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曇天に哭く修羅

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序章
  解消

 
前書き
_〆(。。) 

 
《黒鋼焔/くろがねほむら》が秋に母親の《黒鋼燐/くろがねりん》と話をしてから冬となり、季節が巡り、春が訪れた。

焔にとっては始まり。


「御世話になります」

「二人居ますが」


黒鋼の屋敷に来たのは少年達。

焔の祖父《黒鋼弥以覇/くろがねやいば》が【邪神大戦】で拳を交わした【永遠/とわ】と【プロヴィデンス】の血を引いている。


「神明とシェイラは元気かのう?」

「はい、お陰様で」

「怖いくらいに」


弥以覇に答えるのは

白銀の髪を持つ《永遠(とわ)レイア》

漆黒の髪を持つ《エンド・プロヴィデンス》

レイアは焔と同い年でエンドは一つ年下。

実の兄弟なのに名字が違うのは二人がそれぞれの家を継ぐことが決まっているから。

焔と同じく幼い頃から修業に励む日々を送っており気迫が伝わってくる。


「来て早速で悪いんだけど、君達の力を見せてもらえるかい?」


焔の父《黒鋼錬/くろがねれん》の言葉に返事をしたレイアとエンドが道場に向かう。

相手をするのは焔だ。

彼女は期待した。

もしかしたら彼等ならあたしを戦いで打ち負かしてくれるかもしれない。

満足させてくれるかもしれないと。

数分後、その答えが焔の前に現れる。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


先ずはエンドとの戦い。

それは一瞬だった。

そして一撃だった。

相手の強さを敏感に(さと)った焔が本能的に全力を出して跳び掛かり拳を撃ち込む。

しかし彼女の拳はエンドの体を()り抜けて空を切り、直後に気を失ってしまう。

その残像を置き去りにした動きは燐と錬がエンドの姿を見失ってしまうほど。

二人がかろうじて捉えたのはエンドが焔の額を人差し指で小突いた所だった。

焔より圧倒的に強い燐と錬よりも更に強い弥以覇ですらもはっきりとは見えなかった。


(儂が【邪神大戦】で戦い命の()り取りをしていた上位存在に匹敵するかもしれんな。神明とシェイラめ、末恐ろしい孫を育ておってからに。天賦の才は一族屈指の我が孫が凡人に見える程だわい)

次に戦ったレイアはもっと判り易い、誰の目にも見て取れる差を見せ付ける。

指一本動かすことも出来ず、まばたきすることも躊躇(ためら)われ、呼吸すら途切れる程の威圧と威嚇で焔を恐怖で震わせながら自らの口で以て降参させて見せたのだ。

敗北は悔しかったが焔はそれ以上に喜ぶ。

やっと常勝が当たり前に繰り返される鬱屈(うっくつ)の日々が終わり、どうやって勝つかという試行錯誤と我武者羅に鍛練する、いや、出来る努力の日々がやって来たのだから。

全く勝てないことが嬉しく、楽しく、喜びに満たされる相手というのは貴重である。

それでいてこの上なく目標に出来る存在でもあることに焔はどんどん二人に熱中して彼女の才能を知る両親が驚く程の早さで飛躍的に強くなっていった。

レイアとエンドが自分達の使う技法を教えたせいでもあるが、この二人も黒鋼流体術をマスターして、焔が追い付かない早さで成長するのでイタチごっこ。


「良かったわね焔。満たされる相手が現れて。闘技者としての孤独が解消されて」
 
 

 
後書き
(-.-) 
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