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リリなのinボクらの太陽サーガ

作者:海底
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初戦のハプニング

 
前書き
今回からしばらくミッドチルダサイドです。 

 
第1管理世界ミッドチルダ
クラナガン北部 スクランブル交差点

唐突だが、世紀末世界におけるチョコバナナの作り方について一つ思うことがある。アイテムボックスの上の欄にチョコレート、下の欄にちからの(バナナ)を置いて、チョコレートを溶かすとチョコバナナが出来るのだが……あれ、皮にチョコついてるよね? 普通に皮を剥いて食べるなら、チョコを付けた意味が無いんじゃないかと、私はある光景を目の当たりにするまでずっと思っていた。そのある光景とは……、

ジャンゴさんがちからの実を皮ごと丸かじりしていた光景である。確かにあれなら皮にチョコつける意味あるわぁ……。いや、確かにバナナの皮は一応食べられるけど、ああやって生で食べるのは驚いた。

「……」

そういうカルチャーショック……? を受けるのは異世界では当然だと思う。国同士でも起こるんだから、次元世界でもそれは顕著だろう。ただ疑問なのは、各世界の起源はどうなっているのか、ということだ。地球だと進化論で猿から人類が誕生したのが一般的だけど、異世界の人類はどうやって人類になるに至ったかが不明なのだ。あ~うん、色々気にしすぎとか、野暮って言いたいのはわかるけど……やっぱり気になるんだよね……。

それはそれとして少し話は変わるけど異世界もの……特に転生ものの小説には一つの共通点があることがわかった。それは、主人公が宗教に入っていないことだ。なぜって、転生ものには高確率で神や女神が出てくるのだが、もし主人公が宗教に入っていたら確実にもめごとが起きるからだ。特にキリ~な人達はね。故にもし彼らを主人公にした場合……、

『〇〇さん。私は神です。あなたを転生させます』

『いやだい、いやだい! こんなのぼくちんの信じてるカミサマじゃないやい! カミを名乗る不届きものめ、ぼくちんが成敗してやるぅ~!』

『コラァ! 人の、じゃなくて神の話を聞けぇ! こんなところで暴れるなぁ!』

なんて感じになるからだ。あと……注、これはイメージです。

「そろそろ現実逃避は終えて、と……はぁ、今いるモンスターはてっきりクレイゴーレムだけだと思ってたのに、あんなのまでいたなんて……」

モンスター退治に出た私達は、そこで遭遇した敵に呆れの気持ちも込めてため息をついた。なお、フーちゃんはミウラちゃんと緑髪の少女……アインハルトちゃんに任せてきた。本人達は困惑していたが……まぁ、大丈夫だろう。フーちゃん、なついてたし。

で、話は今に戻るが、色んな道を塞ぐように留まっている、ぶよぶよしたモンスター……とあるゲームの影響で雑魚扱いされがちだが、実際に戦うと初見殺し同然の強さを持つアイツ。ジャンゴさんも初めて見つけた(ゾクタイ)時、その場から動かないからと迂闊に剣で斬りかかって痛い目を見たことがある敵、スライムさんである。なお、彼は相当実力が上がった後、大丈夫だと油断して徒手空拳のスキル上げで攻撃した所、無駄に大量のダメージを受けたとか。そりゃそうだ、触れたら駄目な相手に素手で挑んだらそうなるわ……。

話を戻すと、今私の目の前にいるのはグリーンで、俗に言う毒持ちである。

「スライムさんは軟体生物の一種で物理防御力がかなり高いから、私の刀やケイオスのレンチメイスでの攻撃はあまりダメージ効率が良くない。遠くから弱点属性のエナジー魔法なり太陽銃なりを使えば割と楽に倒せるけど……」

あまり多様するとエナジーの消耗や体力の疲弊が大きくなる以上、何か使えるものはないかと思って周囲を見渡してみる。この交差点には乗り捨てられた車やトラックは少なく、ちらほらあるってぐらいだった。とはいえ一台でもトラックがあるなら、目的のものはすぐに見つかるはず……。

「あ、あった! これならちょうどいいサイズだし、ブロック代わりにできそう」

「ん? なぜ木箱? 何か材料でも集めたいなら木箱じゃなくて隣のコンテナを回収した方が……」

「いやいや、今は資源がいるわけじゃないよ。むしろ中より外の方が欲しいし」

木箱の中にあった物はひとまずトラックの荷台にそのまま出しておき、空になって軽くなった木箱を背中から体重をかけて荷台の外へ押し出す。ドスンと音を立てて地面に落ちた木箱だが、壊れた個所は無いようで、問題なく使えそうだった。

ここまで来れば大体察せると思うけど……背中で木箱を押してスライムさんを壁に押し出し……、

ぶちょん!

「ん、綺麗に潰れたな」

「スライムさんはこうやって対処したら襲われる危険はほぼ無い。こういうのが適切な対処って奴だよ」

「高レベルならたまに生き残るのがいるが……その時点でLIFEは半分以下になってるし、地面が炭化するほど必殺技や秘奥義を連発するまでもなく倒せるから楽でいい」

「この状況なら慎重過ぎる方がむしろマトモなんだろうね。とにかくこの方法なら一般人だろうと倒せるかも。あ、いっそモンスター対処マニュアルでも作ってみようかな? 内容もモンスターに限らずアンデッドも含めておけば、他の人も対策しやすくなるし」

しかし昨日までいなかったスライムさんが今日になって急に現れたのは、ギジタイによる暗黒物質の雨が原因だろう。手を出さなければ襲ってこない個体がほとんどとはいえ、スライムさんは隙間があればどこにでも入り込める以上、今のミッドはそこら中の道がこのように塞がれているに違いない。安全の確保もそうだが、普通に移動の邪魔になる点でも最低限こいつらを片付けておかないと、この地区は使い物にならない。

「ところでさっきから疑問なのだが、なぜスライムに“さん”付け?」

「……。ちょっと豪華な一軒家サイズの突然変異種が、一度だけサン・ミゲルの近くに現れたことがあってね。ジャンゴさんが討伐に行く際、私も傍で協力したんだけど……ちょっと酷い目にあったんだ……」

「酷い目?」

「……溶けた」

「溶けた?」

「その……服が……」

「……」

「だって、あのスライムの消化能力強かったし、あのままだと体まで溶かされてたし……、き、緊急事態だったから……」

「いや、何も言ってないが?」

「うぅ……」

アレな想像をされる前に弁明したつもりが、自爆した気分だ。

とにかく私自身の服もだが、ジャンゴさんの服を一新したのは実はそういうことがあったからで、修繕も兼ねて私が彼のために新しく作ったのだ。まあ……2年間一緒に住んでた以上、事故で裸を見たり見られたりはあったけど、それはホームでの話で強制野外露出(骨まで)は流石に勘弁だった。

「ふむ、消化能力を抑えれば需要がありそうなスライムだな。培養できたら良い金になりそうだ」

「ドレビン神父、冗談でもそういうのやめて。あんなのが大量発生したら、そこら中で阿鼻叫喚の地獄絵図になるから」

「クックックッ……神の祟りまで受けるつもりは無いからな、弁えよう。だが真面目な話、お嬢さん達は服だけで済んで良かったな」

まあ……本当に体が溶けたらグロテスクまっしぐらだし、確かにその通りだ。というかスライムに負けたら実際にそうなるから、倒されたくない相手ランキングを作ったらトップクラスに躍り出るだろう。

