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レーヴァティン

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第百二十七話 統治の仕組みその十一

「一つ考えがある」
「それはどんなのや」
「萩からだと博多や福岡を攻めるな」
「そっちから入るな」
「門司城だな」
 城ならというのだ。
「そこからになるな」
「普通はそやな」
「それもいいが」 
 それとは別にというのだ。
「湖から南を攻められるな」
「九州のやな」
「薩摩や大隅をだ」
 具体的にはこの国々をというのだ。
「攻められるな」
「ああ、そっちを攻めることもか」
「可能だな」
「それはな、ただ薩摩とか大隅はあっちの本拠地や」
 耕平は英雄にこのことを話した。
「そやからな」
「守りは堅固か」
「そやからな」
 それでとだ、耕平は英雄に話した。その顔は英雄の考えに驚いているが肯定はしていないものであった。
「あそこはな」
「攻めるにはか」
「奇襲をするにも」
「問題があるか」
「そうや、とはいっても」
「博多の方もだな」
「かなり堅固や」
「そこから来ると読んでいるからだな」
「そや、それでや」
 まさにというのだ。
「あそこから攻めるのもな」
「堅固な守りを突破する」
「そうした戦になるわ」
「そうだな」
「まあ上陸戦はな」
 どうしてもとだ、耕平は英雄に少し苦笑いで話した。
「やっぱり難しい」
「そういうことだな」
「博多から攻めるにしても」
「薩摩や大隅から攻めるにしても」
「どちらにしてもそうや」
「それだけに覚悟が必要だな」
「そや、それでどうして攻めるか」
 耕平は英雄に腕を組んだ姿勢で問うた。
「それが問題やが」
「考えてみたが薩摩、大隅から攻めることは」
 それはというのだ。
「萩からはな」
「湖を使ってもだ、遠い」
 幸正も言ってきた。
「これが四国、伊予なら別だが」
「伊予にはな」
「港はあるし城もあるが」
「伊予から薩摩、大隅への航路は荒れやすい」
「そのことがあるからな」
 幸正は水軍を操る者として話した。
「だからだ」
「勧められないか」
「あそこから攻めることはな」
 幸正にしてみればというのだ。
「止めた方がいい、だが陽動なら」
「仕掛けてもいいか」
「そう思う」
「わかった、では陽動も入れつつだ」
 そのうえでとだ、英雄は幸正に応えて言った。
「萩に入ってからな」
「それからだな」
「博多攻めをだ」
 まずそれをというのだ。
「念頭に置く」
「わかった」
 英雄は強い声でだ、幸正に応えた。そうしてだった。 
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