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八条学園騒動記

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第五百三十六話 山に行くとその十二

「そして使用も出来る」
「絶対に止めろよ」
「洒落になってないからね」 
 ライゾウもタロも笑って話す博士に真顔で突っ込みを入れた。
「そんなことしたらね」
「この星どうなるんだよ」
「この星からどんどん感染して」
「もっと酷いことになるだろ」
「安心しろ、今は使わん」
 あくまで『今は』だった。
「わしは自分が言ったことは守る」
「ああ、そうしろよ」
「本当に洒落になっていないからね」
「空気感染するペスト菌なんかな」
「絶対に使ったら駄目だよ」
「しかし今言ったが」
 博士は二匹にこんな反論もした。
「疫病で滅んだ国はない」
「そうなんだな」
「それで滅んだ国はないんだ」
「衰えた国はあるが」
 それでもというのだ。
「そうした国はない」
「予言とかじゃ常だろ」
 ここでライゾウはこちらの話を出した。
「とんでもない疫病が流行してな」
「人類滅亡じゃな」
「滅亡の原因は色々あるけれどな」
「ノストラダムスとかのう」
「そういうののパターンの一つだろ」
 こう博士に話すのだった。
「本当にな」
「うむ、しかしじゃ」
「実際はか」
「そんなことはない」
 疫病で国そして人類が滅ぶこおてゃというのだ。
「絶対にな」
「そうなんだな」
「大体じゃ、ワクチンや対策がない病気なぞない」
「病原菌もか」
「そんなものは有り得ないのじゃ」
 博士は断言した。
「それがどれだけ悪質な病気な病原菌でもな」
「絶対に治るんだな」
「そうじゃ、ペストにしてもであろう」
「そう言われるとな」
 実際にとだ、ライゾウも答えた。
「あの病気もなくなったしな」
「天然痘も結核も梅毒もエボラも」
 タロは具体的な細菌による病気を話に出した。
「そうだったしね」
「そうじゃ、狂犬病もじゃ」
 この病気もとだ、博士はタロにも答えた。
「ワクチンが出来たであろう」
「そうだね」
「この世に無敵の存在はない」
「それは細菌もだね」
「退治出来ない病気なぞ有り得ないのじゃ」
「絶対にだね」
「そう、絶対にじゃ」
 まさにというのだ。
「そういうものじゃ」
「そうなんだね」
「それでじゃ」
「疫病で人類が滅亡することはない」
「そんなことがあればじゃ」
 それこそというのだ。
「人類はとっくに滅亡しておるわ」
「ペストとかで」
「そうじゃ、ではじゃ」
 博士は二匹にあらためて話した。
「これからじゃ」
「これから?」
「何か食いに行くか」
 こう言ってだった、博士は二匹を連れて今度は食べに行くことにした、旅行の目的は果たしたがそれでも旅を楽しむのだった。


山に行くと   完


                 2019・8・17 
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