「ん……できればその服は大事に着て欲しいな」

ケイオスが割と良識のある言葉を言ってくれる。今着ているのはエクスシア・ドレスだし、黒は汚れが目立たないとはいえ私だってあまり汚したくない。ま、高級品は高級品で普通の服より頑丈に作られるから、荒事に巻き込まれてもそう簡単に破れはしないだろう。

「まあアレに限らず、スライムの特性に変化が生じているのはやっぱり見過ごせないよね」

「特性に変化?」

「例えば目の前のグリーンは毒持ちだけど、その毒が強化されているんだ。昔はせいぜい視界がモザイクになるような腹痛を引き起こす程度で、生死にかかわるほどではなかった。でも今は即死はせずとも少しの間全身マヒが起こるレベルになってる」

「敵の目の前でマヒ……喰われるの確実じゃん」

「うん、いわば噛み付いた獲物を弱らせ、動けなくなったところを捕食する毒蛇みたくなってるんだ。まあこれは一般人などの毒に耐性が無い人の場合で、ジャンゴさんやマキナ、私みたいに毒耐性がある人なら、多少の誤差はあるけど3秒程度の膝のマヒで済む」

「毒が強いのか弱いのか、判断に困る」

「専門家じゃないから毒の成分に関しては何も言えないけど、グリーンはこんな感じ。それで、元々マヒはパープルの特性だったんだけど、そのパープルは何らかの要因が影響したのか、ガラッと変わった。相手を動けなくする点は同じだけど、マヒじゃなくて石化させるんだ。しかも触れるだけで耐性持ちなら最低でも半日、一般人なら一週間以上石化する」

「石化とは、コカトリスの株奪ってるな……。そういやネメシスにも石化の特性があるし、もしや……」

「多分、パープルはネメシスを内包することで、その特性を獲得したんだと思う。間接的に進化を促進させてしまった一例だね、これ」

「じゃあ他のスライムは?」

「イエロー、レッド、ブラックは昔とそう変わらない。ただ、ブルーはパープルと同じぐらいマズい。迂闊に触れたらそれだけで全身氷漬けにされちゃうから、石化と同様に一人で対処できる範囲を超えてしまっているんだ」

「なるほどなぁ……その上、突然変異種がたまに出るようになった、と。スライムって実はアンデッドよりタチが悪い?」

「うん、新種や突然変異種は一見するだけじゃ特性がわからないから特に厄介なんだよね……。さっき言った奴も触れた皮膚を溶かすレベルだった以上、特性の正体が硫酸や王水だった可能性がある」

「さしずめ動く硫酸トラップか……レーションがいくつあっても足りないな」

「他にもアンモニアだったら倒す倒さないに関係なく異臭で一帯が地獄になるし、そういう劇薬じゃなくても雑菌まみれだったら感染症の心配だってある。誰なの、スライムさんを雑魚モンスターとして扱い始めたの……っと、ごめん、連絡だ」

ひとまずスライムの解説を切り上げ、私は別動隊として動いてもらってるナンバーズの経過報告を受け取る。といっても会話をする訳じゃなくて、単に誰が敵を何体倒したか、どんな敵がいたか、これからどこに向かうかの簡単な内容だけ報告してもらうのである。

『もしも~し、こちらナンバーズ。あなたのクアットロよ~』

「ごめんなさい、現地妻のお誘いの電話は受け付けておりません」

『冗談よ。でも中々面白い返し方ね』

「ただ経過報告だけすればいいのに、変な言い方するからだよ……」

『ま、私ぐらいになれば逆に現地夫の十や二十、今からでも余裕で作れるわよ』

嘘である!

この女、ただ見栄張ってるだけで、実は初心なねんねちゃんなので男のアレを見たことは本でも映像でも一度も無いのである。しかし裸には興味津々なので、シルバーカーテンで見せる幻影がその方向に走っているのだが、女は全裸にできても男は海パン一丁なのは単に彼女の知識不足という理由があるのである。

しかしなぜ彼女がわざわざ背伸びしてこんな真似をしているのか、それは姉妹達の将来を案じてのことである。というのもスカリエッティ含めて保健体育な教育を受けずに育った結果、クアットロだけでなくナンバーズ皆して魅力的なボディなのにねんねちゃんになってしまった。なので貞操観念が割と危ういというか、口が巧い相手にホイホイ言い包められて、簡単に処女を失いそうな気がしてならなかった。故にクアットロは一応教育係としての役目もあり、姉妹達が健全なお付き合いが出来るように、先んじて大人の階段について調べているのである。

健全な生活に性教育は絶対必要なことよ。byクアットロ。

ただし見栄っ張りな性格はいかんともし難いため、なぜか男を手玉に取れる悪女っぽいセリフがよく出てしまい、姉妹達から裏でちょっと心配されていることを本人は知らない。

ちなみにきよひーベルもクアットロの言葉に『嘘を、ついておいでですね』と反応しており、何気に誤作動してませんよという証明を果たしていた。そのおかげでシャロンもこれらの事実に気づき……、

「あ……うん。良い人、見つけられるといいね」

と言うだけに留めた。

『なんか同情的な視線はさておき、そろそろ経過報告するわよ。まずトーレ姉様だけど―――』

クアットロの報告をまとめて、戦果だけ記すなら開始から約1時間の間に、
トーレはクレイゴーレム8体、グリーンスライム0体。
クアットロはクレイゴーレム2体、グリーンスライム12体。
ウェンディはクレイゴーレム5体、グリーンスライム3体。
チンクは治療中で留守番なので、3人だと大体こんな感じであった。流石は戦闘のプロなだけあって、敵を発見するペースが早い。ただ、トーレがスライムの相手をせず、クアットロがまとめて処理しているのは単に相性の問題だろう。なにせクアットロは幻影でクレイゴーレムの転がり方向を誘導してやればスライムをプチプチ潰せるし、大体片付けたらトーレにクレイゴーレムを倒してもらって他の場所に移ればいい。ウェンディはその処理や撃ち漏らしを片付けるサポートをしているのだろう。何気にバランス良いね、あのパーティ。

「報告によると、ナンバーズ達もモンスター排除は順調みたい。あっちも丁度いい鍛錬になってるんじゃないかな」

「ん、ならこっちもペース上げるか。ドレビン神父、あんたはそこで適当に見ていろ。良い目印になる」

「ほう……では、観戦させてもらおう」

近くに転がってたカフェテーブルを立て直し、横にあった椅子も直して優雅に座るドレビン神父。後はコーヒーか紅茶の入ったカップでもあれば絵になるんだろうが、生憎店は営業していない。モンスターを片付けて、店の人が戻ってくれば営業も再開できるかもしれないんだが……って。

「何勝手に店のコーヒーサーバー直してるの、ドレビン神父……。しかもあんな短時間の修理で動くようになってるし……」

「ん、ああ見えてあいつは精密機械の修理も片手間でこなせる奴だ。知識だけならこの世の誰よりも持っていると断言できる」

要は真っ当にやれば専門家顔負けレベルの技術者兼知識人ってことなんだろうが、それならなんで武器商人やってるんだろう……? というか店のコーヒー豆、勝手に使っていいの?

