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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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第1楽章~覚醒の伴装者~
  聖遺物護送任務

 
前書き
独自展開、それは空白の二週間の間に挟まれるイベント!
オリジナル聖遺物とRN式の登場。ここまで来れば何があるかは……おっと、この先はまだ未来のページでしたね。
 

 
 土曜日、朝5時10分前。
 輸送車の発着地点に、特異災害対策機動部二課の面々は集まっていた。
 実働部隊の制服は黒服であるため、翼、響、翔の三人はそれぞれの学園のブレザーを着用して並んでいる。
「念の為、緒川さんに迎えに行ってもらって正解だったな」
「ごめん、何とか起きようとしたんだけど……」
 響は案の定寝坊していた。いつもに比べれば早く起きた方ではあったが、走っても間に合うかどうかだった所、こうなる事を予想した翔が緒川を迎えに向かわせた為、なんとか合流したのだ。
「まったく、意識が弛んでいるぞ立花!」
「すっ、すみません翼さん!」
 腕を組み、あからさまに苛立ちをアピールする翼に全力で頭を下げる響。
 綺麗な直角、90度を描くお辞儀はある意味では芸術的だ。
 
「でも、しっかり休めたんだよな?」
「そりゃあもう、一晩中グッスリだったもん!」
「じゃあ今日は思いっきり働けるって事だよな?」
「足でまといにならないよう、頑張ります!今日こそは!」
「……だってさ、姉さん」
 したり顔で翔は翼を見る。
 翼は呆れたように溜息をひとつ吐くと、不機嫌そうな声で返した。
「翔、お前は立花に甘過ぎる」
「そう言う姉さんは硬すぎるんだ。ずっと独りで戦い続ける事なんてできるわけが無いのに、姉さんは立花に全然歩み寄ろうとしないじゃないか!」
「戦場に立ったことの無いお前に何が分かる!」
「ッ!それとこれとは……」
 常に戦場の最前線で戦い続ける姉の一言に、返す言葉を失う翔。
 翼はまだ何か言いたげだったが、そこへ弦十郎が割って入った。
「お前達、作戦行動前に何を言い争っている!」
「叔父さ……司令」
「いいか?作戦行動中に連携が乱れれば、それは命の危険に直結する!自分の命だけでなく、他人の命もだ!それを忘れるな!」
「……はい」
「肝に銘じます……」
 司令官である叔父からそう言われ、翼と翔は口を閉じた。
 
「自分だけじゃなくて、他の誰かの命も……」
 また、響は弦十郎の言葉に周囲を見回す。
 自分以外に、弦十郎、了子、翼、翔、その他何人もの黒服職員達。一人が行動を乱せば、これだけ多くの命が危険に晒される。
 そう思うとより一層、自分が背負っている責任の重大さを実感した。
 今日は、逃げてばかりもいられない。立花響はそう胸に誓い、拳を握った。
 
 ∮
 
「翔く~ん、ちょっといいかしら?」
「はい、何ですか了子さん?」
「君に、季節遅れのお年玉よん♪︎」
 呼び止められ、振り返ると了子さんは俺の手に何かを握らせた。
 それは、金属で出来た軽めの腕輪だった。鈍色で飾りっけのない無骨なその腕輪の側面には、見覚えのある形と大きさの窪みが存在していた。
「了子さん、これって……」
「RN式回天特機装束、またの名をシンフォギアtype-Pよ」
「シンフォギアのプロトタイプ!?」
 驚きに目を見開くと同時に、その名前に少しだけ高揚する。
 プロトタイプ。それは男子たるもの、誰もが憧れを覚える言葉。
 俺とて一人の男だ。心の中の跳ね馬が踊り昂るのは是非もないだろう。
「シンフォギアほど長くは持たないけど、これを使えば万が一ノイズに触れても炭素分解されずに済むし、位相差障壁を無効化して殴る事くらいなら出来るようになるわ」
「これを……俺にですか!?」
「でも過信はしないで。まだ聖遺物が入っていないし、それに効果持続時間は君の精神力に大きく左右されるの。改良したとはいえ、何処まで持つかは分からないわよ」
「つまり、あくまで護身用なんですね?」
「そういう事。君にこれを渡す事について、弦十郎くんには話を通してあるわ。万が一、輸送車が襲われたら生弓矢の欠片でそれを起動させて、指定された合流地点まで走りなさい。いいかしら?」
 合流ポイントについては、先程のブリーフィングで確認済みだ。その位置まで走り抜け、生弓矢の欠片を無事に守り抜く。それが、この任務に於ける俺の役割だ。
 
