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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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第3楽章~不滅の聖剣・デュランダル~
  蠢く影

 
前書き
大変長らくお待たせしました!
デュランダル編、ようやく始まります!

この日は蒼井翔太さんの誕生日だったっけ……。
カリオストロの姐さんは、AXZの中でも上位に食い込む推しでした!
XDの水着イベでも何とか交換出来たので、あとはファウストローブtypeⅡと私服のみ!
いつかはサンジェルマンやプレラーティと並べて、全員ファウストローブtypeⅡの姿でクエストに行きたいですね。 

 
「はぁ~……自分でやると決めたくせに申し訳ないんですけど、朝から一日中トレーニングなんてハード過ぎますぅ~」
 そう言って立花は、司令室のソファーに崩れ落ちた。
「そう言う割には楽しそうだぞ?ほら、汗はちゃんと拭かなきゃ風邪ひくぞ」
「まあね~……あ、翔くんありがと」
 そう言って立花は、俺から受け取ったスポーツタオルで汗を拭いた。
「頼んだぞ、明日のチャンピョン達!」
「はい、スポーツドリンクよ」
 ジャージ姿の叔父さんが、スポーツドリンクを片手に、反対側のソファーにどっかり腰掛ける。
 俺達の分のスポーツドリンクは、友里さんが手渡してくれた。
 この冷え具合、あったかいものだけではなく、冷たいものまで適温で用意してくれる友里さんは、やっぱり二課に欠かせない健康管理役だと思う。
 
「わは~、すみません!んぐんぐんぐッ……ぷは~っ!」
「あんまり一気に飲み干して、噎せたりするんじゃないぞ?」
 生き返る~っ、とばかりにスポーツドリンクをストローから吸い上げる立花に、ついつい笑いながらそんな事を言ってしまう。
 やれやれ、こんなに可愛らしい娘が彼氏いない歴=年齢だなんて……いっそのこと、貰ってしまいたい……。
 いや、何を考えているんだ俺は。
 立花にはきっと、俺なんかよりもいい人が見つかるだろう。それこそ、あの小日向でも認めるような、優しい人が……。
 俺は優しいんじゃなくて、あの日の後悔と憐憫、その贖罪で彼女を支えているだけだ。そんな偽善者なんかじゃ、彼女に並ぶには似つかわしくないだろう。
 
 だが、そんな一歩引いた考えとは裏腹に、こんな事を考える自分もいる。
 もしも、立花の方から俺を求めてきたら……。
 立花が他の誰でもなく、"風鳴翔"を選ぶような事があったとしたら……?
 
 やれやれ、そんな事を考えてしまうなんて。もしかして、これは「愛」ではなく「恋」なのではないかと疑ってしまうじゃないか。
 ──下心なんかじゃない。俺は真心を以て、立花響という少女を支えるんだ。
 
 だから……。
 
 だから……?
 
 はて、俺は果たして立花にとっての"何"なんだろうか……?
 
 そんな事を悶々と考えていると、司令室を見回した立花が、ふと思い出したように言った。
「そういえば師匠、了子さんは……?」
 言われてみれば、今朝から姿を見ていない。
 研究室にでも篭もっているのだろうか……?
「永田町さ」
「「永田町?」」
「ああ。政府のお偉いさんに呼び出されてな。本部の安全性、及び防衛システムについて説明義務を果たしに行っている」
「ああ、広木防衛大臣ですか」
 
 広木威椎(ひろきたけつぐ)氏。改定九条推進派の一人として知られる防衛大臣。この特異災害対策機動部二課やシンフォギアの存在を、「秘匿された武力」ではなく、「公の武力」として機能するよう働きかけてきた経緯があり、叔父さん、ひいては二課にとっては良き理解者ともいえる人だ。
 基本的に二課の活動については厳しい姿勢を崩さず、時に衝突する事もあったらしいけど、叔父さん曰く、それらは全て異端技術を扱う為に周囲から誤解を受けやすい二課の面々を思いやっての行動らしい。
 
 つまり、この人も叔父さんが認めるすごい大人……という訳だ。
 シンフォギアを始めとした異端技術を保有する為、二課は秘匿している情報も多い。お陰で官僚の殆どからは、お世辞にも評判がいいとは言えない評価を受けているくらいだ。"特異災害対策機動部隊二課"を略して、「特機部二(突起物)」なんて揶揄する輩も多いとか。
 情報の秘匿は政府からの指示なのに、やりきれない……と、友里さん達がボヤいてたのを思い出す。
 更にはシンフォギアを有利な外交カードとして利用しよう、などと考える輩も存在している中で、そういった官僚達から俺達を守りつつ、敢えて厳しい姿勢を崩さない事で二課の勝手を出来る限り許してくれる……。そんな広木防衛大臣は、二課にとってとても頼もしい存在なのだ。
 
