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レーヴァティン

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第百二十三話 讃岐からその八

「あの者達はな」
「世界の覇者にはですね」
「絶対になれなかった」
「スターリンは勝ち残りましたが」
「それでもだ、共産圏を築けたが」
「それで止まっていた」
「そうなった、それ以上のものは手に入れられなかった」
 第二次世界大戦後の世界のことをここで話したのだった。
「それを見るとな」
「この度のことは」
「松山は今はいい」 
 手中に収めずともというのだ。
「それよりもだ」
「自分達で、ですか」
「やるべきことをやっていってだ」
 そのうえでというのだ。
「ことを進めていこう」
「それでは」
「伊予を西にさらに進みだ」
 松山は今は放っておいてというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで」
「伊予をさらに手中に収めていく」
「そうしますか」
「そうだ、ではな」
 英雄はさらに言った。
「伊の他の場所をな」
「手に入れていきますね」
「そうしていく」
 こう言ってだ、そうしてだった。
 英雄は松山は今は置いて他の地域を手中に収めていった、そうしているとその松山の方からであった。
 人が来てだ、こう言ってきた。
「是非です」
「我々にか」
「その勢力に入れて下さい」
 松山からの使者は陣を構えている英雄にこう言うのだった。
「我が殿のご決断です」
「先代の領主の跡を継いだか」
「はい、殿が言われるには」
 使者は英雄の前に膝まづいている、そのうえでの言葉だった。
「大殿が亡くなられた時ですが」
「あの時のことか」
「松山を攻められるどころか」
「喪に服したからか」
「お悔やみの言葉も送られました」
「そのことでか」
「殿がそうして下さる方ならと思われ」
 そうしてというのだ。
「決断されました」
「我々に降ってか」
「末席に加えて頂くことを」
「そうしたことをする者ならだな」
「人の道をご存知で無道もされない」
「松山の民達に対してだな」
「そして松山自体にも」
 領地にもというのだ。
「そう確信されて」
「そうなのか」
「はい、それでなのですが」
 使者は英雄にさらに言った。
「ご返事を頂きたいのですが」
「俺は来る者は拒まない」
 これが英雄の返事だった。
「俺達に入ってくれるならだ」
「それならですか」
「喜んで迎える」
「そうして頂けますか」
「それでいいか」
「有り難きお言葉」
 これが使者の返事だった。
「それならばです」
「これから松山はだな」
「貴方様と共に」
「ではな」
「はい、後程殿も来られますので」
「待っていると伝えてくれ」
 英雄はまた使者に告げた。 
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