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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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安心感

<ピラミッド>

アルル達の逃亡は短時間で終わった。
何故なら、直ぐに行き止まり追い詰められたからである。
もう既に、体力も魔法力も尽き、戦う気力も尽きかけている状態だが、容赦なく襲い来るモンスター達に向け剣を構えるアルル。
重く閉ざされた石戸を背に、最後まで抗ってみせるつもりだ。

「みんな…私が敵を引き付けるから、隙が出来たらさっきの部屋の更に奥まで逃げて!」
満身創痍…今のアルルがまさにこれだ!いや、アルルだけではない…みんな戦える状態ではないのだ…
「アルルを置いて逃げ帰ったら、リュカさんに殺されちゃうよ!最後までみんなで頑張ろうぜ!」
「ウルフ…」
「そうよ!私達は仲間なのよ。見捨てる事なんて出来ません!」
「ハツキ…」
「元はと言えばウチが招いたピンチや!逃げる訳にはいかんやろ」
「エコナも…」
全員が見つめ合い頷く。

「じゃぁ、行くわよ!!」
「「「おお!!」」」
アルルの掛け声と共に、全員が踏みだそうとした次の瞬間………

(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……………………)
背にした石戸が開き、其処には優しい表情のリュカが立っていた!
「リュ、リュカさん!!」
「やぁ…あれぇ!?やっべぇ…ピンチじゃん!」
そう言いながらも表情は変わらない。

「リュカさん!?来てくれたんですね!リュカさんが来てくれれば、ピンチなんて吹き飛びますよ!」
現金な事にウルフがはしゃぎ出す。
しかしリュカの後ろから大量のモンスターが迫ってきている!
「喜んでいるとこ悪いんだけど、僕も大量のモンスターに追われているんだ!黄金の爪を持って来ちゃったから…テヘ♥」
リュカは肩を竦め笑いながら話す。

「「「……………」」」
「『テヘ♥』じゃねぇー!!そんな物置いてこいよー!!」
ウルフの突っ込みは尤もだ!
ピンチを脱し、更なるピンチに陥ったアルル達…
しかしリュカが側に居るだけで、こんな状況でも生き残る希望が心に灯り、絶望的だった思いが消え去ってしまうのだった!

「リュカさん!この部屋の奥から、新鮮な空気が入って来てます!間違いなく出口が存在しますよ!」
「そうか……では戻るより進んだ方が早いね!目の前の敵を突破するぞ!」
「「「「おお!!!」」」」
リュカの力強い言葉に、皆力が漲る!




<ロマリア>

アルル達はリュカのお陰でピラミッドから脱出し、リュカが用意しておいたキメラの翼でロマリアまで戻ってきた。
ロマリアの宿屋へ着くなり、みんな泥のように眠ってしまった。…リュカ以外…
その間リュカは、自身のルーラをコッソリ使い、アルル達に内緒で一汗かくのだった!


丸一日休み、今回の反省会と称しリュカの部屋に集まるアルル達…
使用した形跡のないベットが気になるも、リュカにお説教を受けている一行…

「………ともかく、今回は運良く助かったけど、僕が現れなかったら死んでたんだよ、みんな!わざわざ罠を発動させるなんて、正気の沙汰とは思えないね!」
「でも…冒険に役立つアイテムが…見つかるかもしれへんやんか!」
「エコナ…じゃぁ聞くけど、役立ちそうなアイテムはあったの?」
「………そ、それは………」
獲得した物は、薬草やキメラの翼…それと小銭を少々と、苦労した割にはショボイ物ばかり。

「この黄金の爪だって、使いこなせる人が居ないじゃないか!売ったって6000ゴールド…大変な思いまでして得るモノはあったのか?」
「「「「…………………」」」」
皆黙る…
「あるわけないよな………まぁいい…魔法の鍵は手に入った事だし、明日ポルトガへ向けて出発だね!」
リュカはお説教を切り上げ、今後の予定を確認する。

「は、はい!魔法の鍵で関所の扉が開けばですけど…」
落ち込みモードから脱してないアルルが、ネガティブ発言を力無くする。
「開かなかったら、ぶっ壊しちゃおうぜ!もうめんどくせーよ!」
「そんな事したらダメですよ!モンスターの行き来を阻害する為に設置されているんですから!」
リュカの無責任な発言に突っ込むアルル…少しだけ元気が出てきた様だ。
「あはははは!じゃぁ開く様に祈らないとね!」
明るく笑い、話を切り上げるリュカ…そして懐から綺麗なリングを3つ取り出し、アルル・ハツキ・ウルフに手渡した。

「リュカさん…これは?」
リングを受け取ったウルフが訪ねる。
「うん。それは『祈りの指輪』と言って、魔法力を回復してくれるらしいんだ」
「それは本当ですか!?」
食い入る様に訪ねるアルル。

「って、言ってたよ」
「誰が!」
思わず突っ込むウルフ。
「え~と…くれた人…」

「くれたって…2500ゴールドって値札が付いてますよ!これ、何処で買ったんですか!?」
指摘するハツキ。
「入手先なんてどうでもいいじゃん」

「ウチにはくれへんの?」
ねだるエコナ。
「エコナは魔法を使えないじゃん!意味無いじゃん!」

「………リュカさん………もしかして昨日はエルフの里に行ってましたか?エルフの女王様が、こんな指輪をしていた様な気がするんですが…」
「………そうだったけ?知らないなぁ………」
アルルの鋭い観察力を見くびっていたリュカ。

「と…ともかく、それがあれば安心でしょ!魔法力が尽きても、回復できるから保険にはなるでしょ!」
「…ありがとうございます。でも、リュカさんが何時も一緒に居てくれる方が、安心なんですけど…」
ハツキが上目遣いでリュカに迫る。
幼い頃からよく知っているウルフですら、ドキッとしてしまう様な仕草で…

「それは断る!僕は常に自由で居たいから…僕の自由意志を阻害する者は敵だ!」
相変わらず我が儘である。
しかし、大好きなリュカからのプレゼントに、心を躍らせる3人。
唯一プレゼントを貰えなかったエコナが、甘えた風にリュカへ迫る。
「なぁリュカはぁ~ん!ウチもリュカはんから、プレゼントほし~い♡」
その大きな胸を押し当てて、リュカを誘惑する。

だがリュカは、そんなエコナを押し離す。
「エコナはダメです。欲張りだからダメです。ピラミッドでは欲張りすぎて、みんなを危険にしたからダメです」
数日間、肉欲に溺れる生活を送っていた為、ちょっとやそっとの色仕掛けでは落ちなくなったリュカ。
《うそ!?あのリュカさんが色仕掛けに動じないなんて!今回の件、相当怒っているのかしら?私もパーティーリーダーとして気を引き締めないと…》
事実を知らない者には、効果てきめんだったろう…



 
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