「分かりました。ありがとうございます!」
「くれぐれも無茶はしないようにね?本当ならこれ、弦十郎くんが使うはずの物だったんだから」
「叔父さんが前線に立てれば、姉さんや立花が危ない目に遭う事も無くなるのは目に見えてますもんね……」
 シンフォギアtype-Pのリングを左腕に嵌める。
 安物の腕時計くらいのサイズをしたリングは、制服と合わせても違和感がほとんど無かった。
「それでは、風鳴翔。作戦行動に移ります!」
「いってらっしゃ~い」
 了子さんに手を振り、俺は輸送車のコンテナ内へと入る。
 目の前には発掘に使われた機材、ダンボールに積まれた遺跡の資料と、厳重に保管され、専用のケースに仕舞われた生弓矢の欠片があった。
 
 ∮
 
 作戦開始から一時間ほど経過した。
 車通りの殆どない立体道路を輸送用のトレーラーと、護衛の黒い車が全力で走り抜ける。
 ここまでは特に異変はなく、トレーラーは順調に目的地までのルートを走り続けていた。
「何も起きませんね……」
 二課本部のモニターの前で背もたれに身を預けながら、やたらツンツンした前髪が特徴的な茶髪の男性オペレーター──藤尭朔也
ふじたかさくや
はそう呟いた。
 ボヤき癖があるが弦十郎の腹心の一人であり、その情報処理能力は二課の中でも随一を誇り、彼のサポート抜きに組織としての二課はまともに動作できないとさえ言われている男だ。
「このまま何も起きずに終わるといいんだけど……」
「そうね。でも、最後まで気は抜けないわよ」
 隣の席に座る藍色の髪をショートヘアーにしている女性オペレーター──友里あおいは、周囲のエネルギー観測量に気を配り続けている。
 1匹でもノイズが現れた瞬間、ヘリで空から指示を出している弦十郎に即座に通達出来るようにする為だ。
 ちなみに彼女は、常に冷静かつ的確に戦況を伝えられる事に定評があり、二課の内部では藤尭と共に二課を後方から支える名コンビとして知られている。
「ですね……。あの子達が無事に帰ってこられるよう、最大限にバックアップするのが僕らの役目。その僕らがしっかりしなくちゃダメですよね」
「あと20分もすれば、研究施設に到着よ。任務が終わったら温かいもの、持って来るから」
「それなら頑張れそうです。友里さんが淹れてくれる温かいもの、とても美味しいですから」
 友里に励まされ、藤尭は姿勢を整え座り直した。
 
 その時だった。トレーラーへと向けて一直線に接近する高エネルギー反応が観測される。
「輸送車に接近する高エネルギー反応探知!」
「ノイズです!南南西から立体道路に沿って北上中!」
 やがて、招かれざる客が続々とバックミラーに映り込む。
 聖遺物護送任務は、ここからが佳境となるのだった……。 
 

 
後書き
奏さんの誕生日記念特別編書いてから直ぐに書き始めたので、この回を書いた日は初めて1日2本書いたのを思い出しますね……。
後書き予告もその時のままでお送り致します。

奏「本日の主役、天羽奏だ。いや、本編ではとっくに死んでるから出番が殆ど無いんだけどな。今日はあたしの誕生日だってこと、忘れないでくれよ!ちなみに作者は昨日の夜知って、慌てて特別編を書き始めたんだってさ。元号が令和に変わって初のあたしの誕生日、皆で盛大に祝ってくれよな!」

次回、○○へのカウントダウン……。 
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