい……」
「そうか。取り敢えず、中に入るぞ」

 俺達は施設の中に入った。
 入って早々、手厚いお出迎えが待っていた。言うまでも無い、死ね死ね団(アサルト)の連中からの襲撃である。

「懲りないなぁ……。笠原、俺の後ろにいた方が良いぞ」
「え、あ、はい」

 正直彼女は後ろに居ろと言われた理由がよくわかっていないだろう。

「さぁ、今日こそお前を倒すぞ!」
「俺は忙しいんだ。他を当たってくれ」
「そんな事言ってに……のわっ!」

 襲いかかって来たやつを、そのまま向かって来た方とは逆方向に向かって投げ飛ばす。

「え、ちょ、まっ———うわっ!」

 投げ飛ばした方向からも俺に向かって来ていたらしく、投げたやつと向かって来た奴がぶつかった。まさに、玉突き(ピンボール)状態だなこれ。

「俺はやらなきゃいけないことがあるんだ。取り敢えず、また後にしてくれ」

 そう言った俺は、笠原を連れて射撃訓練場へと向かった———





 ———射撃訓練場に着くと、見覚えのある奴がいた。

「ようキンジ。射撃訓練か?」
「ん? なんだシュウヤか。見ての通りだよ。お前はどうしたんだ?」
「今朝戦妹ができたから様子見がてら連れて来た」
「ん? 戦妹?」

 俺に戦妹ができたのが驚きなのか、右手に持った違法改造のベレッタM92F———通称ベレッタ・キンジモデルの弾倉(マガジン)を入れ替えながら聞き返してきた。

「そう。確かお前もいたよな。諜報科の———」
「風魔のことか?」

 キンジは俺の言葉に続けていった。

「あ、そうそう」
「———お呼びでござろうか、遠山師匠」
「「「うわ! (わ!)」」」
「脅かすなよ風魔」





 ———風魔陽菜
 1年、諜報科所属のBランク武偵。
 俺やキンジと同じく神奈川武偵高校付属中学の出身。

 中学時代、偶然ヒステリアモードになっていたキンジと戦闘訓練を行った際に、キンジに赤子の手を捻るように倒されたことによりキンジを尊敬して師匠と呼んでいる。

 相模の高名な忍者の末裔だとか言う噂がある。
 どうでもいいが、彼女はとても貧乏らしい。いくつものバイトをこなしているとか。





「すまないでござる、師匠」
「お前いつから居たんだ?」
「師匠が来るより前でござる」
「結構長時間いるんだな……」
「調査の依頼でも入っているのか?」
「さよう。しかし、標的(ターゲット)は言えないでござる樋熊殿」
「言わなくても良いよ。元々聞こうとも思ってなかったし」

 俺は風魔に、そう返した。

「某はこれで」
「ああ」
「頑張れよ」

 そう言った後、風魔は去って行った。

「———話を戻すがお前、戦妹ができたのか?」
「うん、俺の後ろにいる奴」
「なんで、後ろにいるんだ?」
「ここに入った時死ね死ね団(バカ共)が俺に襲いかかって来たから後ろにいるように言ったからだ。笠原、自己紹介しとけ」

 俺に促された璃野は、名乗るのであった。

「1年探偵科所属の笠原璃野です。よろしくお願いします」
「遠山キンジだ」
「え、あなたがあの強襲科でSランクだった遠山先輩ですか?」
「そうだよ」
「お、おい」
「でも、今の学科は違うよ」
「え?」
「笠原と同じで今は探偵科だぞ」

 そういや、2人とも探偵科だったな。面識とか無いのかな? 無いだろうな。だってキンジ(こいつ)根暗だし、昼行灯でもあるからな。同時に、人との接触を極力避けたいタイプだろうから。

「じゃあ、今の2年生の首席候補って誰なんですか?」
「多分———」
「アリアじゃ無いのか」
「———かもしれないな」
「樋熊先輩じゃないんですか?」
「俺は首席とかに興味ないしなる気もない」
「そうですか———」
「ていうかキンジ、お前射撃の命中率悪いな」

 キンジの射撃レーンを見て思ったことを正直に言う。

「ほっといてくれ」
「この腕だとおまえの武器(えもの)が泣くぞ」

 さっきも説明した通り、キンジの銃は違法改造だ。改造内容としては、3点バーストとフルオート機構の追加。だった筈……。
 改造したのは平賀さんだからあまり詳しくは分からない。
 でも、内部構造を見たことはある。

 一度だけキンジに頼まれてメンテナンスをしたことがあるが凄かった。
 ほかに言い表しようが無いくらい凄かった。
 キンジには勿体ないくらいの銃だと思える。

「……」
「ごめん、悪かったよ」
「……相変わらずだな」
「そっちこそ」
「ところで、そいつを連れてきて何するんだ?」
「おっと、そうでした。笠原、お前の射撃の腕を見せてもらいたいんだがいいかな?」
「はい!」