まあ、いっか。他人のことばかり気にしてないで、私ももうひと頑張りしないと色々遅れてしまう。さ、戦闘再開だ。

……とはいえ、実際に戦えばわかるが、クレイゴーレムとスライムの相性はどちらかというと悪い方ではある。例えばクレイゴーレムと自分との間にスライムがいる時、壁叩きなどでクレイゴーレムをおびき寄せるとクレイゴーレムは転がってくるため、動かないスライムはそのまま為すすべなく潰される。そもそもクレイゴーレムの転がり攻撃はうまく誘導できれば、アンデッドを含むあらゆる敵と同士討ちさせることができるのだが、一方で戦うタイミングを間違えるとこの2種類の関係は厄介になる。

敵に見つかってる状態などでクレイゴーレムの転がり攻撃に追われている時、進路上にスライムがいたら挟み撃ちになって避けることができなくなるからだ。まあ、そんな状態に陥っても、避ける方法なら現実的に探せばいくらでもあるが……人間、切羽詰まってる時に冷静な判断はできないものだ。

そんなことを考えながら私は交差点付近で目に入ったスライムとクレイゴーレムを一体ずつ確実、堅実に倒していく。一体ずつなら未熟者でもそれなりに戦えるため、これを幸いに戦いの経験値を稼いでいった。

「これでクレイゴーレム7体、スライム5体か……硬いのと柔らかいのを交互に相手にしてると、力加減が変になりそう……」

なんてぼやくと、カフェから私の姿をずっと見ていたドレビン神父が不敵に笑いながら口をはさんできた。

「フッ……眉目秀麗なお嬢さんが必死こいて戦う姿は見物だが、そろそろ爽快感も欲しいな」

「ハァ~……ドレビン神父、上から目線の評価、どうも……。」

「評価ついでに訊くが、お嬢さんはエンチャントを使わないのか? 月光魔法の一種で、ある程度腕のあるエナジー使いなら多少なりとも使えるのだが、どうなのかね?」

エンチャントかぁ……ジャンゴさんは昔ソル・デ・バイスで効果を増幅させて使ってたようだけど、元々彼はエナジーコントロールが上手い訳じゃない。だからソル・デ・バイスが無い今は使わなくなってるし、サン・ミゲルの他の皆も使わない以上、私はエンチャントを見たことすら無い。だから……

「ごめん。エンチャント、使えない……」

「ふむ? 本来、魔法の系統図からして月光魔法が使えるのなら、エンチャントも使えるはずなのだがな。……では、特別サービスで使い方を教えてやろう」

「え? いいの?」

「エナジー消費量と威力の効率において、エンチャントはバランスが良い。エナジーの消費を可能な限り抑えたい今のお嬢さんが覚えるにはうってつけだ」

「あ、ありがとう……」

「今後ともお嬢さんとは良い協力関係を維持したいのでな。その投資だと思ってもらえれば幸いだ」

そう言ってドレビン神父は隣に立つと、私から民主刀を借りて手本を見せるようにエンチャント・クラウドを発動、刀も含めて全身が紫色に光り出した。

「エンチャントはエナジーを特定の属性に染めるものだ。自らの意思を触媒に、生命力の権化たるエナジーに方向性を与え、属性の息吹をもたらす。故に武器を振るわなければ消費もせずに済む。魔女が使う広域魔法はこれを応用、上位魔法として昇華させたもの故、その一端でも使えるお嬢さんなら使い方さえわかれば後は自由自在に使える」

説明を終えるとドレビン神父はエンチャントを解除し、民主刀を私に返した。気を引き締めてエナジーを纏わせてみると、刀が凄まじい光量で輝きだし、何というか……暴走寸前の回路を見ているような危ない感じがした。

「ん、エナジーを止めろ、シャロン」

急に戻ってきたケイオスに言われ、私もエナジーをいったん止める。すると刀はみるみる内に元の状態に戻ったが……。

「今のを見るに、出力が高すぎる。シャロンはエナジーの保有量が大きいから、細かいコントロールが出来ていないんだ」

「ふむ……高ランクのリンカーコアを持つ魔導師がよくやらかす、魔法使用時に魔力を必要以上に込めて無駄遣いする問題と原理は同じか」

「え、じゃあエンチャントは……」

「今のままでは効率が悪すぎる。故にサポートが必要だ。魔導師のデバイスのようにな」

「でもエナジーは魔力と違うのに、デバイスでサポートできるの?」

「出来る。シャロンと同じくエナジー使いのユーリが技術部長をやっているおかげでな。普段前線に出ない分彼女が開発に専念していた結果、アウターヘブン社にはエナジーに関われる独自の技術が培われた」

「ふむ、力があればとにかく前線に出したがる管理局では決して作れない技術だな。特にこの状況下でエナジー使いを温存出来ない以上、尚更だ」

「ギジタイ封鎖前に久しぶりに行ったレヴィ艦長との通信で聞いた内容によると、もう少しテストを重ねれば一般人でもエナジーを引き出せる技術が開発できるらしい」

「へぇ……それはあらゆる意味で画期的だね」

実際、その技術が確立されれば今の次元世界全土におけるエナジー使い不足の問題を解決できる。いわばペニシリンの発見に勝るとも劣らないレベルともいえる。でも……魔力至上主義に染まっている管理世界や管理局がそれを受け入れるかは別だろう。アンデッドを倒せなくとも、簡単にヒトを倒せる強力な力であることに変わりはないのだから。

一方でエナジーは生命力でもある以上、強弱の違いはあれど生きていれば誰にだってある力だ。つまり引き出し方さえわかれば、誰でもアンデッドと戦えるようになる。ある意味その技術の有無でその世界の命運が左右される訳で、もし使い方を誤れば、それは第二の核兵器となってしまう。

直接攻撃して大勢殺すことが出来るのが核兵器。こっちは既にある物だから、まだわかりやすい。そしてこの場合はというと、生き残る技術を与えないことで大勢殺すことができる。武器を取り上げて為すすべなく死の闇に追いやる、見捨てられた者達に生き残る術はない。エナジー技術には、そういう側面があるのだ。

「ん、生かす相手を選別できるという点の見方を変えれば、声帯虫と同じだな」

「声帯虫?」

「その話は後にしよう。今はモンスター退治、ひいてはエンチャントを安定出力で使えるようにするのが先だ。シャロン、ウーニウェルシタースにはさっき言ったエナジー技術が少し組み込まれている。コントロールのサポートなら今の時点でも可能なんだ」

「この刀がコントロールを?」

「まず、ウーニウェルシタースには地水火風4つの属性を基にしたサポートシステムがある。刀を使わずとも起動さえしておけば、どれか1つのサポートを常時受けられる」

「地水火風……4つのサポートシステム……」

「しかし今はどれも設定がないから、起動しても意味が無い。今回は地属性のサポートシステムをエンチャント専門に調整しよう」

ケイオスが鞘に付いてる端末をポチポチいじると、刀の鞘に文字が浮かんだ。

「設定はできた。あとはモードの名前だが、どうする?」

「じゃあ……ブレードガッシュ」

「了解、以後地属性のサポートシステムの名前はモード・ブレードガッシュだ。そのシステムが動いてる時はエナジーの出力コントロールを補助してくれる他、他の者から属性攻撃を受けた場合、避雷針のようにダメージを受け流してそれを刀に纏わせることができる」

「攻防一体なんだね」

「エンチャントを使うなら、モードと属性だけ選択すればいい。この場合、風の剣を選べばエンチャント・クラウドとほぼ同じ効果を発揮できる」

という訳で、ケイオスに言われるまま早速試してみた。難しいことを考えずとも、エナジーを込めるだけで属性変換が行われ、民主刀を纏うように紫色に輝く刃が形成された。もちろんソル・デ・バイスで増幅はされてないから、弱点属性で攻撃してもダメージは4倍までにはならないだろうが、それでも弱点を突けるようになるのはメリットが大きい。これなら今後も有効に使えるだろう。

そこからは効率が一気にアップした。本気出したケイオスがちょっと目を離していた1分の間に半径5km圏内のクレイゴーレム35体を倒してきた一方で、私はクレイゴーレム3体とグリーンスライム5体を必死こいて戦い、何とか倒した。

『あ、レベルアップしましたね』

え、イクスは私の経験値がわかるの?

