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ヘタリア大帝国

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TURN22 各国の会議その六

「誰の席だよ、それ」
「君が間違えて置いたじゃないのか?」
「そう思っていたあるが」 
 開催国のアメリカも知らなかった。当然中国もだ。
「僕は置いてないぞ」
「気付いたらそこにあったあるが」
「いや、俺も置いてねえぞ」
 イギリスも知らなかった。当然ながら。
 フランスは首を捻りながらだ。イギリスに尋ねた。
「オーストラリアとかニュージーランドとかじゃねえのか?」
「あいつ等は植民地会議の方だよ」
「じゃあ違うんだな」
「だから言ってんだよ。この席は何なんだよ」
 本気でわからないといった顔だった。今のイギリスは。
「ロシアの冬将軍とかか?」
「スノーさんなら今はロシア平原だよ」
「じゃあ誰の席なんだよ」
「言っておくが俺でもないからな」
 フランスも言う。
「ジャンヌ=ダルクじゃねえからな」
「ってジャンヌ死んだだろうが」
「生きてるんだよ。俺の守護聖人になってんだよ」
 驚くべきことにだ。そうなっているというのだ。
 だがあれこれ話してもだ。それでもだった。
 この席の主がわからずだ。五人は遂に言い出した。
「だから誰なんだよおい、この席の主はよ」
「君の勘違いだろう」
「そうに決まってるある」
 アメリカと中国は素っ気無くイギリスに返す。
「ははは、君も遂にぼけたかな」
「アルツハイマーにはこのお茶がいいあるぞ」
「国がぼけるのかよ」
 忌々しい顔でだ。イギリスは二人に返した。
 そしてロシアもだ。こうイギリスに言う。
「イギリス君も歳だから仕方ないよ」
「おい、俺達と枢軸の三人は原始の八国で大体同じ頃に生まれただろうが」
 だから彼等の年齢は変わらないというのだ。
「俺がぼけるんなら御前等はどうなるんだよ」
「けれど本当に誰の席なんだよ」
 フランスはここでは冷静なままだった。
「ロシアの前の上司の亡霊とかじゃねえのかよ」
「だったらスノーさんが来てくれるよ」
「だよな。謎が謎を呼ぶな」
「本当に誰の席なんだろうな」
 イギリスが最後に言う。しかしだった。
 結局彼等はその席の主が誰かわからなかった。だがそれでもだ。
 その席には実はカナダがいた。彼は期待している顔で一緒にいるクマ二郎さんに尋ねた。
「ねえクマ九郎さん」
「誰?」
「君の飼い主のカナダだよ」
 まずはこのやり取りからだった。お互いの名前を知らないのだった。今も尚。
「それで僕の喋る番は何時かな」
「そのうち来るんじゃないのか?」
 クマ二郎さんはどうでもいいといった口調でカナダに答えた。
「待っていればいいと思う」
「そうだね。それじゃあね」
 だが五人の誰もカナダには気付かなかった。誰一人としてだ。
 五人の会議は何はともあれ終わりに近付こうとしていた。ここでだ。
 イギリスがだ。こう他の四人に言った。
「じゃあ何か食うか?作るぜ」
「いや、御前は何も作るな」
 すぐにだ。フランスがイギリスを止めてきた。
「お茶だけ淹れろ、いいな」
「おい、俺の料理がまずいってのかよ」
「そうだよ、御前の料理は最悪だからな」
 極めつけにまずいというのだ。彼の料理は。
「だから作るな。いいな」
「何だよその言い方」
「御前北欧連合との戦いでデンマークとかに駄目出し食らったよな」
「あれはあいつ等が味わからねえだけだ」
「とにかくいいからな。御前はお茶だけでいいからな」
「くそっ、何で俺の料理は誰も食おうとしねえんだよ」
「だから自覚しろってんだよ」
 フランスは呆れた顔でイギリスにまた言った。 
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