 そう言って笠原が取り出したのは、9mm拳銃。
 9mm拳銃とは、SIGP220をベースに日本で作られた国産の銃。
 使用弾薬は9mm弾(パラベラム)である。

 この銃は自衛隊で採用されている拳銃であり、米軍と弾薬を共通化させるために9mm弾が使用されている。
 ここで、気になることを聞いてみる。

「武器はそれだけ?」
「今は手元にありませんが、他にSIGP225とP226、P245があります」

 おいおいSIG系統(シグシリーズ)ばっかだな。
 SIGP225、P226、P245はそれぞれP220から派生した銃である。
 SIGP225は、P220の小型化したものである。
 小型化に伴い装弾数も減ったりしている。

 しかしそのサイズは秘匿武装としては文句のない大きさである。
 ちなみに、P245はP225の弾薬が9mm弾から.45ACP弾に変わっているだけで他に変わりは無い。
 P226は、P220の後継型の銃である。装弾数が9+1から15+1に増えている。

 どうでもいいがこの銃、アメリカ軍の主力武器の候補に挙がったのだが、最終的にベレッタM92に敗れて主力武器になれなかったという経緯を持っている。

SIG(シグ)好きなのか?」
「はい! とても使いやすいので」
「確かにシンプルなデザインで性能も標準的だしな。どっかの誰かさんよりも全然いい理由で銃を選んでるな」
「うるせ……。そういうお前はどういう理由で選んだんだよ」
「見た目と性能ですかね」
「どうせ高かったんだろ」
「そんなことないぜ、横流し品だったからな。確かお前の安売りしてたやつだっけ? しかも今は違法改造品か」
「そういうお前のだって改造してあるだろ!」

 そういうキンジに対して俺は、小馬鹿にするような口調でこう言う。

「残念だったね遠山君。僕の銃の改造は全て合法の範囲内なのですよ」

 そういうと、痛いところを突かれたというような顔をした後こっちを睨んでくる。

「おっと話が逸れてしまった」
「お前が逸らしたんだろ!」

 そう言ったキンジが頭を抱えている。

「おい、大丈夫か?」
「誰かさんのせいで頭が痛いよ」
「誰でしょうね」
「お前だよ!」
「悪かったよ、今度なんか奢るから」
「……そういうのはお前の悪いところだぞ」
「お前のそういうお人好しのところも命取りになるかもな」
「別に俺はお人好しなんかじゃ無い」
「まぁそうツンケンすんなよ。俺はお前のいいところだと思ってるし」
「……」
「まぁいいや。笠原、教えるからまず撃ってみろ」
「はい」

 こんな感じで指導を始めたが———正直言って笠原のセンスなどは悪くはない。教えていけばしっかり上達するタイプだと思う。
 現にどっかの誰かさんより命中率いいし。
 そんなことを思いながら指導を続けるのであった。





 6時間目が終わった後———つまり放課後、俺は兵站学部(ロジ)に出向いた。
 何故かといえば、装備科(アムド)の平賀さんのところに行くということと、たまには車輌科(ロジ)に顔を出しておかないとマズイと思ったからである。

 ちなみに、平賀さんのところはすでに訪れた。
 それでこの間頼んだ銃のことに関して聞いたら『次の金曜日に届くのだ 』と言われた。

 で、その銃の代金を先払いしてきたのだが……あれ、銃ってこんなに高かったかな? と言えるぐらいの金額だった。
 ヤバイ、今月持つかな……。
 取り敢えずそのことについては、今は置いといて車輌科でのことに専念しようと気持ちを切り替える。

「あー、久々だなここ」

 俺が今いるのは、自動車教習所みたいなコースがある訓練施設。ここでめちゃくちゃ車の運転とかやったな。

「おう、シュウヤ! 久しぶりだな!」
「なんだ武藤じゃん。まだ残ってたの?」

 俺に声をかけてきたのは俺と同学年の武藤。





 ———武藤剛気
 車輌科所属のAランク武偵。
 身長190近くの大男で、特徴はツンツンした頭。
『乗り物』と名のつくものならなんでも運転できるという特技を持っている。
 また、キンジの親友である。
 口癖は「轢いてやる」だったはず。





「ああ」
「なんでまた?」
「新しく改造したやつに乗りたくてな」
「その違法改造したやつで減点くらうなよ」
「わかってるって。ところで、お前はどうしたんだ?」
「ああ、なんとなく車輌科(ここ)にも顔を出しておかないとなって思って」
「そうか。どうだ、たまには俺とレースしないか?」
「お、いいね。たまにはやろうぜ」
「よし、5分後に開始だ」
「了解!」

 この後、俺は武藤と車両を使って勝負をしたが、全部引き分けだった。
 それともう一つ後日談みたいなものだが、この翌日武藤は違法改造がバレて減点くらったそうな。
 せっかく注意してやったのに。
 後、キンジに『約束は守れ』と言われて学食で一番高いものを奢らされた。
 今月もうもたない気がしてきたな……。 
 

 
後書き
今回はここまで 
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