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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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第2楽章~約束の流れ星~
  約束の流星雨

 
前書き
何故か読者の皆さんが揃って393による修羅場を嬉々として待ち望んでいた頃の回(笑)
まあ、原作でも響に彼氏できたらきっと修羅場は避けられないけど……未来を悪者にはしたくない。そんな思いで書いていました。
それではどうぞ、ご覧下さい。 

 
「……って事があったんだ」
 二課やシンフォギアの事を徹底して伏せながら、何とか説明を終えた響はようやく一息吐いて、友人達の様子を伺う。
 友人達はそれぞれ、三者三様の反応を示す。
「なるほど。1か月前、街で偶然再会した中学の元クラスメイトかぁ……」
「学園系ラブコメアニメの冒頭みたいな出逢い方してるわね」
 安藤はわざわざメモを取っては話の内容を纏め、板場はいつもの通りアニメに準えた喩えでコメントする。
 
 一方、聞いた本人である寺島は何やらスマホで調べていた。
「聞き覚えのある名前だと思ったのですけれど、もしかして……」
 探していたページを見つけると、寺島はスマホを響の方へと向けた。
「その翔さんという方は、もしかしてこの人でしょうか?」
「あーっ!詩織、何で知ってるの!?」
「つい先日、ニュースで見かけたもので。『大人気アーティストの弟、火事場泥棒を確保』と、表彰されていましたわ」
 響の両隣から、安藤と板場もその画面を覗き込む。
 
 そこには響と再会した日の前日、ノイズ発生の騒動に紛れて盗みを働いた男を捕らえ、警察へと突き出したアイオニアン音楽院の生徒……風鳴翔の記事が掲載されていた。
「ホントだ!翔くん凄い!」
「えっ、嘘!?あの風鳴翼さんの弟さん!?」
「イケメンじゃん!しかも有名人!え、何この展開!?アニメじゃないんだよね!?」
 二人の驚きは尤(もっと)もだ。日本を代表するトップアーティストにして、このリディアン音楽院の3年生、風鳴翼の弟が友達と知り合いだったのだから。
 それもただの知り合いでなく、中学の元クラスメイト。重なった偶然の数々に言葉を失う。
「他にも何度かニュースに載っていますわ。ひったくり犯を取り押さえたり、川に落ちた子供を助けたり……去年の秋にはバイオリン演奏の全国コンクールでも表彰されていますね」
「なんか……ビッキーに似てる気がする」
「私も思った……。アニメみたいな生き方してるなとは思ったけど、それ以上に響の"人助け"に近いものがあるっていうか……」
 
「全然……似てないよ!!」
 未来が突然声を上げ、四人は驚いて振り向く。
 自分が反射的に叫んでいた事に、未来自身も驚いていた。
「ど、どうしたのヒナ?そんな大声出して……」
「あ……えっと……」
 こんな事を言ってしまってもいいのだろうか?
 小日向未来は、その先に続く言葉を言い淀む。
 その言葉は間違いなく、彼を貶めるものだから。無意識かもしれないけど、彼の事を嬉々として語る親友を傷付けると分かっているから。
 それに、その言葉は決して正しいものでは無いと自分でも分かっている。自分の身勝手な希望の押し付けから生まれた、とても綺麗なものでは無い一言だと。
 しかし、頭では分かっているつもりでも、どうしても浮かんでしまうのだ。
 
 ──()()()と──
 
「と、とにかく……響、今度その人に会う時はちゃんと正直に言ってよね。いい?」
「う、うん……。ごめんね、秘密にしているつもりはなかったんだけど……」
 本当は秘密だらけで、その中の端っこだけを切り取って、それをまだ殆ど隠して話しているのに……。
 親友を危険に巻き込まないために、親友に対して秘密を持たなければならない。
 その事実に心を痛めながらも、響はそう答えた。
 
「……さて、そろそろ私達は行くね。レポートの邪魔しちゃ悪いし」
「でしたら、屋上でテニスなど如何でしょう?」
「さんせー!じゃ、二人とも、また後でね~」
 このまま話を打ち切らずにいると、暗いムードになりかねない。
 そう判断した三人は話題を打ち切り、二人と別れて屋上へと向かって行った。
「そうだ!レポート終わらせないと!」
「私ももう少し手伝うよ。流れ星、見るんでしょ?」
「ありがとう未来~!」
 口から出かけた言葉を押し込める未来と、話したくても話せない響。お互い相手を大事に思うからこそ、言えない言葉が積もって行く。
 それでも二人は、交わした約束を目指して共に歩んで行くのだ。
 いつかきっと、打ち明けられる日が来る事を信じて……。
 
 ∮
 
「良かったぁ、レポート間に合ったよ~!いつもより早かったわね、って褒められちゃった」
「やったね、お疲れ様っ!」
 何とか提出を終えた響は、未来と二人でハイタッチしていた。
 提出期限はギリギリではあったが、時間をかけたのはまとめの一文だけだ。レポートの中身そのものは、もっと早く終わっていた。
 時間は夕方、そろそろ日が落ち始める頃になっていた。
「これで約束の流れ星、見られそうだ!」
「それじゃあ、響はここで待ってて。教室から鞄取ってきてあげる!頑張ったご褒美!」
 そう言って、未来はあっという間に廊下の角を曲がって行った。
「あっ、そんないいのに~……もう行っちゃった。足速いなぁ、さすが陸上部──」
 
