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曇天に哭く修羅

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第一部
  足掻き

 
前書き
原作より展開を早くしてます。
(>.<) 

 
入学二日目の訓練前。

二軍へ上がる者が発表される。

立華紫闇(たちばなしあん)》の名前は無い。

仕方ないので外周マラソン。


「あの二人、今日もサボりか」


今日は登校すらしていない。

一人でお昼を()っている紫闇が見渡すも、幼馴染みの《的場聖持(まとばせいじ)》と《エンド・プロヴィデンス》の姿を見付けることは出来なかった。


「おい、昨日に続いて」

「また来たぞ」

「早くもスカウトに?」


教室がざわめいたのは【龍帝学園】の五年生で生徒会長の《島崎向子(しまざきこうこ)》が現れたから。

向かう先に居るのは彼奴(あいつ)


「君が《江神春斗(こうがみはると)》君?」

「何かした覚えは有りませんよ?」


二人の会話は教室のドアが勢いよく開かれたことで遮られてしまう。


「コウガミハルトオォォォォーッ!」


その声に春斗は頭が痛そうだ。


「勝負しなさいよゴラアァァァァァッッ!!」


一年の学年序列一位《クリス・ネバーエンド》は金髪を揺らし、まるで鬼のような形相をしながら春斗の席へ近付いていく。


「会長、失礼させて頂きます」

「えっ? ちょっ、江神君!?」


彼は一目散に逃げる。

その際に紫闇と目が合った。


「お互い大変だな」


そんな呟きに紫闇は共感する。


「全くだ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


入学三日目の訓練。


「《佐々木青獅(ささきあおし)》、二軍に入れ」


教官の《斬崎美鈴(きりさきみすず)》に名前を呼ばれたモジャモジャ頭で小学生のような身長と童顔の男子は紫闇よりも体力が無く、紫闇から見て二軍に上がれないだろうと思っていた人物。

彼が昇格したことで希望が見える。


(あいつが呼ばれたなら……)


しかしまたも三軍で現状維持。


「おい立華紫闇、やる気が無いのならとっととこの学園を去れ。ボサッとしているだけの奴に居てもらっても迷惑なだけだ」


その後は何時も通り走っていることにしたが退屈になったので春斗の実戦を眺める。

春斗は紫闇を助けた時に見せた漆黒の直刀を構え、相手は盾とランスの【魔晄外装(まこうがいそう)

1ラウンド目は相手が押し気味で春斗は劣勢だったのだがインターバルでのこと。


「気になっていたが江神春斗、なぜ本気を見せない。二軍に落ちたいのか?」


春斗は教官に叱責を喰らう。


「俺はこぞって誰かと競おうという気は有りません故そう受け取られても仕方ありません。二軍に下がるのならそれもまた良し」


春斗はクリスに絡まれ戦いを求められるのが嫌になってきた所だ。

ちょうど良いだろう。

2ラウンド目の春斗は1ラウンド目よりも俊敏に動き回り一進一退に持ち込む。

結果は相討ちに終わった。

美鈴は肩を(すく)めて言う。


「貴様を二軍に格下げする。今よりも手を抜くなら三軍落ちも覚悟しておけ」


春斗は一切気にしていない仏頂面で二軍の生徒に混ざり素振りと型をメインに汗を流す。


「江神もエンド達と同じ変わり者か」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


四日目の訓練。

二軍を見ていた紫闇に寒気が走る。

強烈な怖気。

モジャモジャ頭で弱そうでやけに小柄。


(明らかに成長不良だろ)


紫闇は佐々木青獅の体格が同い年の平均と比べて小さすぎるのが気になっていた。

灰色の棒を外装に持つ彼はあっと言う間に相手から血達磨にされてしまう。

紫闇が初めて見た時から弱そうと判断した彼は本当に弱かったらしい。


(でも何でだ。俺は佐々木が)


怖くて仕方ない。

理由は不明だが嫌な感じがする。

五回目のダウンを奪われた青獅は直後に立ち上がりながら『にいっ』と笑う。

紫闇には彼が鬼のように見えた。


(何か有るのか? 俺には理解できない、感じ取ることが出来ない何かが)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


入学して十日になるも状況は同じ。

相変わらず紫闇は三軍のまま。

実戦を許されない。


「ハルト、今度の休みは暇でしょ? 暇じゃなくても私の屋敷に来なさい。言っとくけど強制連行よ。意地でも付き合ってもらうわ!」

「学年序列一位が二軍の一人に拘るな。折角の格が下がってしまうぞ?」


春斗はまたもクリスの誘いを断る。

どうあっても戦わないつもりらしい。

彼は紫闇に近付いてきた。


「まっこと諦めが悪い。俺が戦いたい相手はこの場に居らんというのに何故わざわざ興味が無い奴の為に無駄な労力を掛けねばならんのか」

「江神、俺は決めた。無理矢理であろうが実戦をやらせてもらうつもりだ」


紫闇の言葉に沈黙した春斗は三軍の紫闇を馬鹿にすること無く考えている。

そしてただ一言。


「そうか」


しかしそれで終わりでは無かった。


「二軍でも一軍でも良いから上がってこい。俺は待っていることにしよう。見せてもらうぞ。エンドやレイアさんが気に掛けている力を」


春斗の言葉には熱が込もっていた。

目には闘志が満ちている。

一体何を見ているのか。


「ああ、必ず上がるから待ってろ」
 
 

 
後書き
江神が原作ほどピリピリしてない。
( ̄* ̄) 
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