「本当、なにもかもがややこしいんですね……」
 立花がげんなりとした顔をする。
 分かる、分かるぞ。俺だってそういう、大人の陰謀が渦を巻いてる魔窟の話なんか聞いてると、滅茶苦茶どんよりした気分になってくる。
「ルールをややこしくするのはいつも、責任を取らずに立ち回りたい連中なんだが、その点、広木防衛大臣は……了子くんの戻りが遅れているようだな?」
 腕時計で時間を確認して、叔父さんはそう呟いた。
 
 ∮
 
「ぶえっくしょーい!!」
 その頃、当の了子本人はというと、車で山を降りながら大きなくしゃみをしていた。
「誰かが私を噂しているのかな?」
 そんなことを呟きながら、了子はハンドルを握り直す。
「今日はいいお天気だからね~。なんだかラッキーな事が起きそうな予感~♪」
 了子は坂を降りると、その先の連続カーブを余裕綽々と曲がっていく。
 ……それもとても荒い、そのドラテクは何処で学んだんだと突っ込まれても文句が言えないような運転で。
 
 ∮
 
 ──わたし、生きてる……。
 
 ボロボロになったギアを纏い、深く深く落ちていく中で、私は奏との思い出を辿る中でふと、疑問になった事を呟く。
 
 奏は何の為に生きて、何の為に死んだのだろう……?
 
「……真面目が過ぎるぞ、翼?」
 
 背中から回された腕と、優しい声。
 
「あんまりガチガチだと、そのうちポッキリ行っちゃいそうだ」
 
 その温かさに、私はようやく笑顔を取り戻す。
 
「独りになって私は、一層の研鑽を重ねて来た。数えきれない程のノイズを倒し、死線を越え、そこに意味など求めず、ただひたすら戦い続けてきた……。そして、気付いたんだ。私の命にも、意味や価値はないって事に」
 
 周囲の風景が、また切り替わる。
 
 今度はあの日のライブ会場。
 
 誰もいなくなり、炭が風に巻い、夕陽だけが照らす荒れ果てたステージ。
 
 その真ん中で、私と奏は互いに背中を預けて座っていた。
 
「戦いの裏側とか、その向こうには、また違ったものがあるんじゃないかな?あたしはそう考えて来たし、そいつを見て来た」
「それは何?」
 
 私の疑問に、奏はさも可笑しそうに笑って返した。
 
「翼にも、とっくに見えてるはずだぞ?」
「私にも……?」
 
 首を傾げて振り返ると、奏は空を見上げながら諭すように言ってきた。
 
「あの時、翼は何を胸に唄ったんだ?」
 
「私は……」
 
 防人としての使命感?
 
 違う。
 
 剣としての役割を果たしただけ……。
 
 これも違う。
 
 あれはもっと、暖かくて穏やかな感情だったと思う。
 
 絶唱を口にしたあの時、私の胸に浮かんだのは……。
 
「翔と、立花……」
「そういう事さ。なら、答えは見えて来るだろ?」
 
 そっか……。私の命に、剣以上の価値があるなんて事、忘れていた……。
 
 それを思い出した瞬間、涙が溢れて来た。
 
「翼……泣きたい時は、思いっきり泣いてもいいんだぞ?」
「な、泣いてなんか……もう、奏はやっぱりいじわるだ……」
「なら、翼は泣き虫で弱虫だ」
 
 もう、何回も繰り返したやりとりだ。
 
 そして、もう二度と聞くことが出来ない言葉だ。
 
 それを実感すると、もっと涙が溢れて来る。
 
「……でも、そのいじわるな奏は……私にとって、一番大事な人はもう、いないんだよね……」
「そいつは結構な事じゃないか」
「私は嫌だ!奏にも、傍に居てほしいんだよ……」
 
 あの可愛かった弟が、あれからどんどん逞しく育って、今じゃ二課で私と肩を並べている事を、一緒に喜んでほしい。
 
 その弟に出来た大切な人が、私達の後輩で、とっても素直でいい子なんだって事を知ってもらいたい。
 
 だけど、その2人を見ていると何だか寂しくなって、私の中の意地っ張りな部分がついつい鞘走ってしまう事を、愚痴として聞いてほしい。
 
 私の大切な人たちの輪に、奏だけが居ないのはやっぱり嫌だよ……。
 
 振り返ると、奏の姿は消えていた。
 
 でも、立ち上がって夕陽を見つめる私の耳には、奏の声が聞こえていた。
 
「あたしが傍に居るか、遠くに居るかは、翼が決める事さ」
「私が……?」
 
 足元で何かが夕陽を反射して、光り輝く。
 
 拾ったそれは、奏のイヤリングだった。
 
 誕生日にプレゼントした、片翼のイヤリング。
 
 お互い、相手の存在をいつも感じていられるようにって、御守りにしていたもの。
 
 奏が死んでしまった今や、両翼揃う事のなくなってしまったものだ。
 
 ……奏が傍に居るか、遠くに居るのか。それは私自身が決める事だと、奏は言っていた。
 
「だったら、私は……!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ピリリリリリ ピリリリリリ
 
 目を覚ますと、目の前には白い天井が広がっていた。
 緊急手術室だと気が付くのに、少しかかった。
「先生、患者の意識が!」
「各部のメディカルチェックだ。急げ!」
「はい!」
 慌ただしい担当医と看護師の声に、小刻みに刻まれる計器の音。
 酸素マスクを口に被せられたまま、顔を横へ向けると、リディアンの校舎が見えた。
 どうやら今日は土曜日か日曜日らしく、いつもなら聞こえてくるはずの合唱が聞こえない。
 ああ、不思議な感覚。まるで世界から切り抜かれて、時間がゆっくり流れているような……。
 