『いえ、カンです』

カンかい。
まあ現実にレベルアップ音が鳴ってパワーアップするなんて見れるワケないし、確かにカンでそれっぽく思うのが妥当か。

CALL音。

『シャロン、聞こえるかい?』

「どうしたの、シオン?」

『レーダーでその地区一帯のモンスターの反応が全て消滅したのを確認した。ミッション完了だ』

おお! つまりこの辺りの地区を解放できたって訳で、ちょっとした達成感に満たされた。ミッション完了報告もしてくれるシオンには本当に助かった。

で、とりあえずドレビン神父の所に戻ってくると、早速この辺りで仕事をしたり居を構えたりしていた市民達が瓦礫を片付けるなどの復興作業を始めていた。確かに次の襲撃がいつ来るかわからない以上、一分一秒も無駄には出来ないか。でもさ、来るの早すぎじゃない……?

「ん、お疲れ様シャロン」

「お疲れ様、ケイオス。ミッション完了報告はナンバーズにも届いてるから、私達もちょっと一息してから帰還しよう」

「了解」

市民の復興作業を眺めながら休憩するのってちょっと罪悪感はあるが、まあ、役割が違うのだから気にしなくて良いか。

「二人とも、コーヒーだ。武器商人の淹れたもので良いなら飲むがいい」

「ん、ここの店主はどうしたんだ? まだ戻ってきていないの?」

「戻ってきているぞ、今は店の奥で在庫や機材をまとめているのでな。曰く、この有り様では当分この店は使えない、だからシェルターで経営させてほしいとのことだ」

「シェルターで経営? 食堂でコーヒーを提供するつもりなのか?」

「シオンの許可が下りれば別にいいんじゃないかな? 皆も水だけじゃ飽きるだろうし、コーヒーなどの嗜好品を提供してくれるのは兵士達のストレス緩和に繋がる。そもそもアウターヘブン社は公共機関じゃない、PMCだ。しかもここは支部だしミッドが隔離されている今、避難民とはいえ、何もしない人にいつまでも食事を提供できる余裕は無い。何かしらの提供が無いと長期的に考えたら到底やっていけないもの」

なんてことを言うと、いきなり通信越しにシオンの声が聞こえてきた。

『話は聞かせてもらった!』

「おおぅ!? き、聞いてたのね、シオン……」

『知っている、シオンさんは何でも知っている』

「いや怖いよ……」

『冗談はともかく、シャロン。通信が終わったら切っておくべきだよ。無線が繋がりっぱなしだと、傍受される危険があるからね』

「繋がりっぱなし……あ!」

さっきのCALLの後、無線を切ってなかったのか。でも……まだ使い慣れていないんだからしょうがないよね……。

『次からは気を付けてもらうとして、許可の話だけど……シャロンが決めていいよ』

「え、私が決めていいの?」

『スペースの問題もあるからミッド中の店の要望を聞くことはできないけど、多少なら問題ないからね。その辺りの塩梅も含めて任せるよ』

「そんな簡単に決めていいのかな……? というかシオン、考える役目はほとんど私に押し付けてる?」

『あっはっはっはっ!』

「お~い? 笑ってないで返答して~」

『ま、シャロンはケイオスと違ってちゃんと考えてくれてるからね。大丈夫だって信用してるんだよ』

「そう言われた所で、私は簡単に調子乗ったりしないよ?」

『でも真面目な話、この極限の状況で何もしない人というのは一種の負債でもある。子供だろうとそれは同じだ。だから彼らに有用性を与える方法や手段は早めに用意した方が良いよ』

「つまり子供達にも何らかの仕事を与えた方が良いってこと?」

『勉学に専念したい子は勉学させても構わないけど、今は生き残るために何でも利用するつもりでいた方が良い。知識なんて後でいくらでも身に着けられる。でも命は一度失ったらもう取り返せない。今たくさん勉強しても、死んだら終わりなのだからね』

「……わかった、シオンの言うことは私だって考えたし、今は仕方ないと受け入れるよ。でもね、子供達を働かせるなら、いくつかルールを設けたい。一つ、戦闘には出さない。まあ鍛えることは別に止めないけど、徴兵は流石にダメだ。一つ、重労働や残業はさせない。せいぜい大人の手伝い程度で済ませること。一つ、賃金はアルバイトと同等に支払うこと。他にも細かく決めるべきだろうけど、基本はこんな所かな」

『了解した。孤児達もその辺りの教育はしているし、社会の仕組みを学ぶ点でも妥当だろう』

「ただ、最初は試験的に何人かやってからの方が良いかもしれない。だっていきなり全員にやらせて全部がうまくいくなんて、絶対あり得ない。大量に問題が起きて手に余るのは目に見えるし、大人達だって雇う金は無尽蔵に無いんだから、ホイホイと簡単に受け入れることはできないと思う。だから最初は……うん、こうしよう」

そこから私は機材をまとめて店の奥から出てきた店長を交えて、ある話を決めた。それは……シェルターでカフェを経営するなら、子供達を何人か雇うこと。なおこれは初期試験でもあるので、賃金の半分はアウターヘブン社が負担する形にした。
初老の店長は最初は難し気な顔を浮かべ、何も無理に子供を雇う必要は無いんじゃないか、避難民を雇うなら大人でいいんじゃないか、などと疑問を抱いた。まあ平時はその通りなんだけど、経験的に子供より大人の方が危機察知能力は高い。つまり瓦礫撤去などの時にどう動けば邪魔にならないか、などの点を考えると復興作業の現場には大人が行くべきだ。そして子供達には水やコーヒーなどを休憩所まで配膳させる。そういう役割分担をするつもりだと伝えると、そういうことなら……と納得してもらい、シェルターへ向かった。

「ん、要は子供達によるデリバリーサービスって訳か」

「昔サバタさんと一緒にアメリカで保護されてた時、夏季休暇で子供達がレモネードを露店販売してたのを見て、それを参考にしてみた。私は……もう未来を不安視するだけじゃ駄目だと思ってる。そんなに今後の成り行きが不安なら、少しでもいいから自分で何かを変えようとしないと、結局は流されるだけの生き方になる。今までの私が……そうだったんだから」

「ふむ、中々に興味深い話だ。ところで棚上げしていた話だが、声帯虫の話は聞かないのかね?」

「あぁ、そういや後でってことにしてたね。それで声帯虫って何なの?」

するとドレビン神父は懐から表面に『声帯虫』とメモ書きされたディスクを私に譲り渡してきた。ただ渡す際、テーブルの上をシュッと滑らせてきたのが、まるでスパイ映画のようで少しカッコイイと思った。

