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おぢばにおかえり

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第五十四話 最後の学期になってその二十六

「だから浮気もしないし」
「いいっていうの」
「そう、彼氏大喜びよ」
「けれどもてないのよね」
「どうかしらね。けれど寮までいつも送ってくれるなんて」
 ここでまた阿波野君のことを言ってきました。
「出来た子ね、大事にしなさいよ」
「またそう言うのね」
「そうよ、絶対にちっちの一生で大事な人になるから」
「只の後輩じゃなくて」
「後は親神様が進めてくれるわ、ただ」
 こうも言ってきました。
「おぢばは不思議屋敷っていうけれど」
「よく言われるわね」
「人と人の出会いがね」
「奇跡みたいなことが多いっていうわね」
「私今それを実感してるわ」
 しみじみとした口調の言葉でした。
「ちっちとあの子を見てね」
「そうなのね」
「どうかってね、ただね」
「ただ?」
「後はちっちが気付くだけね」
 それだけだというのです。
「本当にね」
「私がなの」
「そう思うわ、早く気付いてね」
「何に気付くのよ」
 思わず首を傾げさせてしまいました。
「そもそも」
「だから大事なことよ」
「本当にわからないけれど」
「わかったらちっち絶対にお顔真っ赤にしてびっくりするから」
「そうなるかしら」
「百パーセントね、まあ卒業したら」
 あと少しです、いよいよという感じです。
「ちっちも結婚出来るしね」
「大学生で?」
「学生結婚も出来るし」
 それでというのです。 
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