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異能バトルは日常系のなかで 真伝《the origin》

作者:獣の爪牙
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第一部
第四章 異能バトル
  4-7

 
前書き
この4-7までで一区切りになります。
後は寿来と一の変更設定と続きを二話分投稿して終了になります。
ここまで見てくださった方、この拙い文に毎回高評価入れてくれている方、ありがとうです。
あと貰ってないのは感想だけか……。
あれ? 感想もらってないよね? おかしいなあ。みんな感想言うの忘れちゃってんのかなあ。
……はい。ということで感想よければ待ってます
それではどぞー 

 

騒動が終わり一週間が経った。

「時は来たり! 全ての罪と罰を贖い、灼熱の地獄と悠久の時空が開かれる。そこに一切の穢れは無く……」
「訳。もうすぐ夏休みで嬉しいです」
「訳すな! そういうとこだぞ。灯代」
「訳いいね〜。じゅーくんなに言ってるか分かんない時は多いし」
「大丈夫ですよ、鳩子さん。理解に努めるほど大したことは言っていません」
「そっか〜」
「……」
なんか納得された。

「あれ、そういえば千冬ちゃんは?」
「そこで寝ています」
見ればテーブルの死角で、パイプ椅子を向かい合わせそれをベッドにするという驚きの寝かたをしていた。
「これはなんという……! 千冬ちゃんには七色の寝相(スリーピングビューティー)という二つ名を……」
「じゅーくんお茶いる〜?」
「どこで話しかけてんのっ⁉︎」
「あっ、ごめん。続けて」
「いや、もういい……」
続けてと言われてするもんでもないんだよなー。厨二は。
はあ。
なんか疲れた。


「しかしもう一週間かー」

この一週間は、あんな命懸けの戦いがあったのが信じられないくらいいつも通りに過ぎた。
「このままなにも起きないといいんだけどな」
鳩子は最近この手の話をすると浮かない顔をするようになった。
「……その線は薄そうですね」
その点は彩弓さんと同じ意見だ。

こんな近くに知る限りでもこれだけプレイヤーがいて、しかもチーム戦ありなのだからプレイヤーの数は二十、三十じゃきかない筈だ。

思わず暗い雰囲気になりかけた時、
「大丈夫。心配ない」
千冬ちゃんが口を開いた。
「アンドーがいる」
千冬ちゃんはまっすぐおれの目を見る。
その全幅の信頼に一瞬たじろぐもおれは応える。

「大丈夫さ。鳩子。以前ならともかく、今はおれも含め、ここには強いやつしかいないしさ」

「いやホントにびっくりだわ。まさかあの安藤さんがあんなに強くなるなんて」
「あの時安藤くんが来てくれて本当に助かりました。藁にも縋ってみるものですね」
「地味なディスりそろそろやめません?」
確かに自分でもなにもできないとは思ってたけど。

「とにかくそういうことだ。鳩子。いざとなったらおれが体張って守ってやっから」

言った直後、場がしんと静まった。

「……あ、ありがと」
鳩子が俯きながら返事を返す。

「……へ、へえー。安藤も、言うようになったわね……」
「……そ、そうですね」

急に口が回らなくなってる。
そういう反応されるとこっちも恥ずかしくなるというかなんというか。

「アンドー。千冬は?」
「へ?」
「千冬は? 守らない?」

千冬ちゃんの不思議な感性にはいつも驚かされる。
「も、もちろん! 守るよ!」
「うん、守って」

そんなやり取りをしていると小声で灯代が
「ロリコン」
「いや! 今のは普通の返しでしょ!」
「はいはい、ロリコンはみんなそう言いますよね〜」
「安藤くんのことは今後、純潔の騎士(ロリコンナイト)と呼びます」
「さすがにひどくね⁉︎」

まあとりあえず鳩子も笑顔で笑っているのでよしとするか。

異能の訓練は今後も週ニで続けていこうという話になった。
文芸部は緩い部で週四日が活動なので半分を異能訓練に当てるのが妥当なところだろうとなった。

今日はもう帰ろうかという話になった時、部室のドアをノックする音がした。

「は〜い」
来客の対応はドアの一番近くにいる鳩子がするのが不文律のようになっている。

「?」
しかしこちらからは誰かがいるようには見えなかった。
「え? あ! どうも……」
誰が来たんだろう?

「あ、はい。えーっと、そしたらどうぞ……」

入ってきたのは、初めて見る精霊だった。
整えられた黒い長髪を後ろでまとめモノクルをかけている。
他の精霊と比べて容姿も雰囲気も落ち着いている印象だった。

「はじめまして。ほう、君達が……」

「……えーっと、どちら様で?」
「ん? ああ。そうか、まずは自己紹介からだな」

「自分は担当不在の君達の元へ急遽派遣された、担当精霊だ。リールートという。これからよろしく頼む」

「……え? まじで?」

これから夏休みのはずなのに、運命はまだまだおれ達をゆっくりさせてくれそうになかった。
 
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