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グンラウグの失恋

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第三章

 だが彼女のいる場所即ちソルステインの領地に入ると領民達が何かを祝っていた、それでグンラウグは民達に何かあったのか問うた。
「一体どうした」
「いえ、ヘルガ様が結婚されまして」
「ここに来られた立派な詩人の方と」
「何でもこのアイスランド生まれだという」
「大層立派な方と」
「ご領主様の御前に参上して立派な詩を謡われて」
「賊も次々と成敗されて」
 そうしてというのだ。
「狩りもお見事で」
「領主様が大層気に入れられて」
「それで、です」
「その詩人の名前だが」
 ここまで聞いてまさかと思いつつだ、グンラウグは領民達に問うた、
「フラヴンというのか」
「はい、そうです」
「本当に立派な方です」
「わし等から見ても」
「ヘルガ様はいい方を夫に迎えられました」
「お幸せにですよ」
「そうか、そういえば」
 ここでグンラウグは自分がソルステインと話したことを思い出した、それで旅に出たが彼は考えると言った、そして。
 自分は後に来た、フラヴンは先に来た。これはどうしようもないことだと考えた。
 嫉妬は感じた、ヘルガは自分のものであったがと思った。しかし彼とのスウェーデンでのことも思い出し。
 アイルランドに戻ることにした、だがここで彼は詩人として領民達に対して微笑んで話した。
「お二人を祝って謡いたいが」
「詩をですか」
「それをですか」
「そうしたいがいいか」
 誰も反対しなかった、それでだった。
 グンラウグは二人を祝福した詩を謡った、それは誰もが感嘆するものだった。その詩を残してであった。
 グンラウグはアイスランドを後にしてアイルランドに戻った、するとすぐに父のイッルギから結婚の話があった。それはアイルランドのコノートのある領主の娘であり。
 ヘルガとは全く違った外見だった、だが彼女と同じだけ美しく思え彼を忽ちに魅了した。それで彼は言った。
「私は彼女と結婚すべき運命だった」
「ならだな」
「このお話喜んで受けます」
 こう父に言ってだった、彼はその娘と結婚してその領地で領主そして詩人かつ戦士として過ごした。その詩はどれも見事なもので詩の一句一句が讃えられるまでになった。そこには失恋のものもあったがそれも褒められた、その彼を蛇舌と呼ぶ者はもういなかった。詩の神ブラギの舌を持つとまで謡われた。それが彼の評価となっていてその名で永遠に語り継がれることになった。長く色々な旅で多くのものを学び友情を育んだうえで。


グンラウグの失恋   完


              2019・9・11 
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