| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

赤米黒米

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五章

「そうでしたの」
「何か歴史の不思議ね」
「全くですわね、豊臣秀吉さんは臼で挽いた挽き米がお好きでしたけれど」
「それも白米よね」
「そうでしたわ」
「私もずっとお米っていうと」
 雅美にしてもだった。
「本当にね」
「白米でしたわね」
「もうそれだってね」
「思ってましたわね」
「やっぱりね」
 雅美がこう言うとだった、他の友人達も口々に言った。
「普通そうよね」
「お米ってもうね」
「白いものよね」
「そうした認識あるわよね」
「それが固定観念に過ぎなかったとは」 
 稲穂は今度はしみじみとした口調で述べた。
「まことに世の中は広いですわ」
「そうよね、それでね」 
 雅美はその稲穂に応えて話した。
「そのお米どうして食べるの?」
「お母様がお握りにして下さいますわ」
「そっちなの」
「はい、ただ」
「ただ?」
「ご飯の粘りの関係でお握りになるかは」 
 それはとだ、稲穂は不安そうに話した。
「わかりませんわ」
「ご飯っていうとお握りだけれど」
「それも固定観念になるかもと」
 不安そうな顔でのままの言葉だった。
「思いますし」
「それでなのね」
「お握りにならないかも知れませんわ」
「そうなのね」
「はい、そして」
 稲穂はさらに話した。
「お粥も考えましたの」
「そっちもなの」
「あれでしたら」
「どんなお米でも出来るから」
「ですから」 
 それでというのだ。
「考えましたけれど」
「お握りにしたのね」
「お母様とお話して。お母様も召し上がられますし」
 その赤い米と黒い米をというのだ。
「お母様もわたくしもお粥よりお握りが好きで」
「そっちにしたのね」
「はい」
 その通りという返事だった。
「どうしようかとなって固定観念と考えても」
「まあね」
 雅美は稲穂の言葉を聞いて言った。
「お握りにするのがね」
「王道ですわね」
「二階堂さん基本王道好み?」
「邪道もまた道といいますが」
 それでもとだ、稲穂も雅美に答えた。
「ですが」
「やっぱり王道なのね」
「野球も選手を育成することが一番いいですわね」
「助っ人とかフリーエージェントもいいけれどね」
「ですから巨人は若手が育たず」
「連覇も出来なくなったのね」
 例え一年優勝してもだ。
「そうなったっていうのね」
「はい、本物の強さは。私は独立球団派ですが」
 地元の球団のファンである。
「ですがソフトバンクを見ますと」
「巨人は駄目ね」
「はい、ああしていてはやがてお金がなくなり」
 そしてというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