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妖女の正体

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第一章

               妖女の正体
 フランソワ=デュマこと横溝浩成とフリードリヒ=ホフマンこと島崎崇は今は横溝の神託で北極上空の浮島群にあるテュロスという街に来ていた。
 その街に来てだ、横溝はすぐに島崎に宿に取ったその部屋の中で話した。
「ここは温泉と歓楽街が有名で」
「そうしたお店もやな」
「はい、それで」
 それ故にというのだ。
「夜の賑わいは相当です」
「賭場に酒場に歌に踊りに」
「そして」
 横溝はさらに話した。
「そうしたお店が」
「そうか」
「私も好きですが」
 横溝は自分もと否定しなかった。
「ですが」
「それでもか」
「ここはもうあまりにも凄いのです」
「酒池肉林か」
「そうです、それこそです」
「そうか、自分も好きにしても」
「この街はあまりにも極端なのです」
 色、そのことについてというのだ。
「各種族の美女が揃い娼館、他の呼び方でもええですが」
「とにかく春の場所やな」
「下手をすると梅の毒にやられる」
 この世界でも薬はある、このことは淋病でもそしてエイズでもだ。エイズも決して治癒が不可能な病ではないということか。
「そうなります」
「そやな、しかし外はな」
「賑やかですね」
「夜になると余計にな」
 島崎は宿の今は閉じられている窓や壁越しに聞こえてくる音楽や笑い声そして嬌声を聞きつつ言った。
「凄いな」
「そうですね、それでわたくし達は」
「今夜はやな」
「このままいたいですか」 
 部屋の中で寝たいかというのだ。
「どうですか」
「まさかな、お姉ちゃんはともかく」
「遊びにですね」
「行こうか、まずはひとっ風呂浴びて」
 温泉で有名ならというのだ。
「それから飲むか」
「では。ワインでもビールでも」
「どんどんな」
「飲んでいきましょう」
 横溝は象人のその顔を笑わせてだった、島崎と共にこの夜は風呂の後で飲んで楽しんだ。ビールやワインをソーセージやチーズと共にしこたま飲んだ。
 翌朝二人は二日酔いになっていたが朝から温泉に入ってすっきりしてから旅の冒険者だと素性を隠したうえで街のギルドに入った。
 そうして横溝の神託でありそうな依頼を探したが。
 ここで横溝の貝殻に連絡が入った、それはこの街の市長アレクサンドル=ベルジュラックからだった。
「横溝さんですね、この街の市長ベルジュラックです」
「そうですが」 
 横溝はこう市長に返した。
「一体何のご用件で」
「島崎さんは」
「隣にいます」
 横溝は彼のことも話した。
「わたくしの」
「そうですか、では今すぐです」
「市庁舎にですね」
「私の部屋に来て頂けますか」
 こう彼に言うのだった。
「そうしてくれますか」
「それでは」
 横溝は市長の言葉に頷いた、そうしてだった。 
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