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奴隷は嫌だ

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第四章

「そうだな」
「だからか」
「ここで船乗りになってか」
「そのうえでか」
「金を稼いでその金で家とか買ってか」
「そうして生きろっていうのか」
「そうだ、それでお前等に仕事を斡旋してやる」
 仕事のそれをというのだ。
「今度はそれで儲けるんだよ」
「仕事の紹介料貰ってか」
「それでか」
「それはそれでか」
「奴隷売るより貰える金は少ないけれどな」
 それでもというのだ。
「儲かることは儲かるからな」
「だからか」
「それでか」
「これからはか」
「俺達を船に紹介してか」
「それで儲けるんだな」
「お前等にとってもいい話だ」
 とりあえずの仕事が手に入りそれで金を貰える、そして船員として飯も食えるということだ。船長が言うには。
「だからいいな」
「ああ、何か胡散臭いものも感じるけれどな」
「正直言ってな」
「碌でもない船の船員にするとかな」
「そうも思うけれどな」
「ここは俺の家があるんだ、そこでそんなことしてみろ」
 船員を質の悪い船の仕事に斡旋すればというのだ。
「海賊でも困るさ、だから安心しな」
「安心してか」
「それでか」
「悪い船には斡旋しないか」
「そう言うんだな」
「ああ、本当にな」
 ギンガーザ達にこう言って約束した。
「そうするからな」
「それじゃあな」
「頼むな」
「同じムスリムとしてな」
 ギンガーザ達はこう言ってだ、そしてだった。
 彼等は新しい仕事先を斡旋してもらいある者は港である者は船の中での仕事に入った、それはギンガーザも同じで。
 ある船の船員となり働きだした、するとその船には。
 多くのかつて欧州にいた者がいた、その彼もだった。
「俺もかつてはだよ」
「キリスト教徒だったか」
「ああ」
 そうだと言うのだった。
「昔はな」
「それがか」
「海賊船に使ってな」
 ある者はそうだった。
「それでな」
「そのうえでか」
「奴隷になりたくなくてな」
「イスラムにか」
「改宗してな」
 そうしてというのだ。
「今ここにいるんだよ」
「俺と同じだな」
 ギンガーザは彼の言葉を聞いて述べた。
「それは」
「そうだよな、しかもな」
「案外な」
「改宗してみるとな」
 イスラム教にというのだ。
「これはこれでな」
「いいな」
「悪くないな」
「俺達みたいな生まれでもな」
 欧州生まれでキリスト教徒だった者でもというのだ。 
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