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レーヴァティン

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第百二十七話 統治の仕組みその五

「領地が拡がればな」
「廃止しますね」
「人の動きは止めない」
 これはないというのだ。
「止めればだ」
「それは、ですね」
「血流を止める」
「そのことと同じですね」
「だからだ」
 それ故にとだ、謙二に話した。
「俺はだ」
「そうしたことはしないで」
「人の行き来は領内では自由にさせてな」
「人もお金もものもですね」
「動いてもらう」
 自由にというのだ。
「まさにな」
「そうして利益を得ますね」
「俺は信長公の様にする、間違ってもな」
 ここで英雄はこの人物の名も出した。
「日野富子の様なことはしない」
「日野富子といいますと」
「知っているな」
「足利義政公の正室だった」
「そうだ、お世辞にもな」
「いい人ではなかったですね」
 応仁の乱の元凶となったと言われている、歴史的には何かと悪評が目立つ人物であることは事実だ。
「拙僧もそう思います」
「関所に高い通行の銭をかけてな」
「収益を得ていましたね」
「自分の財としてた」
「そうしたことはですね」
「俺自身が金持ちになってもだ」
 英雄はつまらなさそうに述べた。
「何になる」
「意味がないですか」
「飯が食えて酒が飲めて女達がいる」
 自分の周りにというのだ。
「そして服も屋敷もある」
「ならばですね」
「それでいい」
 満足だというのだ。
「だからだ」
「お金は、ですね」
「必要なだけあればいい」
 英雄個人はというのだ。
「若し政で必要ならな」
「そちらにですね」
「使うが」
 それでもというのだ。
「俺個人の蓄財はな」
「興味がないですね」
「俺はこの世界を救う為にいる」
 英雄は自分達の目的のことも話した。
「蓄財の為に来ていない」
「ならですね」
「尚更だ」
「蓄財は考えず」
「政でもな」
 関所に高い通行の銭をかけたりせずにというのだ。
「そうしていく」
「人の行き来は自由に、ですね」
「そうする、あと俺はだ」
 英雄はさらに話した。
「日野富子は好きではない」
「まあ好かれる人ではないっちゃな」
 留美も日野富子についてはこう言った。
「日本の歴史で一番の悪女ではないっちゃか」
「私利私欲に走ったな」
「日本にも悪女はいるっちゃが」
「第一となるとな」
「あの人ではないっちゃか」
 こう言うのだった。
「やっぱり」
「俺もそう思う、案外本朝はな」
 日本はというのだ。 
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