 でも、私が生きているという実感と、それに付随する安心感が私を満たしていた。
 
 大丈夫だよ、奏。私はもう、独りじゃないから。あなたが言うようにポッキリ折れたりしない。
 
 だから今日もこうして、無様に生き恥を晒している……。
 
 目覚める前、ようやく見られた奏の笑顔を思い出して……私はまた、静かに涙を零していた。
 
 ∮
 
「し、司令ーーーッ!?緊急通信ですッ!」
「──ッ!?どうしたッ!?」
 藤尭さんが慌てた様子で叫ぶ。
 立花と2人でソファーに体を預けている間に、いつの間にか眠ってしまっていた俺はその声で覚醒する。
 通信に出た叔父さん、更には藤尭さんや友里さんの顔が青ざめていく。
 急いで立ち上がろうとして、左肩に何やら重いものがもたれかかっている事に気が付き振り向くと……立花が俺の肩に頭を預けて寝息を立てていた。
 どうしたものかと悩んでいると、司令室が慌ただしさが耳に入ったのか、立花は目を擦りながら目を覚ました。
「……しょーくんおはよ……」
「あ、ああ……」
「ん……なにかあった……?」
 まだ寝ぼけ眼な立花は、周囲を見回してそう聞いてくる。
 可愛らしいな、とは思ったが、それ以上に今は何が起きておるのかを確かめなくてはならない。
「おっと、そうだったな……。叔父さん、一体何が!?」
 通信を終えた叔父さんに声をかけると、叔父さんは厳しい表情で一言、悔しさと憤りを声に滲ませながら告げた。
「……広木防衛大臣が殺害された」
「……え?」
 その一言は、先程まで広木防衛大臣を話題にしていた俺達の胸に、とても重たく響いた。 
 

 
後書き
XDでカットされた原作シーンを何処まで付け足しつつ、何処まで削れるか。
それが、伴装者を書く上で一番苦労しているポイントです。

職員A「あ、Bさん見て見て、響ちゃんと翔くんが……」
職員B「おっ、肩を預けて眠る貴重な瞬間!写真撮っとこう」(パシャッ)
緒川「おや、AさんにBさん。お疲れ様です」
職員B「緒川さん、お疲れ様です」
職員A「あれ見てくださいよ緒川さん!」
緒川「あれ、とは?……なるほど、これは1枚撮らないとですね」
職員A「ですよね~、って緒川さん……いつの間にあの二人のあんなに近くに!?」
職員B「さ、さすが現代を生きる忍者……。速い!しかも音もなく忍び寄って行った……!」
緒川「ほら、この構図からの1枚も中々でしょう?」
職員A「凄い……ああ、後でグループの方に送ってください!」
職員B「自分からもお願いします!」
緒川「構いませんよ。目を覚ました翼さんの御見舞に、持って行くつもりですし」
職員B「翼さん、意識が戻ったんですか!?」
緒川「はい。先程、病院から連絡がありました」
職員A「よかった……。え?でも、大丈夫なんですか?病み上がりの翼さんに、あの二人の仲睦まじい写真なんか見せたら大変なのでは?」
緒川「ははは。翼さんはただ、可愛い弟を響さんに取られるのが寂しいだけですから。そろそろ認めてくれる頃合いなのではないかと」
職員A「はえー、さっすが緒川さん……そこまで見てるとは」
緒川「では、僕はそろそろ次の仕事に戻りますので」(司令室を出る)
職員B「……いっそ緒川さんが翼さんの面倒を見てあげれば、翼さんも寂しくならないし、全方位ハッピーエンドなんじゃないかなぁ?」
職員A「奏さん以外で翼さんのお相手が務まるの、緒川さんしかいないと思うんだけど、あの人そういう素振りを一切見せないのよねぇ……。流石NINJA」
職員B「実はさっさと立ち去ったのも、そう言われるのを予期してたからだったりするんじゃない?」

緒川「……よかった。……さて、向かいますか」(見つめていたスマホの待ち受けには、七五三に撮影したものなのか、おめかしした幼き日の翼の姿が映っていた)



翼さんが入院している間、彼はどんな心境だったんでしょうね。
次回は作戦会議、そして迫るは黄金剣の起動……。

え?トレーニング中に何かアクシデントとかなかったのかって?
その件はまたの機会に。皆さん方が期待してるような展開は、今回は起こらなかったという事で。 
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