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レーヴァティン

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第百二十七話 統治の仕組みその七

「それしか見ていなかった」
「あちらの方が器が小さいでござるか」
「そう思う、男でも女でもだ」
 性別に関係なく、というのだ。
「ああした輩は不要だ」
「政には」
「そう思う、そしてだ」
 英雄はさらに話した。
「俺はもう自分に必要なものはある」
「全てでござるな」
「そうだ、だからな」
「私利私欲にもでござるな」
「向かわない」
「無欲でござるな」
「そうか、俺は女好きだが」
 自分でも自覚はある、現にこの世界の大坂にいう時は文字通り毎晩夜はお静だけでなく側室達も相手に楽しんでいる。
「そして酒もな」
「しかし酒池肉林はでござるな」
「そうしたことに興味はない」
 贅沢に至る様なことはというのだ。
「別にだ」
「左様でござるな」
「酒の池だの美食の限りなぞな」
「興味がないでござるな」
「刺身や天婦羅は好きだが」
「贅沢な食事もでござるな」
「特別な馳走、珍味を集めるなぞな」
 そうしたこともというのだ。
「興味はない」
「普通に食べられればでござるか」
「それでいい」
「では元々」
「俺は自分が美味ければだ」
 例えそれが安いものでもというのだ。
「馳走と呼ばれないものでもな」
「いいでござるな」
「起きた世界で大学のカツ丼もな」
「あの安くて量の多い」
「味はまあ美味いという程度のな」
「あれもでござるか」
「満足して食べている」
 こう智に話した。
「それでな」
「そうでござるか」
「まことにだ」
 英雄は智にさらに話した。
「酒池肉林という贅沢はな」
「興味がないでござるな」
「蓄財もだ」
 これもというのだ。
「子孫が残るなら子孫は子孫でな」
「やってもらうでござるな」
「そうだ、そして俺自身はな」
「今のままでいいでござるか」
「そうだ、起きた世界でもな」
 そちらでもというのだ。
「別にだ」
「構わないでござるな」
「普通に暮らせればそれでいい、日本は今のところは」
 将来のことはわからない、あくまで日本の現状を見てだ。少子高齢化だの年金問題だのは彼も聞いているが今の日本の国力と彼なりの将来の展望からの言葉だ。
「暮らせそうだしな」
「それならでござるか」
「いい、そしてこちらではな」
「領主でござるな」
「それで暮らせているからな」
 生活は保障されているというのだ、領主の生活が保障されない勢力というのもまず存在しないことだ。 
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