レーヴァティン

「そのうえで」
「降ってもらうことになるな」
「そうですね、讃岐や阿波は」
「やはりな」
「元もはこちらの領土だったので」
「それで降ってきたがな」
「私達が戻ったと判断して」
　それでというのだ。
「そうしてくれたが」
「そうだな、だが伊代はな」
「私達の領土だったことはないので」
「だからだな」
「どうしてもです」
　そこはというのだ。
「仕方のないことです」
「そうだな、ではな」
「伊予については」
「使者はもう送りだしている」
　諸勢力に降伏を促す彼等はというのだ。
「ではだ」
「その返事次第で」
「降る勢力はそのままでな」
「降らない勢力をですね」
「攻めていってな」
　そのうえでというのだ。
「降していこう」
「それでは」
「そしてだが」
　ここでだ、こうも言った英雄だった。
「伊予も小勢力が乱立しているな」
「はい、これといった強い勢力がです」
　良太が答えた。
「存在しません、千を超える兵を持つ勢力も」
「存在しないか」
「左様です」　
　そうだというのだ。
「ですから」
「敵としてはだな」
「兵の数では我々の敵ではなく鉄砲や大砲も」
「持っていないか」
「術を使える者も」
　そうした兵もというのだ。
「少ないとのことなので」
「戦になってもか」
「まさに一蹴出来ます」
「その程度か」
「はい、ですが」
　それでもとだ、良太はここでこうも言った。
「油断は出来ないです」
「小さい勢力でもな」
「油断すれば」
　その時はというのだ。
「不覚を取ります」
「そうなるからだな」
「それをせず」
　そのうえでというのだ。
「兵を進めていきましょう」
「そういうことだな」
「まことに油断すれば」
　その時はというのだ。
「その瞬間にです」
「敗れるな」
「それが戦の常です」
「その通りだな」
「だからです」
　それ故にというのだ。
「気をつけていきましょう」
「どういった小さな勢力でもな」
「油断せず」
「侮らずだな」
「ことを進めていきましょう」
「肝に銘じる、ではな」
「伊予にですね」
「入る」
　こう言ってだった、英雄は十万の大軍を伊代に入れた。そうしてすぐに今入った伊代の東の国人達が次から次にとだった。