 その時、二課の端末からアラームが鳴り響く。
「こんな時に……」
 そのアラームの理由を察して、響は表情を曇らせながら回線を開いた。
『ノイズの反応を探知した。響くん、直ぐに現場へ急行してくれ』
「……はい」
 予想通りの、最悪の展開。
 この日の為に頑張って来たのに……。
 未来にも、翔にも手伝ってもらってレポートを完成させたのに……そんな大切な約束さえも、ノイズは奪ってしまう。
 悔しさに唇を噛む。約束を破らなくてはならない悲しみに、目線が下がる。
(ごめんね、未来……。せっかく約束したのに、私──)
 
 
 
 
 
『いえ、司令!立花は今回、任務から外してください!』
「え……?」
 端末から聞こえてきた声に、顔を上げる。
 翔くん……なんでいきなり!?
『どういう事だ翔?』
『立花は今夜、友達としし座流星群を見る約束をしているんです!その為にレポートを仕上げようと、今日まで頑張って来たんです!その努力を無為にする事など出来ません!だから、今回立花を出動させないでください!』
「翔くん……」
『立花が出ない分は、俺が戦います!俺が2人分働けば、立花がいない分の穴も埋められます!だから……今夜は立花の行く先を、戦場(いくさば)の只中にしないでください!!』
 翔くんの声は必死だった。私に未来との約束を破らせないために、本気で弦十郎さんに訴えかけている。
 私を未来との約束の夜空へ行かせるために、私の分まで戦うとまで宣言して。
 その必死さが伝わったのか、弦十郎さんはその提案を直ぐに受け入れた。
『分かった。確かに、そこまで頑張って守ろうとした約束を、ノイズ如きに反故にさせるわけには行かないな。響くん、今日の所は我々に任せて、友達との思い出を作るといい』
「でっ、でも……」
 
『立花、俺が何の為にレポート手伝ったと思ってるんだ?』
 翔くんに言われて、そういえばと考える。
 自分の宿題でもない、ましてや学校も違うのに翔くんは私のレポートを手伝ってくれた。
 親切心……だと思っていたんだけど、そう言われると……。
『君が小日向との約束を守れるように、俺は手を貸したんだ』
「私が未来との約束を守れるように……」
『当日にノイズが現れる可能性も、考えてなかったわけじゃない。でも親友との約束は、書き終わったばかりの恋文と同じくらい、破っちゃいけない大事なものだろ?』
 微笑み混じりのその声に、ドヤ顔で臆面なく言いきる翔くんの顔が浮かんだ。
 ここまでしてもらって悪いなぁ、なんて申し訳なく思っていた気持ちは、その一言で吹き飛んだ。
 もっと周りに頼れ。それが翔くんからもらった、とても胸に響く言葉だった。
「翔くん、ありがと。今度お礼しなくちゃね」
『ああ。2人分働くんだからな、少しだけ高くつくぞ?』
 だから私は、安心して翔くんに後を託すと通信を切った。
「響、どうしたの?」
 端末をポケットに仕舞った直後、未来が廊下を曲がって戻って来た。
 少し不安そうな顔をしているのは、私が約束を守れなくなったんじゃないかと心配しているからだと思う。
 
 だから私は、精一杯の笑顔を未来に向けて言った。
「未来……流れ星、一緒に見ようねっ!」
「うん……!二人で、一緒に!」
 
 ∮
 
「さて、と……」
 通信を切り、端末をポケットに仕舞うと背後から地下へと伸びている階段……地下鉄、塚の森駅へと続くその階段の先を睨みつける。
 登って来るのは、今日一日の仕事や学業を終え、疲れと開放感に満ちた表情を浮かべながら帰路を目指して歩く街の人々……ではなく、もはや聞き慣れてしまった耳障りな鳴き声を発しながら溢れ出そうとする、特異災害の群れだった。
 一つ深呼吸して、胸に浮かぶ聖詠を口ずさむ。
 

「──Toryufrce(トゥリューファース) Ikuyumiya(イクユミヤ) haiya(ハイヤァー) torn(トロン)──」

 
 光に包まれた影が二つに分かれ、灰地に黒と白のスリートーンカラーでまとめられたインナーが形成されると共に再び重なる。
 両腕、両脚を包み込む鈍色の篭手と足鎧。そして胸に浮かび上がる赤い弓状の水晶体と、ジャケットのように装着される胸鎧。
 最後にヘッドホン状のプロテクターが耳を覆い、この身は鎧を纏って大地に立つ。
「今夜は星が降る夜だ。貴様ら雑音の鳴り響く場などない、神聖で厳粛な、尊き願いが翔び立つ一夜であると知れ!!」
 変身時に発生するインパクトにより位相差障壁を調律され、色の濃度を増したノイズ達へと啖呵を切り、俺は拳を左の掌へと打ち合わせると地面を蹴った。 
 

 
後書き
響「翔くんとの出会いは1か月前。用事があって出かけた先の、自販機の前だったな~」
板場「これまたベタな……」
響「その頃の私、実はちょっとした悩み事があったんだけど、優しく相談に乗ってくれてね~」
寺島「まあ、それはそれは……」
安藤「土曜日のお昼、一緒に歩いてたって噂になってたのは?」
響「翔くん、美味しい物食べるの好きらしいんだけど、ふらわーのお好み焼き食べた事ないって言ってたからさ~。一緒に食べに行ったんだよ」
安藤「そ、それは……」
板場「紛れもなく……」
寺島「おデートなのでは?」
響「ちっ、違うよ!そんなんじゃないよ!翔くんとはただの友達ってだけで、別にそんなに深い関係じゃないんだって!!」
未来「……<●><●>」
板場「未来さん眼ぇ怖ッ!」

次回、ブドウ型ノイズ戦!
皆のトラウマになったあのシーンは近い……。 
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