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八条学園騒動記

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第五百三十五話 焼き肉食べ放題その十

「それでもね」
「新選組とか」
「縁が深くて」
 新選組を出て別の組織を立ち上げたがだ。
「近藤さんとも親しくて」
「殺される直前も飲んでいたな」
「けれどね」
「飲んだ後でな」
「闇討ちを受けて」
「その闇討ちもヤクザだな」
「芹沢さんの時と同じでね」 
 まさにそうした感じでというのだ。
「そうして殺してるし」
「何か本当に武士じゃないな」
 友人もこう言った、そうして彼も彼の酒である焼酎を注文した。
「新選組は」
「冗談抜きでヤクザだよね」
「内部抗争が酷くてな」
「敵にも闇討ちとかするしね」
「武装警察でもな」
「結構昔は警察も」
 この組織もというのだ。
「ヤクザ屋さんを仕立てるとかね」
「ああ、自警団もな」
「あれ結構ヤクザ屋さんがやってたし」
「自警団を造ったらなったとかな」
 ヤクザにだ、マフィアと呼んでもいい。
「あったしな」
「だからね」
「そもそも新選組って浪人とかだったしな」
「近藤さん達も田舎の道場だったし」
「武士かっていうのも怪しかったしな」
「そうした組織だったし」
「警察といってもか」
「ヤクザ屋さんの色が強くても」
 例えそうでもというのだ。
「これも当然だったかもね」
「そうなんだな」
「うん、けれど武士道はね」
「大事にしていたんだな」
「あの人達にね」 
 野上君はこのことも話した。
「かなり真剣にね」
「武士道を大事にしていたことは事実だよな」
「そうそう、それと」
「それと?」
「規律も厳しかったし」
 武士道に基づくそれもというのだ。
「もうちょっとしたことで切腹とかね」
「そんな組織だったな」
「だかね」
「武士ではあったんだな」
「ヤクザ屋さんみたいな色は強くても」
 このことは事実でもというのだ。
「そうだったんだよ」
「色々複雑な組織だな」
「そうだよね」
「恰好よくはあるけれどな」
「恰好いいことは事実だね」
「そうだよな、武士の恰好よさだな」
 友人は新たに注文した焼酎を飲みつつ述べた。
「新選組は」
「何だかんだでね」
「ヤクザ屋さんはポケットに手を突っ込んでな」
「肩で風切るね」
「そんな風だけれどな」
「新選組はもう堂々とね」
「刀を腰にして歩くな」
 このことは実際にそうだったとのことだ、都の道を隠れることなく堂々と闊歩していたのだ。旗も掲げて。 
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