| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法少⼥リリカルなのは UnlimitedStrikers

作者:kyonsi
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

Duel:23 不正しか無いクジって酷いですよね

――side震離――

 ナカジマ姉妹対奏とはなのペアによる模擬戦を見ながら、データ整理と簡単に残り数日の予定を組み立てつつ、目下の問題である。

「さてさて、今日のお泊りのシフトってどうなるのかなぁ」

 昨日は響や奏、はな達を泊めたけど、今日は誰か来てくれるかな?
 いや、厳しそうだなーって思うのが、中島家やテスタロッサ家からあの人達を動かすのはちょっと抵抗あるんだよね。
 はやてさん()も、今後のイベントをやりたいことの為に動かせないし。
 だとすると普通に響達をどこかに移すのが良いんだろうけど、難しい所だ。
 奏は今いろんなお家に泊めてもらえるけど、響とはなは……いや、ぶっちゃけ響は精神的に厳しいだろうし。
 女の子一年未満だから、ふとしたことで違和感、いやおかしいよって言われたらフォローのしようが無いけどまぁ良いか。
 
 そう言えば王様達がたまには私達も泊まりに来いって言ってたっけなぁ。博士も色々話をしようって言ってたし、今回のことにかこつけて私達のお泊りも良いなぁ。
 
「あんなぁ震離?」

 思考の海に潜っていたら、不意に声を掛けられる。
 それはもちろん。

「どうしましたかはやてさん?」

 データ整理の手を止めて、振り返ってみれば。
 
「今、まだ誰も来てへんから聞くんやけど……そっち側の歴史から見たら、やっぱり私ってまだまだ未熟やんね?」

 自嘲するように笑うはやてさんを見ながら、その言葉の意味を考えて。
 ちょっぴりため息を一つ吐きまして。

「未熟も何も部隊長一年目っていうのは、どのはやてさんも一緒ですから仕方ないですよ」

「……せやけど」

「それに。はやてさんに何か思うところがあったら、私達……あぁ、煌達も含めた皆があそこまで手を貸そうとはしませんでしたよ」

 これは基本的にどこの世界でも変わらないことだと思う。
 そもそも訓練校でもその後の艦でも一緒だった皆がまた揃ったっていうのは、いろんな要因があったとは言え嬉しいものだったし。
 
 そもそもやっぱり。
 
「近い世代ですごく輝く人たちと一緒に何かをやろうとしてたんですよ? そりゃがんばりますよ」

 スパイ行為もぶっちゃけあまりしなかったし、する気もなかったのは私達のせいではやてさん達の経歴に傷をつけたくなかったっていうのもあったし。
 ぶっちゃけやっぱり良い意味で想うところしかなかった。
 
「……けど、私のせいで」

 一瞬その言葉について考えるが、まぁ今なら私のほうが年上だし、良いだろうと考えて。
 
 スタスタとはやてさんの目の前に移動して。その顔に両手を伸ばしまして。
 
「私のー? なんですってー?」

「いひゃいいひゃい!? にゃんでや!?」

 ぐにーっと、頬を引っ張る。
 いやぁ。私がこんな事をする日が来るとは思わなんだ。
 ぱっと手を離してあげれば、自分の両手で両頬を覆って。
 
「痛ったぁ……なにするん震離?」

「将を張れる人がおかしな事を言うもんだからつい。
 大体私のせいって、予言込みでもそこまでわかるわけ無いでしょうよ?」

「せ、せやけど」

 一瞬預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)の件で、ヴァレンさん達から聞いたことを伝えるかなって考えるけれど。
 まぁ、それはそれで犠牲が確実に生まれることを言うことになるからやめておこう。
 
「あの日あの時、どの時間軸でも予言を阻止しようとして、皆動いたけれど……地上本部に関してはどうやっても無理だった。
 それでも大本命を阻止出来たというのはどこも一緒。ゆりかごが月の衛星軌道上に到達したらもうどうしようもなかったんですし」
 
「仮に誰も乗って無くても?」  

「乗って無くても、オートで撃てるように設定されてましたよ。打たれてたら十万単位で人が死んでた可能性もありますしね」

 それくらい圧倒的な人が作った兵器なのがゆりかごっていう艦だし。
 
 ヴァレンさん達もその制作を少し見たことあったらしいけど、そんなもん出さなくても良い世界にしたかったって過去形で言ってたし。
 
 ……だから、平行世界の私達はその身を賭してでもゆりかごを破壊しに行ったんだから。
 今の私達もそれをしようとしてたけど、
 
「……それでも私は、あの時他の手段があったらって今も想うよ」

 ポツリと寂しそうに言う側で、本当のことを告げるかどうか悩むけど。
 
「時間も足りなかったですしね」

 違う世界の私達がついた嘘を続けることを選ぼう。
 
「やっぱり、まだまだやんなぁ……私は」

「不幸と捉えるか、大いなる経験と取るかでこの先は大きく変わるでしょうよ。
 それに似た様な事してる奴が居るんですし、相談するのもありだと思いますよ?」
 
 今小さくなってる響も、一応一番上だった時があったし。

「せやねぇ。元に戻って、帰った時にでもいろいろ相談してみるわ」

「えぇ。それが良いですよ」

 なんやかんやで、手伝い大好きな人だからねぇ。
 ほぼ終わってるし、今言っておこうかな。
 
「……ちなみにはやてさんや?」

「んー?」

「切り捨てて、押し付けてた場合……こんな未来はなかったってことだけお教えしときますね?」

「……これからも肝に銘じとくわ」

 うん、そのほうがお互いのために良いと思いますよ?
 
