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占術師速水丈太郎  死の神父

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第十九章

 左目の色は黄色だった、その黄色の目を出すとだった。
 速水は数枚のタロットカードを出した、どれも大アルカナだった。そのカードの力を今放とうとしていたが。
 沙耶香はその前に動いていた、礼拝堂の床に黒い衝撃を放つとだった。
 礼拝堂が揺れた、地震の様に。そうしてその揺れと共に聖堂が崩れだした。神父はその事態にも冷静だったが状況について述べた。
「成程、地震ですか」
「そうよ、貴方の手も建物が崩れてはね」
「私諸共ですね」
「倒壊に巻き込まれて死ぬわ」
「確かに。その危険はありますね」
「そうね、貴方は死ぬけれど」 
 それでもと言うのだった。
「私達は魔術ですぐに司教さんと一緒にこの場所から離脱出来るな」
「瞬間移動ですか」
「私達はそうした魔術も使えるのよ」
 それ故にというのだ。
「貴方にとっては残念なことにね」
「私はこの場所から動けません」
 神父は紗耶香の言葉にこう返した。
「ここに神がおられるのですから」
「だからここが崩れれば」
「聖堂と運命を共にします、ただ」
「それでもというのね」
「この倒壊もこの通りです」 
 神父は動かない、だがその後ろにある手が動く。それが上から落ちて来るものを受け止めていきそうして神父を守っている。
 そして残った手達が速水と紗耶香を襲う、神父はここで語った。
「では貴方達を今度こそ神の生贄に」
「そうはいきません、悪しき力には正しき力です」
 速水は神父に対してこう言うとだった。
 まずは太陽のカードを出した、すると眩いばかりの光が放たれ手達をまるで飴の様に溶かし消していく。
 その次に吊るし人のカードを出した、すると今度は神父自身の全身を金色に輝く鎖で縛った、神父は逃れようとするが鎖の力は強く神父も逃れられない。
 最後に戦車のカードを出した、カードから全身をプレートメイルで覆い剣と盾で武装した騎士が出て来た。騎士は動けなくなっている神父に対して駆け。
 右手に持っている剣を左から右に一閃させた、そうして神父の首を断ち切った。神父の首は上に大きく吹き飛ばされた。
 切られた首筋から鮮血が噴き出る、それが神父の身体を赤く染め上げ首は床に落ちて暫くゴロゴロと転がっていたが動きを止めた。丁度速水達を横に寝て見る形になっている。
 首を刎ねられたことから死んだのは明らかだ、だが神父の首の口が動いた。そうして速水達に対して言ってきた。
「まさかそうして攻めてくるとは」
「カードを一枚だけ使うとは限りません」
 速水は神父の首に対して答えた。
「この様にしてです」
「一度に使うこともですか」
「出来ます、確かに気力も体力もかなり使いますが」 
 それでもというのだ。
「私の力を全て引き出せば」
「使えると」
「そうです、ですから」
 それでというのだ。
「貴方を倒せたのです」
「そうでしたか」
「さて、貴方の命は絶たれました」
 速水は神父の首を両目で、右目は黒左目は黄色のその目で見下ろしつつこのことを告げた。 
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