「時間がある時に聞くがいい。これから、その余裕が無くなりそうだからな」

「これから? ……っ!?」

ドレビン神父の視線の先、交差点の向こうに見えたのは……大量のマスコミだった。

「こんにちは! ミッドチルダセントラル放送局です! 今回は話題の月詠幻歌の歌姫に突撃インタビューを―――」

「週刊インテリーズです! 彗星の如く現れた歌姫の正体に迫りたく―――」

「MMM新聞の者です。管理局とイモータルの間で行われた管理世界の譲渡について、何かコメントを―――」

イナゴの群れ同然に押し寄せる人とカメラ、質問とマイク。それは……私の記憶に残る悪夢を蘇らせてきた。あまりの威圧に言葉どころか呼吸すら滞り、座っているのに手も足も震えだし、頭の中もぐしゃぐしゃで視界がまともに見えなくなってきた……。

「モンスター退治をなさっていたようですが、それなら実力のほどは? ランクで言うならどの辺りですか?」

「やはり気になるのが趣味や嗜好なのですが、一体どのようなものがお好みで? 好きな異性のタイプはありますか?」

「4年前のファーヴニル事変で歌ってから姿を消し、今再び姿を現したのはどのような理由があったのですか?」

「あ……あ……」

「あなたの力があれば窮地に陥ったこの世界を救えるとのことですが、それは本当なのですか?」

「これまでの犠牲者達に何か労いの言葉をいただけませんか?」

「なぜこのタイミングでやって来たのでしょうか? 不躾ですが、もっと早く来れたのではありませんか?」

「人を救う力があるなら、救えなかった人達に対して申し訳ないと思わないのですか?」

まるで市民代表と言わんばかりの質問に、自分達の理想像らしい言葉を求める内容、関係ない責任で雁字搦めにしようとする作意。視界が……闇に染まる。

「いい加減にしろ。これ以上シャロンを苦しめるなら……潰すぞ」

「悪魔とも噂されるケイオスさんが歌姫のボディーガードをしているのもスクープですが、我々には報道の義務があります。力づくで邪魔すれば立場が悪くなるのはそちらですよ」

「それが? 印象が悪くなろうが、あんたらを消した方がシャロンのためになるなら俺は実行するぞ」

基本的に後の事はあまり考えないケイオスが、マスコミに対して実力行使をしようとする。そこに待ったをかけたのは、ドレビン神父だった。

「ケイオス、ここは私の出番だ。お前はお嬢さんを支えてやれ」

「……」

立ち上がり、マスコミからかばうよう前にずいっと出るドレビン神父。一応彼の存在はマスコミも知っているが詳しい情報は無いらしく、気迫負けしたかのように一歩後ずさりした。

「さて……報道の義務だと抜かした奴がいたが、では私もその義務を利用してやろう。貴様達を取材してやる」

愉悦顔を浮かべたドレビン神父はマスコミの一人を指さす。

「まずは貴様だ。そう、そこの貴様だ。貴様の名前はゴ・マスリ。ミッドチルダセントラル放送局勤務12年の38歳、独身」

「!?」

「貴様の仕事は記事の捏造が主だ。会社は管理局との癒着が強く、貴様も甘い蜜を味わいながら記事に管理局の好みそうな内容ばかり記載する。そんな貴様の趣味は……女性DSAA選手の盗撮か」

「な、何を根拠に……!」

「しらばっくれるのは別に構わないが、それならデータが全て破棄されても、貴様の知ったことではないな。デスクの左下にある小ロッカー、背面にテープで付けた封筒の中のデータチップが割れても、貴様には何の関係も無いのだろう?」

「あ、あぁああああああああああ!??!!?!?」

「なぜ悲鳴を上げるのかね? 私は貴様の趣味の話をしただけだ、いささか低俗だと思うがな。おっと次にそこの貴様、関係ないフリをしている貴様だ。貴様の名前はビンジョ・ウテン。MMM新聞勤務8年、29歳所帯持ち」

「ま、待ってくれ……!」

「貴様は彼の盗撮写真を利用して、相手をゆすって多額の金をむしり取ったり、ドーピングしているなどの偽記事を作ると脅して自分の言いなりにしたりしている。そんなことをしていると妻子に知られたら、破綻確実だな」

「やめろぉ! やめてくれぇ!!」

「怯えることは無い、私は貴様達を取材しているだけだ。本人の望まぬことまで根掘り葉掘り聞いて、面白半分に情報を拡散するのが貴様達の取材なのだろう? それを素人が真似しているに過ぎん」

え~っと、真似ってレベルを超えてる気がするけど……ま、いっか。相手もヤバいことやってるし、因果応報って奴だ。

「貴様はバッカス・ギール。取材相手に四六時中張り付き、精神疾患を与えたことがあるな。しかも記事の内容は相手に悪辣な印象を与えるよう誘導している。法律上では見逃されているが、相手の親族からは激しい恨みを買っていることを貴様が知らないはずはあるまい。その親族に居場所を知らせたらどうなるか、試してみるかね?」

「ふ、ふざけるな! そ、そんなことをするならこっちにも考えが……」

「その上、一応仕事しているくせにまだ親の脛をかじり、その金で風俗行ってるな。やれやれ、これを親御さんに知らせたら面白いことになりそうだ」

「勘弁してくれ!? あ、いや、やめてくださいお願いします!」

「クックックッ……読者に読まれるためなら、取材相手の都合なぞ知る由も無いのだろう? 一方的に個人情報を握られる恐怖を知るがいい」

そこからはマスコミ一人一人に対し、個人情報をバラしていくという凄まじい光景が見られた。それもただの個人情報ではなく、本人が隠していたことやネットでの煽り文、致命的な事実に至るまで、ぶっちゃけ今後の人生において一生悪評が付きまとうレベルだった。
これ以上いると自分達が破滅すると理解したマスコミは、悲鳴を上げて一斉に逃げ出した。ただ、それは自分達が報復されるに値することをしていると、周囲に知らしめるも同然だった。現に復興作業に当たっていた人達は冷ややかな目を去っていく彼らに向けていた。

「ふむ、まだ語り足りないがこんな所だろう」

「ドレビン、今回の取材を記事にするのか?」

「しても良いが、アレらと同じ穴の狢になるのは御免だ」

「そ。ま、いいけど」

「フゥ、連中の目的はお嬢さんだ。どうあれ彼女を守るなら、そのために行った行為は少なからず彼女の評判に影響を与える。望もうと、望まずともな。そして、被害者という立場は砂上の楼閣以上に脆いものだ。どれだけ正当な理由があろうと、ほんの少しでも他者に害を為してしまえば、被害者は瞬く間に加害者へと変貌する。先程、お前は力づくで連中を排除しようとしたが、それは彼女の評判を悪化させる可能性があったのだよ」

「要は殺傷したら英雄度が下がるようなものか」

「お前は情報戦が不得意だということは、誰よりも私が知っている。超常の力があろうと、自分ではどうにもならない時もある。その時は頼れ」

「ん……理屈はわかったけど、あんたに頼ったら金ぼったくられるに決まってるじゃん。確かに情報の正確さは折り紙付きだがな……」

「私の得意分野だからな、お前にとっての戦闘力と同じく。あぁ、得意分野と言えばゴエティアは応用力や器用方面に特化していたが、カナンとなった今はどうなのだろうな?」

「一度戦ったけどアイツ、新しい武器を複数同時に使いこなしていた。元の体じゃないからスペックそのものは低下したが、器用な所は相変わらずだった。しかし新しい体でギア・バーラーの力を発揮できたということは……あいつ、“マンイーター”になったのか?」

