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老軍人の奮戦

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第二章

               老軍人の奮戦
 エドアルド=カルヴィーノこと坪内優一とラファエル=ゴイティゾーロこと田山幸平は今は坪内の神託で北極上空の浮島諸島の島の一つにあるカルタゴという街に来ていた。
 二人は街に着くとすぐに旅の冒険者だと素性を隠したうえで街のギルドに入った、そうして坪内の神託でありそうな依頼を探そうとしたが。
 ギルドの中で大柄で老いは見られるがそれでも逞しさは健在の全身をプレートメイルで覆ったミノタウロスの老人がいきり立った声で語った。
「わしの供をする者はおらんか!」
「?あのご老人は」
 坪内はその老人を見て言った。
「確かハインリヒ=フォンーユーゲリンゲン卿」
「北極で有名な軍人さんやったな」
 田山もその老人を見て話した。
「確か」
「ああ、けどもう引退して二十年は経つ」
「楽隠居やったな」
「戦の采配も武芸もな」
 その両方がというのだ。
「見事でそして騎士道も守る」
「そうした人やったな」 
「その人が何でや」
 それこそというのだ。
「ここに来てるんや」
「供をとか言うてるな」
「一体何があった」
「気になるな」
「どうもな」
 二人でその老軍人を見て話した、見れば彼はさらに言っていた。
「ことは大事である!おぞましい悪を討ちに行かん!」
「悪?」
 坪内はその言葉に応えた、そうして言うのだった。
「何や」
「余計に気になってきたな」
「ああ、ほなな」
「ここはやな」
「私の神託かも知れん」
 こう思ってだった、坪内は。
 田山と共に老軍人のところに行って彼の話を聞くことにした、勿論旅の冒険者であると素性を隠している。
 そのうえで老軍人に声をかけるとだった。彼は大きな声で二人に語りだした。
「わしはかつて戦場を駆け巡っていたが」
「それがですね」
「もうだ」 
 それこそというのだ。
「引退して長いが」
「この度ですか」
「このカルタゴの南西にあるデゴル山だが」
「あの山にですか」
「悪魔達が集まりそこを拠点とし」
 そのうえでというのだ。
「この辺りを牛耳ろうとしておる」
「そうなのですか」
「魔界の悪魔といっても色々だが」
 このことは天使も同じだ、よい悪魔もいれば悪い天使もいる。それぞれ人界に来て野党やゴロツキ様なことをする者達もおるのだ。
「その者達はあの山を拠点とし我等人を奴隷の様にしてだ」
「この辺りを思いのままにする」
「そのつもりだ、星の方々がおられようとも」
 老軍人は自分の前にいる二人がその星の者達だと気付かないまま話した。
「ものの数でないとだ」
「侮って」
「今あの山に次々と魔界から来ておる」
「そうですか、ただ」
 坪内は田山と共に老軍人の話をギルドの酒場で聞いていた、そしてここで老人に対して問うたのだった。 
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