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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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第2楽章~約束の流れ星~
  夜に遭逢す

 
前書き
今回の投稿日はマリアさんの誕生日だったなぁ。
伴装者本編にはまだ出られないから、活動報告にツェルトの設定を上げてプレゼント代わりとした思い出が。

伴装者世界の翼さんにあだ名の一つとして定着しつつある「ブラコン防人」、表記揺れが多くて混沌を極めているため「ブラコンSAKIMORI」に統一したのもこの頃でした。 

 
『小型ノイズの中に、一際大きな反応が見られる。間もなく翼も到着するから、くれぐれも無理はするんじゃないぞ』
「了解!はああああッ!!」
 突き出す拳が、蹴り込んだ足が、ノイズの躯体を粉砕し黒炭へと変えていく。
 離れた所から迫る個体には手刀を振るえば、腕の刃から放たれる光刃がそれらを切り裂き消し去って行った。
 技名は……〈斬月光・乱破の型〉とでもしておこうか。
 自分の攻撃で駅を破壊しないように気を遣いつつも、ノイズ達を倒して進む。
 広い駅内は、もはやノイズの巣窟と化していた。
 こんな密閉空間で、いつもの倍はあろう数を相手にしたくはないんだが……。
「立花の為だ、流れ星が見える時刻を過ぎるまではッ!!」

 既に戦い始めて二時間近く。一向にノイズの数は減らない。
 正直言って、体力的にはまだまだ余裕だ。おそらく、融合した生弓矢の『生命を与える力』が、体力の活性作用を促しているんだろう。ちょっとやそっとじゃ、今の俺の体力は削れない。
 しかし、こうも数が多いと精神的な疲労は出て来る。そちらは休まなければ回復しようがないので、むしろこっちの方がキツい。
「ってか、そもそも何でこんなに多いんだよ!」
 駅内を走り回りながら、大きな反応があった地点へと向かう。
 おそらく、そこにデカいのが一体居るはずだからだ。

 親玉を探して角を曲がったその先に、とても特徴的な姿をした、初めて見る個体がいた。
「いた!あの葡萄みたいなやつか!!」
 頭から背中にかけて葡萄状の器官を持つ、全身紫色の人型個体。安直だが語呂がいいので、ぶどうノイズと呼称しよう。
 ぶどうノイズはこちらの接近に気が付くと、身体を振った勢いでその葡萄のような器官を飛ばした。
 地面に弾着した途端、爆発する球体。
 眼前へと飛んできた器官へと拳を繰り出すが、周囲へと飛び散った方の器官が爆発し、天井が崩れ落ちる。
 咄嗟に防御姿勢を取ったものの、落下してきた瓦礫が降り注ぎ……。

 ∮

「あ、ほら!流れ星!」
 夜空を見上げた未来は、闇を裂いて流れて行った一筋の輝きをを指さす。
 やがて輝きは一つ、また一つと数を増やし、やがて星の雨となって降り注ぐ。
「うわあ……綺麗だなぁ……」
 その光景を、響は感嘆の声を漏らしながら見上げる。
 この流星雨を二人で見る為に、この数日間頑張って来た。それがちゃんと報われた事を、響自身も、親友である未来も喜んでいる。
「響、願い事しない?」
「それ、いいかも!」
 流れ行く星を見つめ、二人は目を瞑る。
 心の中に願いを思い浮かべようとして……ふと、瞼の裏に翔の顔が浮かんだ。
(……翔くんも、連れて来たかったな……)
 そう思うと、今頃翔はどうしているのか気になり始める。
 今頃、街でノイズと戦っているんだろう。きっと、空を見上げる暇もないくらい忙しい筈だ。
 それを思うと……任せる、とは言ったものの心配になって来る。
 段々と不安が募り、やがて響はいても経っても居られなくなって来た。

「響、願い事、何にしたの?」
「……ごめん、未来。私……行かなきゃ」
 私の一言に、未来の表情が曇る。
 分かっている。それは未来にとても心配をかける事になるなんだって。
 だけど、何だか胸騒ぎがする。翔くんの所へ行かなきゃいけない気がするんだ。
「もしかして、翼さんの弟さんの所に行くの?」
「うん……」
「どうしても、今じゃなくちゃダメ?」
「……うん。今日ここに来れたのは、翔くんのお陰なんだ。翔くん、私と未来の約束を知って、頼まれもしてないのにレポートを手伝ってくれたの」
「そうなの?」
 未来は驚いたような顔をする。
 まあ、確かにそれだけの理由で手伝ってくれる人なんて、そうそういないもんね。
「うん。だけど今、翔くんは私の分まで頑張ってくれてる。やっぱり、任せっきりには出来ないよ」
「……そっか」
「本当にごめんね。この埋め合わせは、いつかきっと!」

