八条学園騒動記

「あのお酒もいいだろうね」
「そうだろ」
「要するに濁酒か」
「この国で言うとそうなるな」
　今自分達がいる日本の見方からすればというのだ。
「マッコリは」
「お米から造るから」
「そうそう、それで普通の日本酒は清んでいて」
「清酒だけれど」
「元々濁っていたんだよ」
「万葉集にもあるよな」
　友人は今度は日本最古の歌集の名前を出した、編者は大伴家持であるとされていて色々な人物の歌が入れられている。
「あのお酒は」
「濁れる酒だったね」
「謡ったのは大伴家持か」
「編者だったね」
　野上君もこの説は知っていて今言った。
「確か」
「そうそう、それでお酒が好きでな」
「その飲んでいたお酒が」
「濁酒でな」
「当時はそのお酒ばかりだったんだよね」
「結構後の時代までだろ」
　友人は焼酎を飲みつつ野上君に話した。
「日本のお酒っていうとな」
「濁酒だったね」
「それで韓国のマッコリもな」
「日本で言うと濁酒だね」
「そうだろ、しかも味がな」
　友人は今度はこちらの話をした。
「甘くて韓国の辛い味付けにも合って」
「余計にいい」
「だからな」
　それでというのだ。
「焼き肉にはな」
「マッコリもいいんだ」
「そうだろ、ただな」
「ただ？」
「甘いしお米のお酒だからな」
　このことからもだ、友人は野上君に話した。
「最近は糖分控えめで治るけれどな」
「ああ、それは」
　どうかとだ、野上君も応えた。
「なるだけでもね」
「完治しても治療が厄介だろ」
「糖尿病はね」
「痛風もそうだけれどな」
「それに注意だね」
「マッコリはな、だから僕はな」
　飲みつつ言うのだった、焼酎を。
「こうしてな」
「焼酎飲んでるんだ」
「そうなんだよ、しかしここの肉美味いな」
「そうだね」
「食いがいがあるな」
「お陰でお酒も進むよ」
　今度はゼンマイを食べている、こちらも実に美味い。
「こりゃ明日は大変だな」
「二日酔いで」
「そうだろうな」
「僕もかな。研究所に戻るけれど」
「明日の朝はか」
「うん、もうね」
　それこそというのだ。
「二日酔いだよ」
「絶対にそうなってるよな」
「だから明日の朝は起きたら」
「シャワーだよな」
「いや、まずはトレーニングルームで汗かいて」
　そうしてというのだ。
「お風呂に入ってね」
「そうしてお酒抜くのか」
「そうするよ」
「風呂か」
「トレーニングもしてね」
「そうして汗かいてか」
「うん、お酒を抜くんだよ」
　二日酔いのそれをというのだ。