「外的要因による強制的なものだが、十中八九そうだろう。ギア・バーラーの持つ特性の中でも最も特殊な能力、マンイーター。ユニゾンデバイスと同じく、そして異なる理論でヒトと融合する能力。実行したのは彼女が初めてになるな」

「となると、一つの疑問が浮かぶ。今、彼女は“どっち”だ?」

「さて、な。真相のほどは本人に聞くしかあるまい」

「そこまで興味ない。所詮は他人だし、今は敵だ。敵は全て殺すし、殺した相手の意思をわざわざ調べる気にもならない。ああ、調べるといえばあんた最近どこぞの執務官をカモにしてるって聞いたが、本当?」

「クックックッ……カモとは人聞き悪い。私は払った金に応じて、必要な情報を与えているだけだ」

「物は言いようだな……。でもま、野次馬どもから助けてもらったのは事実か。その点は感謝する」

「素直に感謝が言えるようになっただけ、お前も変わったな。まあいい、用事も済んだ以上、私も戻るとしよう」

そう言ってクールに去るドレビン神父に、何とか精神を持ち直した私は「ありがとうございました」とその背中に告げる。彼は無言で右手を上げ、感謝の気持ちを受けとったことを示した。

「もう体調も落ち着いたし……帰ろう」

「ん、了解した」

CALL音。

息を整えて立ち上がったその時、シオンから通信が入った。

『シャロン、緊急報告だ。聖王教会に向けて北のイモータル・ダンジョン……元アレクトロ社研究施設から敵が進軍しつつある。ニーズホッグの端末兵器を中心に迫るその数100。いつもより断然少ないが、今の状況では十分過ぎる脅威だ。そして先頭を通常の魔導師の3倍の速さで接近しているのは……高町なのはだ』

「ッ……確かなの?」

『既にレーダーが彼女の姿を捕らえている。単身突っ走っている理由は不明だが、彼女だけなら到着までおよそ20分だろう。敵軍は1時間後になるがね。更にもう一つ気になることがある。つい5分前に観測されたのだが、クラナガン上空8千フィート付近で巨大な……生命反応はあるけど、位相が安定していない存在が飛び回っている』

「位相が安定していない? ちょっと意味がわからないんだけど」

『こっちも情報が足りないが、判明していることは伝えておく。コイツはテレシアと呼ばれるモンスターで、こちらからの攻撃は全て無効化される上、触れたら体を塩に変える理不尽な能力を持っている。対処法や治療法などはまだ見つかっていないから、決して戦ってはならない。もし遭遇したらすぐに逃げるんだ』

「要は硫酸や王水のスライムさんのドラゴンサイズって感じかな。理解できたよ」

『それはそれとして今日の襲撃に来た敵について対処を決めて欲しい』

「待って。そもそもの話、なぜ高町なのはが聖王教会に向かっているの?」

『それはフェイト・テスタロッサ執務官がフレスベルグを封印した棺桶を持ち込んだからだろう。高町なのはがイモータル側になった以上、少なからずあの怪鳥の回収を目論んでいるに違いない』

「イモータルはパイルドライバーで浄化しない限り、いずれ復活する。暗黒物質の大量吸収でも回復を促進されると考えると、回収されればせっかく倒した敵のボスが復活することになる。でもフェイト・テスタロッサは管理局のエナジー使いで、サバタさんの……」

『おや、シャロンは彼女のことを知ってたのかい?』

「名前だけはね。とにかくその人、撃墜して怪我を負った状態だから高町なのはと交戦した場合、逃げに徹すれば時間稼ぎはできるだろうけど、勝てる見込みはほぼ無いと言っていい。でも……見方を変えれば、放っておいても十分戦える人でもあるんだよなぁ。それも戦闘経験豊富で、かつ強力な魔導師、エナジーも使えて万能という……何この上位互換系人間」

『(でも彼女、最近食事もおぼつかないレベルで大変みたいだけどね)あ~とにかく今敵はまとまってるから、先制攻撃すれば壊滅的なダメージを与えられるよ。その一方で今のイモータル・ダンジョンはもぬけの殻同然。敵軍を迂回していけば大した被害も無く潜入できるだろう』

「待って。北のイモータル・ダンジョンって確か、本土から離れた島にあるんだよね。船も無いのに、どうやって海を渡るの?」

それにもし船があったとしても、使うのは勘弁したい。だって酔うし……。

『それは心配ない。かなり古いが、本土から直接行ける道がある』

端末を通じて展開されたマップによると、どうやら地下水路を経由していくようだ。このルートは元々、水の供給だけでなく島が孤立した時のための緊急避難路でもあるのだろう。しかし島に貯水タンクなどを作らずに本土から送る形にしているということは、他の島にも同じものが……?

ただ、ここは同時に敵の防衛陣地だ。日の光がまともに届かない以上、襲撃で生き残ったアンデッドはそこに隠れているに違いない。さて、ミッションアップデートだ。どうする?

1:敵の本隊へ先制攻撃する。
2:聖王教会で高町なのはと敵軍をまとめて迎撃する。
3:地下水路を高速で走り抜け、北のイモータル・ダンジョンを攻略する。
4:シェルターに引きこもる。

あ~うん、4について考えたのは、私は今の所自分の命にかえてまで戦う理由は無いからだ。生き残るために足掻きはするが、時には諦めも肝心だと思っている。

それはさておき、1の先制攻撃は……普通に考えて有効な手だとは思う。敵兵器がこれまで通りの性能ならば、の話だが。気がかりなのは、敵の数が異様に少ないことだ。どうも嫌な予感というか……アレだ、だまして悪いが臭がするんだ。以前、イクスが私の嫌な予感には従った方が良いと言ってたし、先制攻撃は止めておこう。

2についてだが、そもそも高町なのはとユーノ・スクライアは、ポリドリのサイコキネシスから逃げられず確保されたと思っていた。だが今こうして彼女が敵側で現れた以上、向こうは囚われたんじゃなくて結託したと見るべきだ。ならば今、ユーノはどこにいる? とにかく彼という伏兵の可能性がある以上、正面切って戦えば後ろからチェーンバインドで縛られそうだ。

それに高町なのはもあの状態からどうやって回復したのだろう。もしあの影の力をうまく使えるようになったとしたら、能力の解明をしてから挑んだ方がリスクは少ない。要するに、今はその時ではない、と言った所か。

もちろんフレスベルグの復活も気にはなるが……いたずらに疲弊したら後の行動が出来なくなる。それに最悪の場合、3体の化け物を同時に相手にすることになる。確かにグールなどが攻め込んできた時の対策はしたが、棺桶の奪還阻止対策はしていない……というか知らなかった以上、今回は奪われても仕方ないのだ。

