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虹にのらなかった男

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P13

下へ降りるエレベーターで、彼女と再会した。

「お久しぶりです、マチルダ中尉」

「お久しぶり、ルセーブル中尉」

ガルマ隊の面倒な攻撃とかをかわしたり、避難民が騒いだりと色々あったが、漸く補給を受ける事ができた。

物資を持ってきてくれたのはマチルダ中尉だ。

「それで、どうです? ホワイトベースは?」

「まぁ、及第点ですかね」

「あら厳しいこと」

「わるくはないですよ。まぁ、避難民が掃ければ多少は使いやすくなるでしょうしね」

「そうね…」

「感謝してますよ。避難民の受け入れ」

「それくらいしかできないもの」

エレベーターが目的の階に着いた。

ドアが開く。

がらんとした廊下にカツカツと二人分の軍靴の音が響く。

「それはそうと」

マチルダ中尉が抱えていた書類のスキマに持ってきたファイルを捩じ込む。

「これは?」

「例の捕虜から個人的に聞いた事とか」

「公式な物ではないのね?」

「ええまぁ」

「なぜ?」

「そりゃぁどうでもいいことだからですよ。ジオン本国のパンはどこが旨いとか、どこ産の野菜が新鮮とか。
ああ、養殖魚の名産コロニーの情報とかもあった気がしますね」

「そう、貰っておくわ」

「戦争が終わったらウッディ大尉と旅行でもどうです」

「気が早いわよ坊や」

「ですねぇ。まぁでも今年中には戦争は終わるでしょうね」

「予言かしら?」

「予測ですよ。ガンダムとジム、アジアに投入してるでしょ?」

「あまり効果は期待できてないわ」

「一進一退でしょうね。そもそもアジアは沼だ。
投入するだけ沈んでいく。コジマが戦線整理もできないような無能だったとは…」

「壁に耳あり、よ」

「大丈夫大丈夫。ここ監視カメラありませんし」

「そうなの?」

「避難民のプライバシー保護の為ですよ」

「…………大丈夫なの?」

「心配ご無用、ここら辺はバイタルパートじゃありませんし。
話を戻しますと、今年の十二月には地上からジオンは撤退、年末にはソロモンとアバオアクーが落ちて終戦でしょうな」

「グラナダはどうするの?」

「まずソロモンを落とす。ザビ家の不仲は有名だ。
ソロモンにはアバオアクーとグラナダの艦隊は間に合わない。
そのあとはソロモンを始点にアバオアクーを攻略」

「本国は?」

「ガルシアなら要塞が落ちた時点で和平を受け入れますよ」

「………でも」

「ガルマは地上で死ぬでしょうな。ドズルはソロモンで死ぬ。デギンはギレンに謀殺され、ギレンはキシリアに殺されるでしょう」

「具体的ね」

「ガルマが親の七光りなのは言うまでもなく、ドズルの武人気質は連邦将兵でも知っている。
ギレンとキシリアの確執は深く、ギレンはデギンを疎んでいる。
これだけあれば容易に想像できますよ」

「それは捕虜からの?」

「はい。世間話の一環として」

「貴方護衛も着けずに捕虜と話しているの?」

「護衛はついてますよ。ローザとアオです」

「バカなの貴方?」

「いやこれがよく喋ってくれるんですよ」

「………だとしてもよ」

「大丈夫ですって」

別れ際、マチルダ中尉の書類の上にUSBを置く。

「これは?」

「アブルホールの運用データを元にしたメガ粒子砲搭載型重戦闘機の草案です。ジャブローで暇してる研究員に渡しといてください」

「ええ、任せておいて」






さーてと、とりあえずアムロにはマチルダ中尉に相手が居ること伝えて来るかな。
 
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