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八条学園騒動記

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第五百三十三話 天本博士と謎の集団その三

「だからじゃよ」
「殺しても平気か」
「そうなんだね」
「そうじゃ、それでじゃ」
 博士はさらに言った。
「殺したまで、何かあるか」
「思いきりあるけれどな」
「殺人だし」
「博士って法律完全に無視してるけれど」
「それも完全な犯罪だから」
「わしに法律なぞ意味はない」
 やはり博士は実際に答えた。
「そんなものは全く気にせずじゃ」
「それで生体実験もいいんだな」
「大量破壊兵器の開発と製造も」
「昨日は所謂DQN遊びで殺してけれどな」
「殺人ロボット向けてね」
「ほんの余興じゃ」
 博士には殺人もほんの暇潰しだ、そして趣味の一つでもある。
「健全な一般市民は殺したことはないぞ」
「軍人さんや警察官もだよな」
「善良な人達は殺さないんだね」
「善人を殺す趣味はない」
 これも博士の返事だった。
「その辺りの小悪党だけじゃ」
「殺すのはか」
「生体実験の木偶人形にするのも」
「うむ、木偶人形もじゃ」
 この時代の連合では生体実験に使う受刑者をこう呼ぶ、博士も二匹もその認識でこの単語を使っているのだ。
「そうしてじゃ」
「使ってか」
「殺してるんだね」
「そういうことじゃ」
 まさにというのだ。
「まさにな、それでこの度はな」
「上野か」
「そっちに行くんだね」
「メカラドンに乗ってな」
 そのうえでというのだ。
「行くぞ、いいな」
「あの、博士」
 野上君は二匹を急かす博士に問うた。
「一ついいですか」
「野上君は留守番を頼む」
 博士は野上君にはこう返した。
「宜しくな」
「いえ、そうじゃなくて」
「一緒に行きたいのか?なら連れて行くが」
「そうじゃなくてですね」
 野上君は留守番でいいと答えつつもさらに言った。
「メカラドンって何ですか」
「ああ、そのことか」
「一体何ですか?」
 博士が言うそれのことを聞くのだった。
「ラドンっていいますと」
「ギリシア神話の怪物じゃ」
「そうでしたね」
「頭が百ある巨大なドラゴンじゃ」
「しかも不死身で」
「そのドラゴンを機械で再現したのじゃ」
 そうしたというのだ。
「メカラドンとは」
「そうでしたか」
「そして」
 それでと言うのだった。
「それに乗ってじゃ」
「今から下野星系にですか」
「行って来る」
「最初何かと思いました」
「メカラドンと聞いてか」
「本当に」
「何度も言うがわしは普通のものなぞ造らん」
 博士は野上君に胸を叩いて述べた。 
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