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銀河酔人伝説

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酔っ払いの裏で

 
前書き
今回は話が短いです。主人公も出てきません。 

 
それは、ハイネセンポリスの一角にある高級ホテル「ホテル・ユーフォニア」の、とある一室で行われた密談から始まった。

「サンフォード議長閣下!今が好機なのです!どうかご決断を!」

「しかしだねフォーク君・・・既に統合作戦本部から出された新たな戦略計画案が国防委員会で採択をされている。
その決定を覆すという事は、憲政の常道に反する行為であり、同盟社会にいらぬ混乱を引き起こす事に繋がりかねない。」

「それでは議長閣下は、この【イゼルローン要塞帝国側出入口に対し威力偵察と小規模攻勢を繰り返すことにより帝国に出血を強いる】などという、妥協的且つ玉虫色の消極的作戦をお認めになるというのですか!?」

「それは・・・」

「既に議長閣下の足元に綻びが生じていることは誰の目にも明らかです。確かにミラクル・ヤン効果が無くなったとはいえ政権の支持率は未だに50%を超えてはいます。
ですが、それはトリューニヒト国防委員長個人に対する人気や、レベロ財務委員長率いる同盟民主党、ホアン人的資源委員長率いる社会改革党に対する支持が殆どです。
事実、先の疑獄事件でクライン情報交通委員長が辞任に追い込まれて以来、自由共和党の政党支持率は3ヶ月前と比べて12.3%も下落している。
後任に有権者の人気が高いウィンザー議員を据えた事で下落自体は止まりましたが、そこから支持率回復には至っていない。
このままでは来年の総選挙で自由共和党は歴史的大敗を喫することになるでしょう。
そして議長閣下はスケープゴートとして全ての責任を取らされることになり、党はヨブ・トリューニヒト国防委員長に奪われることになる・・・議長閣下は本当にそれを認めるのですかな?」

「私だってただ座して死を待つつもりはない・・・だがフォーク君、君が持ってきたこの作戦、仮に【帝国領侵攻作戦】とでもしておこうか。私は軍事に関しては素人だから専門的なことはわからんが・・・本当に成功できるのか?」

「無論です議長閣下!むしろ今だからこそ、実現可能と言えるでしょう!
イゼルローン要塞を奪取し、帝国が混乱している今こそ、帝国に対し大攻勢をかけるチャンスなのです!
この機を逃せば、再建された帝国軍によるイゼルローン要塞奪還作戦が始まるでしょう。イゼルローン要塞は確かに堅牢ですが、帝国軍は我々より数が多い。
もし要塞が奪還されてしまえば我等の苦労は水泡に帰すでしょう!そうなる前に、迅速に帝国領奥深くまで進出し帝国軍を完膚なきまで叩きのめし、我等の軍事的優位性を確固たるものにしなくてはならないのです!」

「なるほど、我々としても帝国領に侵攻すれば帝国憎しで固まる強硬派の支持が得られ、トリューニヒト君に不満を持つ主流派の支持も繋ぎ止められるという事か。」

「まさにその通りです議長閣下!
それにフェザーンからの情報でも、イゼルローン要塞が陥落したことで貴族諸侯と軍首脳部の対立が表面化し、それを収めるべき皇帝は仲裁する能力すら持たないとのことです。」

「・・・よかろう。近いうち最高評議会を招集する。幸い我々はまだ多数派だ。ウィンザー君も賛成してくれるだろうし、簡単可決されるだろう。」

「ありがとうございます議長閣下!」

こうして歴史の歯車が静かに動き出した。



 
 

 
後書き
次は何とか早めに更新したいです。 
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