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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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第1楽章~覚醒の伴装者~
  第16節「任務の後は美味しいご飯」

 
前書き
祝!日間ランキング84位!

ハーメルンで書き始めて以来、初めてのランキング入りに奇声あげてガッツポーズしてましたw
あと評価グラフが遂に推し色に染まり、いよいよ筆がノリに乗ること杉田節全開のウェル博士の如くです!
これもひとえにこの作品を読んで下さり、応援してくださる読者の皆さんのお陰です。本当にありがとうございます!
推薦文を書いてくれた熊さん、こちらから入って原作に興味を持ってくださった皐月の王さん、非ユーザーなのに毎回読みに来てはコメントして下さるクエさん、そして毎回コメントして下さる皆さんと、コメントは殆ど書かないけど無言でお気に入り登録して評価入れてくださった皆さん!!
これからも「響き交わる伴装者」をよろしくお願いします!!

それでは前置きが長くなりましたが、前回は序章の山場ということでバトル続きだったため、箸休めに平和な回を挟ませて頂きます。
今回は、糖文を少し多めに盛ってますので(いつも多いとか言わない←)、翔ひび応援団の皆さんはブラック珈琲の持参、もしくは砂糖を吐くための袋の用意、または全ての甘露を飲み干す覚悟を持ってご覧下さい! 

 
「「はぁー、疲れた……」」
 保管施設から本部へと戻って来た翔と響は、休憩スペースのソファーにぐでっと崩れ落ちた。
 まだ半日しか経っていないのに、疲労は一日中動き回ったくらい溜まっている。
 無理もない。あれだけのノイズから逃げ回り、ハイウェイをその足で全力疾走して、RN式に精神力を削られ、更には2回も死にかけた上にシンフォギアまで纏ったのだ。肉体的疲労よりも、精神的な疲れの方が大きいだろう。
 
 半日の割には随分と濃密なスケジュールを経験した後、翔は了子からメディカルチェックを受けた。
 結果が出るのは明日。身体には特に異常が見られないので、この後はそのまま土曜日を楽しむようにと言われた翔は、こうして響と合流したのだった。
「おつかれ、立花」
「翔くんもお疲れ~」
 互いにソファーで崩れている相手の姿を見て、笑い合う。
 それだけで、身体から疲れが抜けて行く気がした。
「さて、もう昼飯時だな……。立花、まだ動けるだろ?」
「もっちろん!約束したもんね、ふらわーのお好み焼き!」
「よし!道案内は任せるぞ」
 そうやって二人は賑やかに談笑しながら、エレベーターへと向かっていくのだった。
 
 ∮
 
 そんな二人の後を付ける、2つの影があった。
 片方はサングラスで顔を隠したSAKIMORIこと、風鳴翼その人。
 もう一人は諜報部としての仕事ではないため、マネージャーモードで眼鏡をかけているNINJAこと、緒川慎次である。
 それぞれ観葉植物と通路の陰に隠れながら、アイドルとマネージャーは二人の様子を伺っていた。
「翼さん、わざわざこっそり後を付けたりなんてしなくても……」
「いいえ緒川さん。これはもはや任務です。可愛い弟が立花とどんな関係なのか、知るには絶好の機会ではないですか!」
「それはそうですが……どうして直接聞かないんですか?」
「それは、その……」
 口篭る翼に、緒川は理由を察して口にする。
「可愛い弟を取られちゃいそうで寂しいのに、相手が響さんなのが気まずい……ですか?」
「……やっぱり、緒川さんには敵いませんね」
 苦笑する翼に、緒川は微笑みながら返した。
「響さんならきっと、笑って許してくれますよ。それにきっと、彼女も謝りたがっているはずです。いつも通りの風鳴翼として、堂々と接すればいいと思いますよ?」
「いつも通りの私で、ですか……」
「それから、今回ばかりは弟離れしないとダメだと思いますよ。翔くんももう立派な高校生なんですから」
「ゔっ……。こ、これは別にそういう訳では!」
 そうこうしている間に、翔と響はエレベーターに乗ってしまった。
 気付いた翼は緒川と共に、別のエレベーターで地上へと向かうのだった。
 