 そう言うと、未来は静かに首を横に振った。
「ううん。こうして、響と流れ星を見ることが出来たんだもん。約束は守ってくれたんだから、私はそれで充分だよ」
「ホント!?」
「うん。だけど、あんまり遅くならないでね?」
「ありがとう、未来!」
 未来の手を握ってお礼を言うと、私は駆け出した。
 ノイズが出た場所は覚えてる。そこまで向かえば、間に合うかもしれない。
 この胸が叫んでいる。翔くんの元へ迎えって……。
 お願い翔くん、翼さん。どうか二人が無事でいますように!
 そう願いながら、私は胸の歌を口ずさんだ。

「あーあ、借りが出来ちゃった……」
 一つ、小さな溜息を吐く。
 私にとって風鳴翔という男子は、響と同じクラスにいた男子生徒の一人という以外に、ある意味でとても印象に残っている。
 2年前、響が学校中から虐められていた頃に一度だけ、響を助けてくれた人だ。
 でも、助けてくれたのはたった一度だけで、その一回以外はずっと教室の陰から、虐められる響を見ているだけだった。
 ……どうして助けてくれなかったんだろう。いつしか私は、そんな自分勝手な希望を彼に押し付けるようになっていた。
 他の生徒のように嗤うこともなく、虐めに参加する事もなかったけれど、彼はただ見ているだけだった。
 一度だけでも助けてくれたのは、丁度私が風邪で休んでいた時の話だったらしい。響は「足りなくなった給食を分けてくれただけ」って言ってたけど、噂を聞く限りだと、その経緯にはやっぱり響への虐めが関わっていた。

 きっと、彼も怖かったんだと思う。お姉さんが有名人なんだから、きっとお姉さんを巻き込みたくないって思いもあったのかもしれない。
 でも、やっぱり一度だけとはいえ助けてくれたんだから、それからも響を助けて欲しかった……。ただ静かに、親友から離れない道を選んだ(あたりまえのことをした)だけの私と違って、あの人は友達でも何でもない響の為に声を上げてくれた。
 そんな人だからこそ、響を預けられる。私の中の私はそう囁く。
 そんな人だからこそ、響を渡したくない。もう一人の私がそう呟く。
 偽善者と呼ぶ事で彼を拒絶しないと、響を取られちゃう気がして……響が何処かに行っちゃうのが耐えきれないくらい寂しくて。だからレッテルを貼る事でしか心を保てない私は、きっと悪い子だ。
 立花響という親友を、私にとってのお日様を、他の誰にも渡したくないだなんて……。

 だから私は、星に願う。

 どうか、私があの人を許してあげられますように。

 それから……響がきっと、幸せになりますように。

 ∮

「……貴様らのせいで、大切な約束を破りかけた子がいる……」
 瓦礫の下から立ち上がる、灰色の影。
 シンフォギアのお陰で無傷だった翔は、ゆっくりと立ち上がる。
 追い打ちをかけようと襲いかかるノイズ達を、彼は静かに殴り、蹴り、斬り倒す。
「貴様らは、存在している事そのものが罪なんだよ……」
 迫るノイズを全て打ち倒し、階段を一気に飛び降りると駅のホームへと降り立つ。
 ホームに出れば、ぶどうノイズが飛ばした器官を再生し、足音軽やかに逃げ去ろうとしている所だった。
 翔の胸の奥から、とても強い衝動が沸き起こる。
「貴様らが、誰かの約束を侵し……」
 衝動は全身を駆け巡り、ギアの内側から外へと溢れ出そうとする。
 強烈な殺気にぶどうノイズは器官を再び切り離す。すると分離した器官から数体のノイズが生まれ、翔の方へと襲いかかった。
「嘘のない言葉を、争いのない世界を……何でもない日常を!略奪すると言うのなら!」

 正面から襲いかかったノイズの身体に風穴が空く。
 しかしそれはいつもの様に、拳で殴ったことによるものではなく……その風穴からは、赤黒い手甲が飛び出していた。
 消滅したノイズの前に立っていたのは、顔全体を黒に覆われ、爛々と光る真っ赤な目をした“何者か”であった。
 灰色のギアは黒に染まり、血のように赤いラインが血管のように全身を走っている。
 胸の赤い水晶体でさえ、いつもに比べて淀んだ赤へと変わっていた。
 溢れる殺気と相まって、その姿を一目見たものは皆、口を揃えて言うだろう。
 狂戦士、あるいは破壊者と……。
「オ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"!!」
 唸り声を上げ、次々にノイズらを蹴散らす翔。
 しかし、その戦い方は凶暴性と暴力性に満ちた、荒々しいものに変わっていた。
 頭を鷲掴んで首を引っこ抜き、貫手で体躯の中心部を貫き、クロールノイズを真っ二つに引き千切った。
 前後から挟み撃ちにして来たノイズは、やはり頭を掴むとそのまま互いをぶつけて地面に叩きつけ、頭を踏み潰した。

 〈禍ノ生太刀〉

 最後の一体には、同じく赤黒く染まったアームドギアを取り出すと、素早く突き刺した。
 一度だけに飽き足らず、二度、三度と何度も突き刺す。
 食いしばった牙は、突き立てる刃と同じように鋭く、剥き出しの殺意を象徴しているかのようだった。

