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レーヴァティン

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第百二十四話 三国だけでなくその三

「だがな」
「土佐は東からもでありますな」
「攻めていく」
「阿波から」
「そうしてだ」
 その様にしてというのだ。
「東西から攻めて中心の高知までだ」
「進むでありますな」
「そうする、ではだ」
「これより」
「土佐に攻め込む」
 英雄は言い切った、そうしてだった。
 具足だけでなく陣羽織に烏帽子も身に着けてだった、そのうえで兜も被って自ら船に乗り込んだ。そこに仲間達も続き。
 十万の兵が水路から土佐に向かいはじめた、その中で。
 英雄は左手に伊代の地を見てそうして言った。
「湖を進むが」
「大丈夫だな」
「大丈夫とは」
「船酔いだ」
 幸正はこのことを言ってきた。
「そちらは」
「俺は大丈夫だ」
「そうか、ならいいがな」
「他の奴もだな」
 英雄は十二人のことも話した。
「船酔いする奴はいない、だが」
「問題は兵だな」
「四国に渡る時もだったな」
「実は結構だ」
「二日酔いになる奴がいたな」
「摂津や播磨からだとすぐだが」
 四国までというのだ。
「それこそすぐに行けるが」
「波もそこまで高くないな」
「だがな」
 それでもというのだ。
「酔う奴は酔う」
「船酔いはするか」
「それが気になっていたが」
 四国に渡る時はというのだ。
「今回もな」
「心配しているか」
「多く出ないといいがな」
「四国に来た時で慣れているといいな」
「そうした兵が多いとな」
「そう思うな」
「少なくとも船酔いする奴は戦闘には出られない」
 これは無理だというのだ。
「酔ってそれどころではない」
「だから水軍に軍勢を護らせるか」
「上陸する兵達をな」
 そうさせているというのだ。
「危ないからな」
「成程な」
「水軍は大丈夫だ、流石に」
「船酔いする奴がいられる場所じゃないな」
「あと泳げない奴もな」
 こちらのこともあるというのだ。
「いない」
「いざという時泳げないとな」
「水軍にはいられない」
「船が沈めばどうなるか」
「その時は泳げないとだ」
 それこそというのだ。
「終わりだ」
「だから泳げることもだな」
「絶対だ、だから護りのことはな」
「任せていいな」
「土佐の水軍が出て来てもな」
 例えそうなってもというのだ。
「大丈夫だ」
「ならな」
「このままだ」
「四万十川の西までだな」
「進むがやはりな」
「上陸する兵達の二日酔いだな」
「それはもう慣れてもらうしかない」
 これが結論だった。 
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