 
 ――――
 
 
――side流――

 えー……っと。

 あれから皆さんが集まって、改めて帰還予定日を告げましたが。割と皆さんすんなりと受け入れてくれました。
 その後は、残り数日をどう過ごすかと話し合っていましたが……ここでデュエリストの皆さんが集まりまして、ブレイブデュエルをする前にあと数日で帰ることを伝えた結果。
 
「もっと遊びたーい!」「まだ勝ってないっす!」「勝ち逃げずるーい!」 
 
 ブーイングの雨あられ。
 少し前に訪れたヴィヴィオという未来からの来訪者は割と滞在してましたしねぇ……やっぱり短いって言われますよね。
 
「落ち着かんか。まだ説明が残っておろう?」

「そーそー、王様の言う通り。こんなに急って事は理由があるんでしょ?」

「えぇまぁ」

 王様とアリシアさんからの助け舟のお陰で、皆さんもう一度静かになってくれました。
 軽く深呼吸しまして。
 
「これが未来からの逆行だったら良かったんですが、平行世界からの逆行という事もあって難しいんですよ。
 詳細はちょっとだけ省くんですが、各ジェネレーターの調子なども考えて、一番みなさんが来た時の再現が出来るのが4日後というだけで、その日に帰れるかと言えばまだわからないんです」
 
 ……嘘ですけども。しっかりバッチリその日に帰せるよう魔力を貯めてる最中ですしね。
 ただ、問題があって。
 
「……じゃあお見送りは出来ないの?」

 ポツリとなのはの言葉に、皆さんが静かになっている。

「えぇ。一番再現できるタイミングで帰れる時はそうなります」
 
 勝ち逃げとかよりも、ギリギリまで一緒に居たいという気持ちはよく分かる。
 だからこそ。
 
「まぁ、そのため今日のお泊りする人はくじ引きになりますので」

 わーいと皆さん喜んでもらえて何よりです。
 割とイカサマしかされてないくじ引きですけどね! 
 
 ……響さんからは中島家に行きたいと要望あって、フェイトさんは動かないだろうと思ってたら、私達の部屋にお願いって言われてますし。
 動きがないのがギンガさんとスバルさんに、色々準備する八神さん一家ですしね。
 奏さんだけですよ、実質ランダムなのは……って。
 
「あ、奏さんよろしくおねがいしますね!」

「よろしくねーなのはー」

 ……これはなのはの強運なのかな? テスタロッサ姉妹がしょんぼりしてたり、レヴィが引けなくて涙を飲んでるのは見ていて面白い。
 
 で、残りのクジはというと。
 
「よし、これが姉の力だ! こんばんはよろしく頼むぞ響とはな!」

「チンク姉ー! やったッスー!!」

「さすがチンク」

 ウェンディ、ディエチから称賛されて、胸を張るチンク。こんなに喜んでる中で細工してましたって絶対言えないですね。

「で、大学生なフェイトさんは……あ、皆ごめん。私が引いちゃった」

 テヘッと笑う震離さんが最後に引いた結果フェイトさんのお泊りが決定しました。
 
 いやー……なんという不正行事。
 
 ただ、フェイトさんは話を振ってしまった関係でわかるんですが、響さんはどんな意図で行くんでしょうか?
 もしかすると響さんのお母さんの雰囲気の似てるからですかね?
 
 ……一応こちらの世界に居るかな? と思って捜索自体はしてるんですが、今の所見つかっては居ないんですが……それらしき人なら、はやての通っていた大学に近くに居るっぽいんですよね。
 
 確証が無い以上、下手な事は言えないので伏せておきますが。
 
 さて、
 
「では、本日はどう致しましょうか?」

 本日もブレイブデュエルを元気にプレーしましょう!
 
 
――sideフェイト――

 今日の対戦会が終わって、それぞれ分かれて震離達のお家に案内されて、流から話を聞いた瞬間。

「……はぇ!? え、流経由じゃなくて、私経由でバレた?! 嘘ぉ!?」

 一瞬で顔色が青白くなっている辺り、本当に想定外だったんだろう。
 流が事情を説明していると、納得したけど、腑に落ちないらしくずっと唸ってる。
 唸り終わったと思えば、申し訳無さそうに私の方を見て。
 
「……良いんですか? ずっと吐き続けるんですよ?」

 ……ちょっぴり驚いた。
 でも驚くってことは、それだけ私は震離達を知らないんだなって。だからね。
 
「うん。私も響も同意してのことだから。それよりも震離?」

 キョトンとするのが可笑しい。温泉で話したけれど、
 
「もっとたくさん話そう? ね?」

 今までの分を取り戻す位、もっとたくさん話したいんだ。  
 
 

 
後書き
 しばらく、短い投稿になりますがお付き合い頂けると幸いです。

 長いだけの文かもしれませんが、楽しんで頂けたのなら幸いです。ここまでお付き合いいただき、感謝いたします。
 作者のマイページのHPリンクが、ウェブ拍手へと繋がっておりますので、押して頂けるとより一層励みになります。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