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レーヴァティン

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第百二十二話 関西からその三

「その女は身体がもたない」
「アレクサンドル=デュマみたいなこと言うな」
「三銃士や巌窟王の作者だったな」
 フランスの作家である、ビクトル=ユゴーと並び称される文豪で多作かつ浪費家だったことで知られている。
「そうだったな」
「ああ、あの人もそんなこと言ってな」
「そしてだったな」
「女の人も凄かったんだよ」
 作家としても凄かったがというのだ。
「本当にな」
「俺の様にか」
「ああ、実際にそんなこと言ってな」
「実践していたか」
「それでお前もか」
「実際にそうだからな」
 英雄はワインを飲みつつやはり無表情で述べた。
「女はな」
「何人もか」
「少なくともあちらの世界ではな」
「一度に相手にしているか」
「そうしている、何度でも何人でもだ」
 それこそという口調での言葉だった。
「俺は女が好きだからな」
「こっちの世界じゃ出来ないことだな」
「こちらの世界では経験はないが」
 それでもというのだ。
「俺はな」
「あっちの世界だけかよ」
「あくまでな」
「そうは思えないけれどな」
「俺は嘘は言っていない」
 そこは絶対にと言うのだった。
「決してな」
「いや、それはわかるがな」
 それでもとだ、久志は英雄にどうかと話した。
「けれどそっちの世界だけか」
「ああ、あの世界にいる時はな」
「女とか」
「縁があってな」
「それだけ遊んでるんだな」
「そちらも楽しんでいる」
「それも毎日みたいにか」
 久志は日本酒を飲みつつどうかという顔で述べた。
「楽しんでいるんだな」
「そうだ、ではそのことからだ」
「女の子のことからかよ」
「話すか、そうした話になっているからな」
「それでか」
「それでいいか」
「ああ、じゃあな」
 それならとだ、久志は言ってだ。そうしてだった。
 英雄はワインを飲みつつ話をはじめた、ソーセージも食べるがワインと実によく合っていてそれで美味かった。
 英雄はこの日は大坂城の主の座で側室にしている数人の女達と夜を過ごしていた、そして彼女達を一通り相手にした後でだ。
 酒を飲んでから寝た、そして朝起きて朝食を食べてからだ。
 十二人の仲間達にだ、こう言った。
「これからだが」
「どうするかっちゃな」
「関西は掌握した」
「越前まで手に入れたっちゃ」
「これで俺達はこの浮島で最大の勢力となった」
 豊かで人口の多いこの地域を手に入れてというのだ。
「兵の数も増えたしな」
「それにっちゃな」
「農業も商業も盛んだ」
「間違いなくこの浮島で第一の勢力になったっちゃ」
「それも他の勢力を圧倒しているな」
「それは間違いないっちゃ」
「そうだな、だがだ」
 それでもとだ、英雄は愛実に応えつつ言った。 
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