しかし3の選択肢……拠点の守りが薄くなっている点は素直に利用できそう。上手くいけば連中は戻る場所を失い、回復も復活も出来なくなる。そうなれば連中はフレスベルグの奪還どころではなくなる。一応、他のイモータル・ダンジョンに戻るだけってことも考えたが、なにぶん距離があるから救出対象を運ぶにはリスクが高すぎる。敵を倒せずとも、撤退を誘発させることは出来るはずだ。もちろん、敵の拠点に攻め込むのだから危険も多いが、今が一番リスクが少ないタイミングだ。行けると見た時は行こう。

……よし、今回の敵は聖王教会に押し付けよう。負傷中とはいえエナジー使いもいる事だし、聖王教会にもそれなりの戦力はあるんだから、ある程度は自力で何とかするはずだ。それに契約も解除されたのだから、共同して防衛する責任はもう無くなっている。大体、エナジー使いじゃない人を対アンデッド戦に送った所で、無駄死にする可能性の方が高いのだから、そんな戦場にアウターヘブン社の兵士達を送りたくない。今は他よりシェルターを守ることに専念してもらいたい。

一方で管理局の動きが見えないのが不安だが、今この状況で邪魔してくるのはただの自殺行為だ。それにレーダーの性能もこっちが上なんだし、思想が合わないのなら無理して協力する必要は無いと思う。

また、シオンの様子からして、管理局には襲撃のことを伝えていない。しかし考えてみれば当然だ。契約が切れた以上、伝える義務が無い。連絡が無くて後手に回るのも、結局は管理局の自己責任だ。

え? 向こうから契約を切ったのに、情報の要請が来たら? それって自己中というか、厚顔無恥にも程があるというか……馬鹿丸出しだと思う。

「よし、決めた。私とケイオスは敵防衛陣地―――地下水路を突破し、元アレクトロ社研究施設に向かう。ナンバーズは遊撃隊として敵軍到着後、倒さなくて良いからとにかくかく乱して時間稼ぎしてほしい。もちろん負傷した時などはすぐにシェルターに帰ってもらうけど、タイミングは本人に任せる。シェルターは障壁(ゲート)内側に防衛部隊を展開、聖王教会方向を中心に警戒してもらうけど、管理局の動きにも注意すること」

「ん、了解。高町なのはを倒すのはまた今度だ」

『了解。市民の避難確認次第、障壁(ゲート)を展開する』

さて……ここからは時間との勝負だ。全力で走るよ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


聖王教会 中央広場

時は少し戻って13時。シャッハが問答無用でアウターヘブン社に訪問しようとしたのをカリムと必死に止めて、何とか彼女が落ち着きを取り戻した後、私はカリムの計らいで一室を借りて休息を取っていた。と言っても疲れがたまって不眠症になったのか、上手く睡眠が取れなかった。今の私は“外が真っ暗”でも睡眠が促進しないほど酷いらしい。

「ふわぁ……バルディッシュ、今何時?」

『16時15分です、サー』

「そう……。はぁ……体が重い……」

『バイタルチェックでも疲れが全然取れていませんね。大丈夫ですか?』

「全く大丈夫じゃないけど……それでも動くしかない」

意識がボーっとして頭がズキズキ痛むのを耐えながら立ち上がり、体をほぐしつつ持ってきた水筒の水を飲んで喉の渇きをいやす。

「ねぇ、バルディッシュ。なんか……静かすぎない?」

私が寝てるのに気遣われてるのかと思ったが、庭や広場で行われる騎士達の訓練の声まで聞こえないのはおかしい。騎士達も休息を取っている? いや、この状況じゃやることは山ほどある。確かに休憩を取る人は少なからずいるだろうが、交代で別の人が動く以上、誰かの声や作業の音が無くなることはありえない。
なら、皆でどこかに出払っている? だとしたら私にメッセージなりメモ書きなりを渡してから行くはずだ。じゃあどうして……? ……あれ?

「ごめんバルディッシュ、もう一度現在時刻を教えて」

『16時17分です』

「つまり今は夕方だよね。なのに“外が真っ暗”ってことは……まさかッ!!!」

異変に気付いた瞬間、窓が割れて黒い影の手のような形状の何かが入ってきた。一目見ただけでわかるそのおぞましい寒気から、アレはマズいと直感した私は急ぎ扉から脱出する。

「ッ!? な、なに……これ!?」

そこで見たのは……黒い影に浸食、いや……“捕食”される騎士、シスター達の姿だった。まるでスナック菓子のようにバリボリと、熱湯に入れた氷が溶けていくようにズルズルと、彼らの全身が闇に……影に消えていく。助けを求めようにも、声を上げようにも、彼らは口を含めた顔全体を影の手で覆われており、五感の全てを奪われていたのだ。あれじゃあ、もう手遅れだ……。

だというのに私は本能的に左手にザンバーを展開して、彼らを捕まえている影の手を斬った。目の前で助けを求めている人を助ける。管理局員として……否、人としての本能が私の体を勝手に動かしたのだ。

だが、何度斬っても影の手はまるで何事もなかったようにすぐ再生してしまう。空気に攻撃しても意味が無いように、影もまたこちらの嘲笑うかのように、私の目の前で一人、また一人と闇に溶かしていった。

そして彼らを捕食していた影の手は……ついに私をターゲットにしてきた。

「ッ、ミッド式ゼロシフト!!」

いくらスピードがあろうと、雨の中を潜り抜けられはしない。この状況は高速飛行魔法では逃げきれない。サバタお兄ちゃんのおかげで編み出したゼロシフトの無敵時間を利用して、何とか回避していくしかない!

走れ……! 走れ……! 影に捕まって、もう助けられない騎士やシスターの、涙やくぐもった悲鳴に足を取られるな……! 私の力では、彼らを助けられないのだから……!

「あぁああああ!! バルディィイイイイッッッシュ!」

怒りと悔しさの雄叫びを上げながらザンバーに魔力を込めて一時的に巨大化、廊下の先にあったステンドグラスを走りながら貫く。右手は確かに骨折しているが、それがどうした。片手でもガラスぐらい吹き飛ばせる!

ガッシャアアアアアアンッ!!!

影の牢獄を超えた私と共に、砕け散る色とりどりのガラスが夕日に照らされて地に落ちる。そして、黒い影に覆われた聖王教会の屋根に腰を下ろしている下手人に、左手で剣を向ける。

戦場に言い訳は通用しない以上、襲撃に慣れたせいかもしれないが、もはや奇襲そのものに文句などありはしない。ありはしないが……それでも思うことはある。

「やっぱり生き残ったね。流石はエターナルブレイズ」

「ふざけないで! なのは……あなた、そこまで堕ちたの!?」

「ふふふ……何を勘違いしているの? こんなことをするまでも無く、この身は初めから闇に堕ちている。暗黒物質があろうと無かろうと、ね」

「初めから……? いや、そんなことは関係ない。あなたはついに一線を越えた。超えてしまった!」

私の怒りをよそになのはは腰を上げ、ゆっくりと浮遊しながら地上へ降りてくる。今の彼女の装備はというと、元々のバリアジャケットを藍色中心にし、スカート部にいくつか切れ込みを入れて動きやすいよう大胆にリデザインしたような服、右には刀(共和刀)、左には肩まで覆う黒い籠手があった。何というか……ファンタジーな騎士にサムライ要素を加えたような感じだ。