 ボールのように転がってきた、ぶどうノイズの球状器官が爆発する。
「ッ!?くっ!!」
 爆煙に包まれた次の瞬間、翔の姿は元に戻っていた。
 両腕で顔を保護する防御姿勢を解き、目の前から走り去るぶどうノイズを見ると翔は、目の前のタイルに突き立つアームドギアを引き抜いて走った。
「待ちやがれ!!」
 線路へと飛び降り進むと、ぶどうノイズはまたしても器官を飛ばして爆発させる。
 今度は地下鉄の路線の天井を破壊し、その穴から地上へと素早く登って行く。
 その代わり、分厚い岩盤を破壊する為に全ての器官を費やし、ヒョロヒョロの身体をくねくねと揺らしながら逃げ去る辺り、今追い詰めればトドメを刺すのは簡単だろう。
「このっ……」
 ひとっ飛びで登りきろうとしたその時、見上げた夜空に一筋の蒼い光が降る。
「あれは、流れ星……いや違う、あれは!!」
 あれは何だ!流星だ!UFOだ!いや、違う!!
 あれは……(つるぎ)だ!!

 ∮

〈蒼ノ一閃〉

 ぶどうノイズの頭上から放たれた蒼き斬撃が、身を守る術を失ったその細長い体躯を真っ二つに切断する。
「嗚呼絆に、全てを賭した閃光の剣よ──」
 ヘリから飛び下り、そのまま落下しながらその一太刀を振るった翼は、大剣へと形を変えたアームドギアを片手に降り立つ。
 地面に降り立つ瞬間、両脚の刃がスラスターのように火を拭き、落下の衝撃を軽減する。
「姉さん!」
「これで最後だな?」
 アームドギアを刀型に戻した姉さんへと駆け寄る。
 姉さんは周囲を見回し、もうノイズが残ってない事を確認してから俺の方を向いた。
「助かったよ……そいつ、個体増殖するし機雷飛ばしてくるしで苦労したんだよ……」
「それは確かに、一人で相手取るには辛いな……。だが、よくここまで耐えたじゃないか。お疲れさま、翔」
 そう言うと姉さんは、刀を持っている方とは逆の手で俺の頭を撫でる。
 俺としては恥ずかしいのでやめて欲しいんだけど、辺りに人は居ないし、姉さんが満足げに笑っているから別にいいや。

「翔くーん!翼さーん!大丈夫ですかー!!」

 耳に入った慌ただしい声。反射的に振り返ると、そこには夕方、無事に送り出したはずの人物がいた。
「立花!?何故ここに!?」
「ふう、ふう……やっぱり、私だけ休んでる事なんて出来なくて……」
「小日向との約束はどうした!?」
「それは大丈夫!流れ星はちゃんと二人で見て来たよっ!」
 立花の明るい表情から察するに、約束はちゃんと果たす事ができたようだ。
 しかし、途中で小日向に頭を下げて抜けて来たというのも想像に容易い。
「友人との約束を守れたというのなら、それでいいとは思うのだが……。司令から、今夜は休んでもいいと言われた以上は友人と最後まで流星群を見て、何の憂いもなく帰路につくことも出来たはず。わざわざ戦場(いくさば)へ赴く必要はなかった筈だが?」
 姉さんも俺と殆ど同じ疑問を口にする。
 その問いに、立花は俺の方を真っ直ぐに見て答えた。
「私にだって、守りたいものがあるんです。だから──」





「『だから』?で、何なんだよ?」
「ッ!?」
 その場に響く、第四の声。
 月明かりに照らされ、一歩ずつ歩み寄ってくる銀色の影。
 声の主を見て、真っ先に口を開いたのは姉さんだった。
「ネフシュタンの鎧……」
 その一言を聞き、鎧の少女は挑発的な笑みを向けた。 
 

 
後書き
クリス「ようやくあたしの出番か!ああ?挨拶代わりに後書きで挨拶してこいだぁ?何でそんなせんない事しなくちゃならねぇんだよ。……はあ?それが決まり?全員やってるって?はぁー……仕方ねぇな。雪音クリスだ。こっからはあたしのターンだから、お前ら全員覚悟してな!……それとさっきからあたしの胸ばっか見てる奴らは前に出ろ。全員一発目ずつNIRVANA GEDONブチかましてやっからな!」

やめて!アームドギアを介さない絶唱でやけっぱちの自爆特攻なんてしたら、シンフォギアのバックファイアの影響でSAKIMORIの体がボロボロになっちゃう!お願い、死なないでSAKIMORI!貴女が今ここで倒れたら、実弟や未来の義妹の面倒(イチャつき)は誰が見(て悶えて突っ込む)るの!?
ノイズはまだ残ってる……でも、ここを凌げばクリスに勝てるんだから!
次回、SAKIMORI 死す。デュエルスタンバイ!
翼「待て待て、勝手に殺すな!!」 
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