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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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覚醒の伴装者
  不協和音な剣と拳

 
前書き
ようやく原作主人公、シンフォギア最推しである彼女の登場です! 

 
 ノイズに埋め尽くされた現場。幸い、避難は既に完了しており、被害者は出ていないらしい。
『翼!響くんの到着を待って……』
 叔父さm……司令が立花の到着を待つように指示を出す。おそらく、今後に備えての連携を意識しろ、という意図があるのだろう。
 だが、私にその必要は無い。
「いえ。この程度、私一人で充分です!」
 奏が居なくなってしまった穴は、私一人で埋めればいい。
 素人である立花の力など借りずとも、私一人で戦ってみせる!
 アームドギアを構え、ノイズの群れまで突き進む。
 刃を一振り、目の前のノイズが包丁を当てられたトマトのように真っ二つになり、炭となって消滅する。
 こちらへと迫る二体は纏めて一閃。背後より飛来するもう一体は、身を逸らしながら刃を突き出す事でそのまま切断する。
 ある程度ノイズの数が減った所でそのまま跳躍し、アームドギアを巨大な刃へと可変させる。
 蒼ノ一閃。放たれた青き斬撃が、並み居るノイズらを纏めて残らず斬り伏せた。
 
 僅か五分足らず。私一人でも充分にやっていける……自分の腕を確かめ終えたその直後、土煙の向こうから人影が現れた。
「翼さーん!!」
 言うまでもない。奏のガングニールを纏った立花だ。だが、お前の出る幕はない。既に私が終わらせた。
「任務完了、これより帰投します」
「翼さん……?」
 立花が何か言いたげに声をかけて来るが、私がそれに応える義理はない。
 任務は終わった。ならば私は、後処理を一課に任せて戻るだけだ。
 
 背を向けそのまま歩き去って行く私の背中を、立花がどんな表情で見送っていたのかを、私は知らない。
 それどころかこの頃の私は、本部から私と立花を見守り、心配して気を揉んでいる可愛い弟の存在を、雀の嘴ほども知らなかったのだ。
 
 ∮
 
「……やれやれ。こりゃダメだな」
 立花を仲間だと認識していない上に、掘り返された奏さんへの思いから、戦いを一人で全部抱え込もうとしている姉さん。
 うっかり地雷踏んでしまった事を謝りたいけど、姉さんが必要最低限の言葉も交わさずに去ってしまうから中々踏み出せない立花。
 ギスギスしてんなぁ……。これじゃチームとはとても呼べない。
 なんとか緩衝材になってやれればいいんだけど……。
「う~ん……でも、防人根性で動いてる時の姉さんが話聞いてくれるの、奏さんくらいだしなぁ……」
 司令である叔父さんから連携するように言われても、無視を決め込んでノイズを殲滅しに行くし……。
 こうなるとアプローチをかけるのは、まず立花の方からにするべきなんだろうけど……うっ、気まずい……。
「むむ……どうすればいいんだ……」
 
「なるほど~、コンソールルームを盗聴するなんて、ヘタレな翔くんの割には大胆な事するじゃな~い」
「ッ!その声は……」
 頭を抱えていた所、背後からの声に振り返る。
 立っていたのは白衣に眼鏡の典型的学者スタイルに、蝶の髪飾りで髪をアップに纏めた自称できる女。または天才考古学者。
 名前を櫻井了子。シンフォギアシステムの開発者にして、シンフォギアを始めとした異端技術、「聖遺物」を動作させる〈櫻井理論〉の提唱者でもある。
 叔父さんとは長い付き合いで、お互いに名前で呼び合っている所に強い信頼関係を感じる。
 真面目な指揮官である叔父さんとマイペースな了子さんの、共に苦楽を乗り越えて来た相棒感は、二課のオペレーターであるあの二人に並ぶ名コンビとも。
「って、了子さん……気付いてたんですか?」
「ええ。植え込みにスマホを置き忘れるなんて、今のご時世じゃ死活問題だぞっ☆」
「あはは……」
 了子さんからスマホを受け取り、通話機能を切る。やれやれ、現実は映画のようには行かないらしい。いや、気付いたのが了子さんだけだったの、割と上手くいってた証拠では?
 
