八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百四十六話 ビロードその八
「白いご飯ばかりでね」
「脚気になったのよネ」
「それは軍隊でも同じで」
何しろ入隊すれば白米のご飯が好きなだけ食べられることが魅力とされていた、農村ではほぼ食べられなかったそれが。
「皆そればかり食べて」
「脚気になったのよネ」
「そう、けれど」
それがだ。
「森鴎外は陸軍n軍医さんだったけれど」
「脚気の治療方法見付けられなかったのネ」
「細菌学の権威で」
あのコッホに教えられた。それだけに細菌学については当時の日本よりも誰よりも詳しい人であったのだ。
「それでね」
「脚気もよネ」
「脚気菌があるって言って」
そう主張してだ。
「海軍が出した解決案を認めなかったんだ」
「麦を食べることヲ」
「麦飯を食べたら」
もうそれでだ。
「脚気にはならなかったのに」
「それを認めなくテ」
「それでね」
「沢山の人が死んだのよネ」
「日露戦争でね」
そしてその前の日清戦争でもだ。
「大変なことになったから」
「評判悪いのネ」
「このこと今じゃ有名だから」
昔はそうじゃなかったらしい。
「だから授業でもね」
「先生はいいこと言わなかったのネ」
「とにかく頑固で」
今で言う東大医学部を優秀な成績で卒業してドイツ留学をしてそこでも評判で陸軍軍医総監にまでなった人だ。プライドが高くなってそうなったのだろう。
「それでね、出世欲とかね」
「そういうのが強かったノ」
「うん、権力志向であったことはね」
これもエリート故だろうか。
「間違いなかったみたいだね」
「何か先生の言う通りネ」
「その辺り夏目漱石と違うよ」
同じく明治の文豪と言われるけれどだ。
「あの人もあれで問題あったけれど」
「確かDVよネ」
「うん、奥さんや子供さんにね」
「暴力振るってたのよネ」
「ご長男をステッキで乱打したとか」
もう徹底的に打ち据えたらしい。
「そんな話もあるから」
「今だと確実に問題よネ」
「問題にならない職業はあるよ」
「学校の先生ネ」
「うん、学校の先生だと」
日本ではだ。
「暴力振るってもね」
「問題にならないのよネ」
「隠されるからね」
なかったことになってだ。
「それでだけれど」
「そういえば漱石さんっテ」
「学校の先生だったんだよね」
「それで坊ちゃん書いたのよネ」
「実は坊ちゃんの赤シャツのモデルはね」
「漱石さん自身よネ」
「自分で言ってるからね」
坊ちゃんがそうではないかと思えばだ。
「このことは」
「あの嫌味なキャラがなノ」
「漱石さん自身らしいんだ」
「何か自分が嫌いだったのかしラ」
「そうかもね、ただあの人もエリートだったけれど」
イギリス留学をしていてそれを作品にもしている。
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