 ∮
 
「おばちゃーん!こんにちわー!」
「あら響ちゃん。いらっしゃい」
 店に入ると、おばちゃんはいつも通りの優しい笑顔で迎えてくれた。
 私の方を見て、おばちゃんはキョロキョロと誰かを探すように視線を動かした。
「あんまり沢山は食べないけど、美味しそうに食べる響ちゃんを見て楽しそうに笑っているいつものあの子は一緒じゃないのかい?」
「今日はちょっと、未来とは別の用事があったので……」
 そこへ、翔が戸を開けて入店する。
「いらっしゃい。おや、あまり見ない顔だね?」
「これはどうも、初めまして。風鳴翔です、よろしくお願いします」
「風鳴……もしかして、風鳴翼の弟さんか何かかい?」
「はい、翼は俺の姉にあたります」
「へぇ、言われてみるとお姉さんにそっくりねぇ」
 翔くんは戸を閉じると、そのまま私の隣の席に腰を下ろした。
 メニュー表を受け取ると、翔くんは一つずつじっくりとそれらと睨めっこし始める。
「小さい店ながらも、バリエーションに富んでるな……」
「翔くん、注文決まった?」
「立花はオススメとかあるのか?」
「私はね~、やっぱりこれかな」
 翔くんのメニュー表を覗き込み、一番お気に入りのメニューを指さす。
 翔くんはそれを見ると、顎に手を添えて更に考え込む。
 すると、おばちゃんが唐突に呟いた。
「もしかして、響ちゃんの彼氏だったりするのかい?」
「「えっ!?」」
「だってほら、いつもは未来ちゃんと一緒なのに、今日は初めて男の子と一緒に来たわけじゃないか」
「そ、そんなわけないじゃないですかー。翔くんとはただの友達で……ねえ、翔くん?」
「そ、そうだな……。俺と立花は昔同じクラスだった程度の縁で、今週久し振りに会ったくらいですよ……」
 お互いに顔を見合わせて、いやいや、と手を振る。
 でも、どうしてだろう……なんだかちょっとだけ、顔が熱い気がする。
「ふ~ん……まあ、未来ちゃんには内緒にしといてあげるよ」
 そう言うとおばちゃんは、何故かニヤっと笑いながらいつもの様に鉄板の方へと向き直った。
「それで、注文は?」
 おばちゃんに催促され、私達はそれぞれ自分の注文を伝える。
「私はいつもの、キャベツ大盛りで!」
「焼き蕎麦入り、頼みます!」
「はいよ」
 注文を受けたおばちゃんは、直ぐに調理に取り掛かった。
 
 翔くんが私の彼氏かぁ……。
 何でだろ。その一言が頭の中でグルグル回って……胸がとってもドキドキする……。
 
『立花、手を貸してくれるか?』
 
 今朝の、ちょっとかっこよかった翔くんの顔が浮かんで……。
 
『君の手には、奴らを一撃で倒せるだけの……誰かを守る為の力があるんだからな』
 
 頼もしい励ましが響いて……。
 
『だから!せめて俺の前では、自分に素直な立花響で居てくれ……』
 
 昨日の夜の優しい言葉が、胸を温かくしてくれた。
 

もしかして、と胸がざわつく。

 

いや、そんなわけと頭で呟き。

 

でも、きっとと心が囁く。

 

まだ確信はないけれど

 

多分、こんな気持ちになっちゃうのは──

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「立花、皿、来てるぞ」
「え?わっ、もう来てたの!?」
 そんな形のない確信は、耳を擽る君の声と、鼻から広がるソースの香りにかき消された。 
 

 
後書き
これ書くためだけにこの日のお昼にお好み焼きを買いに行ったので、次回はちょっとした食レポ回になっています。

了子「今日の担当は私と弦十郎くんね?」
弦十郎「序盤だから、キャラがまだ少ないんだよな……。ローテーションのパターンはそこそこあるから、心配はしないでほしい」
了子「それにしても翔くんと響ちゃん、なーんでデートって自覚がないのかしら」
弦十郎「若さ……いや純粋さか?どちらにせよ、二人ともそういった経験がない事に、相手を恋愛対象として意識してない事が輪をかけているんだろう」
了子「若いっていいわね~」
弦十郎「翼もいい相手を見つけられるといいんだが……」
了子「ところで弦十郎くん、二課の内部であの二人の見守り隊が発足されそうになってるんだけど、知ってたかしら?」
弦十郎「ああ。耳にしているが……」
了子「弦十郎くん、名誉会長枠に名前載せられそうになってるわよ」
弦十郎「なん……だと……!?」
(黒服を初めとした職員達の足音)
了子「ちなみに私が隊長枠、副隊長枠は緒川くんらしいわよん♪」
弦十郎「了子くん君が犯人かぁぁぁぁぁぁ!!」

Toryufrce Ikuyumiya haiya torn.:そのタイトルは、掴み離さぬための飛翔。少年は、ようやく掴んだその手を二度と離さず飛び続ける。
 
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