「それで、翔くんはどう感じたの?響ちゃんと翼ちゃんの事、心配してるんでしょ?」
「はい……。分厚い壁が出来てしまっているみたいですね……。なんとかしてあげたいのですが、自分に何が出来るのか……」
 立花に会って話が出来ればいいんだけど……いや、待てよ?そうだ!
 妙案を思い付いた俺は、了子さんに手を合わせて頭を下げた。
「了子さん!お願いです、立花へ言伝を頼めませんか?」
「え?響ちゃんに?私から?」
「はい。頑固な姉さんより、素直な立花の方が聞いてくれると思うんです。でも俺、立花に顔を合わせるのは……」
「も~、高校生になってもそのヘタレっぷりは相変わらずなのね。盗聴なんて回りくどいことまでしちゃって、そんなんじゃいつまで経ってもかっこ悪いままよ~?」
 ヘタレ……ああ、そうだ。結局、俺は臆病者。叔父さんに鍛えられて、少しは心が強くなったと思っていたけど、本当はあの頃から変わっていない。
 立花から恨まれるのが怖くて。忘れられている事が嫌で。だから、彼女に向かい合う事が出来ない。手を伸ばしたくても、中途半端な所で顔を逸らしている弱い人間なんだ……。
「自分勝手なのは分かってます。でも……こんな臆病者にその資格はないとしても、俺は……」
「……分かったわ。でもぉ~、一つだけ条件を付けてもいいかしら?」
 顔を上げると了子さんは、仕方ないわね、という微笑を浮かべながら人差し指を立てていた。
 
 ∮
 
「はぁ~……翼さん、やっぱりまだ怒ってるよね……」
 エレベーターを降り、ガックリと肩を落としながら廊下を歩く一人の少女。
 茶髪のショートヘアーに、赤いN字型のヘアピンを前髪の左右に留め、太陽のような琥珀色の瞳をした少女の名は立花響。
 先程までオレンジ色のシンフォギア、ガングニールを纏う奏者としてノイズと戦っていた──と言っても、現場に到着する前に翼が全て倒してしまったのだが──彼女は昨日、自分の不用意な発言で翼を傷付け、怒らせてしまった事を後悔していた。
 謝りたいのだが、彼女は顔を合わせても口さえ聞いてくれない。
 壁を作ってしまった翼にどう接すればいいのか分からず、彼女は悩んでいた。
「はぁ……私、呪われてるかも……」
 口癖の言葉を漏らしつつ、トボトボと歩いていく響。
 
 その後ろ姿を見つけ、櫻井了子は声をかけた。
「ハ~イ響ちゃん、元気ないわね?」
「あ、了子さん。あはは、そんな事無いですよ!」
「翼ちゃんとの事でしょ?顔に書いてあるわよ」
「ふえぇ!?ほっ、本当ですか!?」
 自分の顔にペタペタと触って確かめようとする響。
 そんな彼女を見て、了子はクスクスと笑う。
「そんな響ちゃんに、ある人から伝言を預かってるんだけど……」
「へ?伝言?誰からです?」
「ふふっ、それはね……」
 そう言うと了子は、何やら企んでいるような笑みを浮かべながら、響に耳打ちした。
 
「わ、分かりました!私、ちょっと行ってきます!」
 了子の伝言を聞くと、響は慌てて走り去って行った。
 その様子を軽く手を振って見送ると、了子は誰にともなく呟く。
「響ちゃんも放っておけない子だとは思ってたけど、翔くんも同じくらい放っておけないわよね……」
 響が廊下の角を曲がっていくのを確認し、了子は一つ伸びをして、自分の研究室がある方へと歩いて行った。
「さて、私も研究を進めないとよね~。弦十郎くんに頼まれてる()()()()、実戦投入の望みは薄いんだけど……」
 研究室の扉が開き、了子はその中へと入って行く。整頓された真っ白な机の真ん中には、()()()()()が置かれていた。
 
 ∮
 
「了子さん、しばらく待ってろとは言われたけど……」
 休憩スペースの自販機で炭酸飲料を購入し、そのままソファーへと腰掛ける。
 任せといて、とウインクしていたけど了子さん、何時になったら戻ってくるんだろう?
 いつになるのか分からないし、暇潰しに姉さんの新曲でも聴いていよう。
 
 と、イヤホンを取り出してスマホに繋いだ時だった。背後からこちらへと走ってくる足音が聞こえて振り向く。
 誰だろう?マイペースな了子さんではない筈だ。サイレンも鳴ってないし、緊急事態って訳じゃないだろう。
 そもそも緊急事態ならコンソールルームの方へ向かうべき筈だ。ここからは逆方向だし……余程の慌てん坊なのだろうか?
 しかし、俺が知っている二課の職員にそんな落ち着きのない人は……。
 
 振り返った時、俺は目を疑った。
 確かに俺が知る職員ではない筈だ。何せ、ついこの前配属されたばかりの……いや、もう一年近く会っていなかった人物だったのだから。
 足音の主はこちらに気が付くと、満面の笑みを向けて言った。
「あの!翼さんの弟さんって、もしかして君の事だよね?」
「ッ!?な……」
 何で……立花がここに?
 まさか、謀ったな了子さん!!
 
 

 
後書き
響「ようやく登場!原作主人公の響ちゃんだよ~、なんちゃって。でも翼さんの弟さんってどんな子だろ?了子さんは私と同い歳だって言ってたけど、やっぱり翼さんに似てかっこいいのかな?っていうか翼さん、弟さんがいるなんて初耳だよ~!これは帰ったら未来達に自慢できるかも!」

突然の再会。その時少年は何を思い、少女は何を語るのか。
感想よろしくお願いします。 
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