| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十二部第四章 気付きだした者達その二十七

「それではその様に」
「ではな」
「すぐにことにあたります」
 官僚はこのことを約束した、そしてだった。
 シンガポール警察は実際にマフィア達の掃討を開始した。これによりシンガポール国内のマフィア達はその勢力をかなり弱めた。
 そしてその動きを見てだった、連合各国もマフィアへの対応を強硬にしていった。しかしそれを見てだった。
 エウロパ総統であるギルフォードはエウロパ警察長官であるフランク=ヴァン=リンクを呼び語った。
「卿ならどうする」
「既にです」
 金髪を後ろに撫で付けた青い目の細い男だ、小さなその青い目の光は鋭く身体つきは細い。にこりともせず冷徹な雰囲気に満ちている。
「あの程度の対応はです」
「しているな」
「麻薬組織についてはです」
「私が命じた通りだな」
「一掃しました」
 エウロパ国内からというのだ。
「マフィアの殆どを」
「そうか、既にか」
「治安は極めて良好です」
「卿がそう言うまでだな」
「私が語るものは真実だけです」
「オランダ警察にいた頃からか」
「はい」
 その通りだというだった、リンクはオランダ出身でありオランダで代々警察官僚を輩出している帰属の家柄だ。オランダ警察だけでなくエウロパ中央警察にも人材を出していてこのリンクもそのうちの一人だ。
「警察にいる者として」
「その通りだ。卿は真実しか語っていない」
「総統もご存知ですね」
「卿を今の官職に就けたのは私だ」 
 他ならぬギルフォードだというだ。
「だからだ」
「はい、それではですね」
「卿の言葉は真実だ」
 このことをよく知っているというのだ。
「連合の愚民達の動きは遅い」
「それぞれの国家に分かれてもいて」
「各国でやることが違いな」
「そして何よりもだ」
「指導者がいません」
「生まれついてのな」
 即ち貴族達がというのだ。
「私達の様なな」
「人の上に立つ教育なぞ受けていません」
「学校の成績がいいだけだ」
「彼等は」
「そうした者達でしかないからな」
「はい、ですから警察も動きは鈍いです」
 治安に対する行動もというのだ。
「マフィアなぞ楽にあの程度のことをしないと」
「卿としてはだな」
「朝食前のフェシングの練習の前の」
「準備体操か」
「それも出来ません」
 にこりともせず冷徹な顔のままでだ、リンクは述べた。
「あれでは」
「全くだな」
「私は既に次の段階に移っています」
「我がエウロパの治安確立の為にだな」
「万全の治安なくして内政はありません」
「その通りだ、まずはだ」
「そうした政治を為すことですね」
 リンクも言った。
「治安の確立を」
「だから私は総統になりすぐに卿に命じたのだ」
「マフィア及び他の犯罪組織の一掃を」
「それを命じたのだ」
 まさにというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