「いいでしょ? 今ここで聖王教会の騎士達を食べて作り上げた、闇のバリアジャケット。これで……私は無敵だよ」

「無敵とは、思い上がりも甚だしいですね……!」

突如、地面からシスターシャッハが飛び出し、なのはへ怒りがこもった巨大トンファーを彼女の顔面にぶつける。剣なのか鈍器なのかよくわからない彼女のデバイスのトンファーだが、シャッハの攻撃力が凄まじいのは事実で、あれなら大岩の一つや二つは何の抵抗も無く砕けるに違いない。

だが……、

「フフフ……」

「なっ……!?」

殴られたはずのなのははその場から動くどころか、顔も微動だにせず、その上痣の一つもなく、ただただ不気味な笑みを浮かべていた。まるで何のダメージにもならなかったように、ゆっくりとシャッハのトンファーをどかす。

「シスターシャッハは相当強い武闘派だって聞いてたけど、え? まさかこれで攻撃したつもりなの?」

「た……高町なのは。あなた、まさか……!」

「あ~あ、つまんないの~。でもこれじゃあなたの面目が立たないでしょ? 私に食べられて死んだ騎士達の無念も晴らしたいんでしょ? だからほら、思う存分攻撃してみなよ。何度かやれば一撃ぐらいは通るかもしれないよ~?」

「ッ……いいでしょう。普段はやりませんが、あえてその挑発に乗ってやりましょう。聖王教会の騎士を……なめないでください!」

そこから始まるシャッハの連続波状攻撃。なぜか何の抵抗もしないなのはに対して、シャッハはマシンガンの如くひたすら殴打、殴打殴打、殴打殴打殴打。生身の人間どころか、防御特化の魔導師でも……ううん、知り合いの中ではトップクラスの防御力を誇るザフィーラでもあの攻撃を受ければ確実に気絶、あるいは頭蓋骨陥没か骨折レベルのダメージ間違いなしだろう。

なのに……、

「ふ~、いやいや待って待って、コレ弱すぎない?」

「ば、バカな……! あれだけ喰らって、何のダメージもない……!?」

埃でも払うように胸元を払うなのはに対し、シャッハは今までの攻撃が……鍛錬の成果が全く通じないという現実に、酷く打ちのめされていた。だって……生真面目をそのまま体現したような彼女が、正しい信念のもとで培った強さは決して負けないと普段から態度で示していた彼女が……真っ青に後ずさりして、震えていたのだから。

それにしても何だ、あの異常な防御力は。なのはは闇のバリアジャケットと言っていたが、まさかその性質はアンデッドと同じ……エナジー使い以外の攻撃の無効化……!

「フフフ……フフフフフ……」

「ッ……!」

真相に気付いた私がシャッハに撤退を伝えようとしたのを察したのか、ちらりとこちらを向いたなのはの赤い目が一瞬だけ光り、右手の刀に左手も携えた彼女は……

斬撃モード!

斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬!!!
ズバズバズバズバズバズバズバズバズババッサリ!!!

「ぐあぁあああああああああああああああああぁぁああああ!!!!!?!?!??!」

「シスターシャッハ!?」

万全の状態の私でも防ぐのは厳しい高速の斬撃を浴び、シャッハの肉体は宙に吹っ飛ぶ。血しぶきが周囲に飛び散り、真っ赤な池を生み出していく彼女へ向かってなのははジャンプすると……、

「斬奪ッ!!!」

シャッハの胸部へ左手を突き出し、彼女のリンカーコアを抜き出してしまった。くるくると回転しながら着地したなのはは左手でリンカーコアを握り潰し、体内に吸収してしまう。あれはラタトスクがクロノに行った技と、ほぼ同じだった……。

「ごちそうさま」

ドシャッ。

崩れ落ちるシャッハに背を向け、なのはは……いや、リトルクイーンはペロリと左手の指についた血をなめた。その姿はまさしくヴァンパイア……人類種の天敵たるイモータルだった。

「……」

「さて……次はあなただよ、フェイト・テスタロッサ」

「……。バルディッシュ、カートリッジロード……!」

もう……今の彼女と言葉を交える意味は無い。私達の知っているなのはが目覚めず、リトルクイーンとして人類の敵となるなら、私は……!

「友として……あなたを討つ! エターナルブレイズ、フェイト・テスタロッサ、参る!!」

「そっちが名乗るならこっちもやろうかな。エターナルエース、高町なのは、参る!!」

直後、闇に堕ちた紫と、光に染まる金色が交差した。遠く、北の方から哀しい狼(クライング・ウルフ)の遠吠えが響き渡るのが、まるで故人達がこの戦いに抱く悲哀を表しているようだった。

 
 

 
後書き
スライムさん:設定次第でエロにもグロにも……バイオにも走れるモンスター。無敵にして追跡者みたく追いかけてくるようにすれば、中々ホラーにできます。なお、シャロンも世紀末世界でそれなりの修羅場を味わってるので、ある種の肝は据わってます。
ブレードガッシュ:ゼノギアスより。ここではエンチャントの役割を担わせました。
マンイーター:ゼノブレイド2より。
上空のテレシア:飛び回る姿はゼノブレイドクロス 終焉のテレシアをイメージ。ただ、クロスのオーバードのデカさは異常。
影の手:食べます、食べます。
リトルクイーン:影の牢獄による捕食と斬奪によって回復可能。なのはの魔法、斬撃モード、斬奪使用可。闇のバリアジャケット、効果はエナジー無しの攻撃の全無効化。
シャッハ:相性が悪すぎて斬奪されました。
フェイト:シャロンなら退くであろうここで退けないのが彼女達。
クライング・ウルフ:北の地で起こる戦いを示唆。

マ「連投だよ、全員は来なくていいけど集合! マッキージムです!」
フ「ハルさんに師弟関係どころか世話までしてもらってちょっと恥ずかしい、弟子フーカじゃ」
マ「隣のボクッ娘も忘れないであげて。後はVivid初期メンバーが加われば、ジムメンバーが一通り揃うね」
フ「全員年齢が下がっとるがのう……。あ、別に嫌ではないが。それで揃えるとしたらコロナさんは普通に混じれるけど、リオさんやヴィヴィさんは難しいんじゃなかろうか?」
マ「一人は別の世界、一人はそもそも生まれてるか怪しいからねぇ。でもヴィヴィオに関してはギリギリ何とかなるかもしれない」
フ・ヴィ「「マジで!?」」
マ「いきなり入って来たよ、Vivid主人公」
ヴィ「いいじゃんいいじゃん! ここは何でもありなんだからね! それより私が出られる理由の説明カモンプリーズ!!」
マ「はいはい。まずVividStrike時点での年齢設定なんだけど、フーカが13歳、ヴィヴィオが11歳。で、VividStrikeの時系列が恐らく新暦80年……この小説で言うと11年後にあたる。つまり」
ヴィ「0歳の私を出すことは出来るかもしれない、ってことか~!」
フ「だとすれば研究による肉体成長とかされず、年齢通りに成長していけるかもしれんのう。そもそも原作のヴィヴィさんが実際に生まれたのがいつなのか不明じゃし」
ヴィ「フハハハ! 私は永遠のロリッ娘なのだよ! そこらのロリとは格が違うんじゃぁ!」
マ「……でも赤ちゃんがメインにはなれないけどね」
ヴィ「ぐはぁっ!! で、でもメインになったら……メロンパンにされるかもしれないんだし、ここはプラス思考で行こう! じゃ、今回はここまで!」
フ「お世話される自分を見る恥ずかしさを知らないのは、哀れじゃなぁ……」 
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