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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百四十六話 ビロードその十六

「もうね」
「長くなかったノ」
「そうだったと思うよ」
「ううん、そうだったのネ」
「本当に長い間結核は怖い病気だったから」
「幕末でもそうデ」
「若し沖田総司が結核じゃなかったら」 
 これは幕末ファンの間でよく言われることだ。
「長生きしてね」
「それでよネ」
「違ってたんじゃないかな」
「長生きネ」
「そうなっていたかもね、けれど新選組は」
 ヤクザ映画みたいな切った張ったの世界だったからだ。
「長生きした人少なかったから。今言ったけれど」
「長生きしていたらっテ」
「早くに死んでいたかもね」
「戦死していたとカ」
「戊辰戦争の時に。けれど早くに死んだから」 
 思えばそのお陰でだ。
「近藤勇の死も知らずに済んだかもね」
「あの人が死んだのしらなかったノ」
「病の床でどうなったのかって気にしていたんだ」
 近藤先生はどうしました、と看病している人に聞いていたらしい。
「手紙が届かないってね」
「そのことを気にしていたノ」
「それで死んだんだ」
「近藤勇が処刑されたの知らなかったのネ」
「死ぬまでね」
「それはよかったのかしラ」
「そうかもね、敬愛している人が悲惨な死を遂げた」
 切腹ではなく打ち首だった、武士でありたいと思い新選組での立身で殿様になったと思っていた近藤勇には無念のことだっただろう。
「そのことを知らなかったことはね」
「よかったことネ」
「そうかも知れないね」
「そうした考えもあるわネ、今メール見たラ」
 ジューンさんは自分のスマホを見つつ僕に言ってきた。
「彼もその教室に行くらしいかラ」
「そこでだね」
「デートはじめるワ」
「じゃあお邪魔虫は去るよ」
 僕はこう言って実際にジューンさんと教室の前で別れた、見ればジューンさんは大柄で逞しい体格のアジア系の彼と笑顔で会っていた。その姿を見ながらそのうえで僕は一人でクラスの中の説明を読んでいくことにした。


第二百四十六話   完


                    2019・8・1 
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